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一章:責任取ってね?
神沼が大変です 11
しおりを挟む「うん、ごめんね、委員長。でも、慣れたら、もっと委員長と仲良くなったら、触っても大丈夫になるから。友達、なってくれたら、嬉しいな」
明紫亜の発する言葉には、強い祈りのような想いが籠められている。
義一郎にはそう思えて、必死で頷いた。
彼の手を握り締めたい衝動と闘う。
少しでも明紫亜の不安を取り除きたかった。
「勿論だよ! 僕もそこまで人が得意じゃないし。神沼のこと凄いって思うから」
テレテレと頭を掻いて素直な気持ちを伝えた瞬間、明紫亜は泣きそうな顔で、くふくふ、と独特な声を上げて笑う。
「高校での友達1号が、こんなに早く出来るなんて、思ってなかった。ありがとう、委員長」
喜んでくれていると解るのに、何故だろうか、それでも彼の中にある翳りを感じ、義一郎は気になってしまう。
何か訳ありなのは先程の出来事で解ってはいるが、きっと自分に出来ることなど何もないのだと察してもいる。
それがヤケに義一郎を悲しくさせていた。
「ハイ、水分ちゃんと摂ってね。神沼君、今日は先生の部屋で泊まって貰おうと考えているから、水保君、明日の朝、迎えに来てあげてくれるかな?」
唐突に目の前に倫成の手が現れ、ペットボトルが明紫亜に渡される。
倫成の綺麗な顔に見詰められ、若干テンパりながらビシリと気をつけをした。
「はい、わかりました! あ、もう消灯時間になるので、僕はこれで! 神沼、また明日な」
きょとん、としている明紫亜にヒラリと手を振り、義一郎は一人で部屋まで向かって行った。
* * * * * *
次の日、起床する時間になって明紫亜が戻ってきた。
もふん、としたいつも通りのキノコになっている彼に安堵する。
奇抜に思える頭髪に安定感を覚えていることに可笑しくなってしまい、ついつい笑ってしまう義一郎を不思議そうに眺める明紫亜は何処か嬉しそうだ。
帰る支度を済ませ、部屋を出て食堂に集合し、一年生全員で食事を済ませる。
朝のメニューはトーストにレタスとトマトのサラダ、ウインナーとスクランブルエッグだった。
明紫亜が困った顔でトマトをツンツンとフォークで突付いているのを見て、可愛いな、と思ってしまう。
同学年の男子に抱く感情ではないと自覚はある。
しかしながら、唇を尖らせ、眉間に皺を寄せて、うんうん、と唸りながら悩んでいる姿はまるで五歳児に見えてしまい、微笑ましくて堪らないのだ。
「神沼、トマト苦手? 僕、代わりに食べようか?」
「え、いいの? トマトさんは悪くないんだけどさ。僕、どうしても仲良くなれないんだ」
目の前の彼の顔に笑みが戻っていく。
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