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一章:男性保育士奮闘記
男性保育士と働くお父さん 12
しおりを挟む大事な幼馴染を認めて許容してくれる人間がいる。
それだけのことなのに、それを出来る人間の少ない現実を僕は知っていた。
だからこそ、兄弟のように想う幼馴染を任せても大丈夫な人だと、会ったこともない睦呀に対して信頼を抱いている。
『解らないわ。でも、……颯介とムウだけは、何があっても情人には渡したくないの。もう二度と、大切な人をあの家に奪われたくない。だから、颯介も十分に気を付けて。あまり一人で出歩かないで』
雄仁の押し殺した声を聞いて僕の胸は切なさに痛んだ。
怒りと悲しみとやるせなさと後悔の念を、双子がずっと持ち続けていることを僕は知っている。
「うん、気を付けるよ。まあ僕は、おじさんにもおばさんにもナサ君にも、大事にして貰っているし、そんな酷いことはされないと思う。……ムウさんが心配だね。僕に出来ることがあれば言うんだぞ? 雄仁も雌威ちゃんも、もっと僕を頼ってよ。確かに僕には何の力もないけどさ。何があっても二人と親友でいるって決めたんだ。僕だけは絶対に味方だから」
少しは安心して貰いたかった。
双子の抱えてきた複雑な環境は、僕になど解るものではないが、それでも長い年月を一緒に過ごしてきた。
時には慰めようもない悲しみを抱えた双子を見ていることしか出来ず、時には絶望になす術もなくひれ伏すしかない双子が実家から出れるよう手伝いをした。
好きだ、と好意を伝えてくれた雄仁を振ることを選んだのは、飽くまでも親友として双子を支えたかった。
僕にとって、雄仁だけを選ぶのは違っていたのだ。
雄仁も雌威も守りたいと想う。
雌威に対して恋愛感情がある訳ではない。
雌威もまた兄と同様に同性愛者であり、女性しか愛せないのだ。
僕はいつまでも二人を守るヒーローでいたかった。
『颯介。お前が男じゃなかったら嫁にしたんだけどな。残念だよ』
雌威が本当に悔しそうに言うので、僕もつい声を上げて笑ってしまう。
「流石の僕でも性別は変えられないな。何にしても、僕達は親友でいるのが一番いいんだよ。雌威ちゃん、雄仁のこと頼んだ」
任せとけ、と頼もしい雌威の返答を聞いて通話を終了させる。
スマホを床の鞄に戻し、ベッドの上で正座をし結杜と向き合った。
「すいません。お待たせしてしまって。……えっと、それでお話、何でしたっけ?」
股の上で拳を握り頭を下げると、彼が静かに笑うのが気配で感じられる。
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淡々と告げていく顔に表情はない。
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