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一章:恋に堕ちた悪魔の子
看病をする場合 04
しおりを挟むミルの口から拒絶の台詞が飛び出しても、もう俺の気持ちは止まらない。
どうにも出来ないのだ。
「無理だ、ミル。俺のものに、なってよ。神になんかやらない。やりたくない」
「こ、まります」
「嫌なら振りほどいてよ。拒絶すれば良い」
顔を上げてミルを見詰めれば、ゆっくりと距離をゼロにしていく。
柔らかい、それでいて熱を持った感触が、唇に触れる。
髪を掴むミルの手が、肩に落ちる。
力は籠められていない。
上唇を舌でなぞり、下唇との狭間に移動させた。
ミルの肩がぴくり、と微動した。
滅茶苦茶にしたい衝動。
大切にしたい気持ち。
二つがぐるぐると回る。
俺の舌は、中に入りそうで入らない境界線で留(とど)まっていた。
このまま衝動のままに奪ってしまえたならば良かった。
ミルから唇を離し、至近距離で彼を見詰める。
手でミルの頬を挟んで固定した。
こつん、と額同士をくっつける。
今は、それだけで良いと思う。
「フィ、ン君。僕は」
「良いよ。俺、焦んないから。ずっと待つよ。その代わり、俺が大人になったら逃がさないから。嫌なら、それまでに逃げてね」
目の前にあるミルの顔は、相変わらず赤い。
俺は衝動を呑み込んで、気持ちを優先させた。
ミルを傷付けたくはなかったのだ。
「あり、がとう……御座います」
ふわり、と柔らかな笑みが浮かんだミルの顔は、綺麗だった。
俺の気持ちは、ほっこりと温かくなる。
「早く、熱下げろよ」
照れ臭いのを隠すように、乱暴にミルから体を離した。
と、同時に後ろに気配を感じる。
どしどし、と大柄な神父が歩いて来る音がする。
俺とミルは顔を見合わせて笑うのだった。
あの後、数秒後に部屋にやって来た神父は、意識の戻ったミルに微笑み掛けた。
俺の隣に移動したかと思えば、頭をぐしゃぐしゃにされた。
「な、言っただろ? 私の薬は効くんだ。さて、フィン。ミルも意識が戻ったことだし、帰りなさい。向こうで親御さんが待っているよ」
「たまたまだろ、たまたま。じゃあね、ミル。また会いに来るよ」
身を捩り神父の手から逃れた。
ミルに手を振れば、後ろ髪引かれる思いで部屋を後にするのだった。
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