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一章:傲慢王子は呪われ奴隷を飼う
奴隷と水浴び 03
しおりを挟む初めて家族以外に受け入れて貰えたことがメシアには大きかった。
メシアは穢れ仕事を仲間達とこなす傍ら、母との約束は守り続けていた。
幼い頃から母に言い聞かせられていたこと。
カースレストの中腹にある泉で毎日、朝昼晩の三回、体を清めることだった。
それだけは何があっても忘れてはいけないと言い含められ、もしも忘れるようなことがあればまた厄災が訪れ、メシアの命も保証出来ない、とも言われていた。
母から虐待を受けた事実は未だに覚えているし、思い出す度に体は震え動悸は速くなる。
それでもメシアは、母の言い付けを破ったことなどなかった。
ちゃぷん、と水面が揺れる。
メシアはゆっくりと立ち上がり、濡れてペタンと落ち着いた髪を掴んだ。
さわさわと風が凪いでメシアの体を撫でていく。
冷えた体には冷たくも感じるが、それも呪われた自分が清められた感覚に思え、メシアは薄っすらと笑んだ。
掴んだ髪を軽い力で握り水滴を落としていく。
がさり、と音が響いたのは、水辺に置いた布に手を伸ばした時だった。
この森を自由に動き回れるのは、アツコとメシア、スズコとスズコの息子のソーマ=スノーレェィンだけである。
詳しいことは知らないが、ゴッドマーシュの血が流れる者は、この森から祝福されているようだ。
従兄のメシアを心配し、ソーマがこの泉に訪れることは多かった。
メシアはいつもの癖でソーマだと思い込み、微笑混じりに音のした方に体を向ける。
振り返るメシアの双眸に映ったのは、ソーマではなかった。
背の高いスラリとした体躯の男がメシアを凝視している。
驚愕に息を呑むも、表情は動かすことなくメシアは口を動かす。
「だ、れ?」
全裸で泉に浸かるメシアの姿に固まっていた長身の青年は、眼を瞬かせた。
「ああ、スノーレェィン家のお客様? 迷ったにしても、此処に辿り着けたことを幸運に思うんだね」
言葉の出てこない青年の身形を一瞥し、メシアは合点いったと掴んだ布で体を覆いながら泉から上がり、マイペースに髪を拭いている。
頭から足先までを覆い隠す布はメシアの体躯から水滴を奪っていく。
「何故、スノーレェィン家の客だと?」
「そんな立派な服を着た人間は、この街にはいない。いるとしたら領主様のお客人ぐらいだ。言われなかった? この森には近付くな、と」
漸く言葉を発した無表情の青年に短く問われ、面倒臭そうに答えたメシアは布を、はらり、と生い茂る草地の上に落とし、傍らの布鞄の中から着替えを取り出し着替え始めた。
鞄の隣には血液や不浄物に汚れた衣服が散らばっている。
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