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二章:訪れた変化
キルバートの場合 02
しおりを挟む既に何発か食らっているのだろう。
頬と肩と腹が痛む。
どごっ、と重たい音と共に眼球に衝撃が走り、殴られたと認識する。
興奮したのか狂ったように笑う女の足が股間に入り、痛みに息が詰まった。
「あ、っ、貴方が、いつも、誘うから! その弱々しい顔で、誘う癖に、っっ! あんな男と、いちゃついて、私を挑発するから、っ、悪いのよ! もっと、もっと、もっと……っ、痛がる顔を、見せて頂戴」
ミルの両親と同じ人種なのだと確信し、俺は笑う。
体の主は、何故か異常者に好かれる。
男女問わずに惹き付けてしまうようだった。
鼻に向かい飛んでくる拳を手で受け止め、女の顔面に拳を打ち込む。
驚愕に見開かれた眼が間抜けだ。
「ねえ、ミルを傷付けて生きていられると思わないでね? 俺、コイツがいなくなると生きていられないの。だから決めたことがあってね。ミルを傷付ける奴は一人残らず、――殺す」
はらり、と落ちた紐を靴底で踏み潰し、口に詰められていた布切れを指で取り出すとコンクリートの床に叩き付ける。
口の中が鉄臭い。
座らされていた椅子から立ち上がり、周りを見渡した。
潰れた工場なのか、古ぼけた機材に囲まれている。
「さあ、楽しい掃除の時間だ。自分の愚かさを悔いて、――死ね」
あの時もそうだった。
縄で縛っていた筈の少年が反撃したことに、両親は驚き、戦慄く唇を噛み締めて俺を怯えた顔で見ては逃げようとしていた。
笑いが止まらなかったのを覚えている。
捕まえた二人を、彼等がミルにしてきたように縛り付け、殴り、蹴り、踏み付け、ミルの受けてきた苦しみを与えてやった。
許しを請う二人の最期は呆気ないものだった。
刃を肉に食い込ませた感触を思い出し、恍惚に全身が震える。
「ああ、切り刻んでやろうかと思ったのに。此処にはナイフがないね。残念だ。どうやって殺そうか」
顔を押さえへたり込む女に近付き髪を掴む。
上向いた顔を足先で突付く。
呻く女の身体をコンクリートの上に押し倒し、首元を上から振り下ろした足で踏み付けた。
ぅがあっ、と叫ぶ声に唇を舐めていく。
舌先が切れた箇所に触れ痛かったが、それさえも興奮の材料になる。
「さようなら、クズ」
女の腰に跨り首に両手を掛けて力を込めていく。
ギリギリギリ、と絞める度に漏れる呻く吐息が堪らない。
「キル! やめなさい!」
もう少しで息の根を止められる。
そんな時に工場の扉が開け放たれ、飛び込んで来た男に体躯を押さえ付けられていた。
「ブラン、久しいね。もう少しだったのに、残念。アンタがちゃんとミルを守らないからこうなった」
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