冒涜者 - 悪魔の子は神の使いを穢したい -

Neu(ノイ)

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一章:恋に堕ちた悪魔の子

家出騒動の場合 03

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普段はあまり人の通らない、ひっそりとした場所で、周りには民家もないようだった。


 広いスペースが縮まって、道路と融合する一寸(ちょっと)手前のところに、フィンはいた。
ガードレールに凭れ掛かり座っている。
すっかりと雨に濡れ、びしょ濡れである。
表情は暗いのも手伝って、見ることが出来ない。

「フィ、フィン、くっ、ん! み、見つ、けた!」

 思った以上に体力を消耗したようで、思うように言葉が出て来ない。
僕はフィンに駆け寄り、しゃがみ込んで彼と同じ目線になると、彼を抱き締めた。
彼の首筋に顔を埋める。


 嫌な匂いが、鼻に着く。
鉄のような匂いだ。
怪我をしているのか、と思い、急いで体を放す。

「なに、しに来た? 俺のことなんか、放っておいてよ」

フィンは俯いて、此方を見ようともしない。
雨で貼り付いた前髪を流してあげれば、彼の目は焦点が定まっていなかった。
安心させようと、両肩に手を置いた。

「探しに、来ました。何処か怪我をされているのですか? 血の匂いが」
「殺したんだよ。お前もこうなりたくなかったら、どっか行け」

します、と続く筈だった語尾は、悲しくも掻き消されてしまう。
フィンは僕の腕を払い、膝を抱えて顔を埋めてしまう。
ランタンの灯りを翳すと、フィンの横には、ネコの無惨な死骸が転がっていた。
仔猫なのだろう、まだ小さな体は、お腹を裂かれ、中からは腸(はらわた)が飛び出している。
よくよく見れば、辺り一面、雨ではない色々な液体でまみれていた。
小刀だろうか、刃物も所在なく転がっている。


 僕は目を背けてしまう。
動悸が速くなる。
目の前が霞んだ。
何と言うことだろうか。
僕は、何も救えなかったのだ。
フィンの心も、この小さな命も。
嗚咽が溢れる。
鼻に纏わり着く血の匂いが、吐き気を誘った。


 うっぅ、と上体を地面に伏せながらも、体が路地に着かぬよう腕で押さえ、僕はみっともなく嘔吐した。
吐瀉物を水流となった雨が流していく。
フラッシュバックのように駆け抜けていく一つの映像が、僕の体を蝕んでいくようだった。

「お前も、俺といたらいつかこうなるよ。そうなる前に、逃げたら良いんだ。どうせ俺は、生まれてこなければ良かった存在だもの」

顔を上げないまま、淡々と告げるフィンに、感情は見られない。
僕は口許を手の甲で拭い、それをまた服で綺麗にすると、吐き気を抑えて上体を上げる。
腕を伸ばし、フィンの頭に手を置いた。
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