冒涜者 - 悪魔の子は神の使いを穢したい -

Neu(ノイ)

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一章:恋に堕ちた悪魔の子

倒れた場合 02

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「どういう、ことでしょうか?」
「簡潔に経緯を説明しようか。君は、殺人容疑で逮捕された。だが、様子がおかしかったのでね、私のところに警察から依頼があったんだ。それでまあ、君と話をした。君は、ミルではないと言う。詰まり、解離性同一性障害、いわゆる多重人格なんだけどね、そういった人格障害を引き起こしていると判明した訳だ。話を進めていく内に、ミル君を出してくれると言うんで、人格を交代して貰ったんだ」

俄に信じがたい話が続いて、僕は頭が痛くなった。
聞きたくない、と耳を塞ごうとして、その手をブランに掴まれてしまう。
最後まで聞きなさい、と無言の圧力が掛かった。

「うそだ。そんなこと、テレビの中の話でしょ? 虐待されたりした子がなるって、やってた。僕は虐待なんか」
「受けていたんだ。辛いかもしれないが、事実だ。君の分身は、君の代わりに虐待を一身に引き受けた。その結果、耐えられなくなって、両親を殺してしまった。君の体には、幾つもの痣がある。それが虐待の証拠だよ」

首をぶんぶんと振り回し否定した。
其れを許さないとばかりに、ブランの有無を言わせない強い声色が遮った。

「うそ、だ。僕が、誰を……殺した? ね、ねえ、うそでしょ? うそだって言ってよ! 僕は幸せに暮らしてたんだっ」

掴まれている腕を振りほどき、ばんっと力任せにデスクを叩いた。
掌がじーんと痛む。

「君は幸せだっただろうね。現実から逃げていただけなんだから。君は彼を犠牲に、幸せな日々を送っていたんだよ。ツケが回ったんだ。今度はミル君、君が踏ん張る番だ。まだ君は罪に問われない年だね。私が君を引き取る。人格統合を試みながら、神の下で罪を償いなさい」

逃げたかった。
神父の言葉は、何処までも鋭利で鋭く僕の心をズタボロにする。
それでも、逃げられなかった。
彼の目は本気だ。
嗚咽が口を吐いて、何も言えなくなる。


 本当のことなのだ。
実感は沸かないが、僕は人を殺したのだ。
実の親を手に掛けてしまった。
なんという大罪だ。
椅子に座っているのも辛い程に体が震えた。
訳が解らない咆哮が口から飛び出して、僕は叫びながら頭をデスクに打ち付ける。
何度も何度も、己を痛め付けた。
ブランは無言で僕を見下ろしている。

「神父様っ……! ぼ、僕は……っ、赦されるのでしょうか? 赦されて、良いのでしょうか? 死んで詫びたい」

気が済むまで打ち付けた後、神父を縋るように見た。
無性に何かに縋りたくなった。
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