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一章:責任取ってね?
運命の出逢い 01
しおりを挟む【運命の出逢い】
彼を目にした瞬間の衝撃を、未だに忘れることが出来ずにいる。
はじめて観劇した歌舞伎の舞台で、10歳程の子供が演じた役に惹き込まれていた。
全身を雷に撃たれたような鋭い痛みにも似た感覚は、胸に刻まれたまま、瀬名 倫成(セナ ミチナリ)を縛り付ける。
まだ幼い少年が演じた女形は、優雅に舞い、悲劇の幼子として観客を魅了した。
己に変な性癖が芽生えたのは、彼の演劇を観てからだった。
それだから倫成は、少年のお陰で新しい世界が拓けたのだと思っている。
女装した男にしか欲情しなくなり、倫成の人生は一変したのだ。
元々バイセクシャルであったので、男に性的興奮を覚えることに戸惑いはないのだが、些か女装プレイとなると相手を探すのが難しかった。
ノリノリで女装をして性行為にまで応じてくれる男がなかなかに見付からない。
風俗を試してみた時期もあったが、規制も厳しい、オプション料金は取られる、何だかんだと考えると、お金を払ってまですることでもないかと思ってしまう。
結局、歌舞伎を演じた一族のことを調べ、定期的に観劇するという何とも間抜けな結果となった。
調べて解ったことは、一族の長は伊村 周五郎(イムラ シュウゴロウ)の名を襲名すること。
以下伊村の名を冠した名は、周三郎、周次郎、周一郎と他にも多々あるそうだ。
倫成に衝撃を与えた少年は、伊村 周一郎(イムラ シュウイチロウ)を襲名している立派な歌舞伎役者で、本家の三男坊だと言うことが解った。
長兄が周三郎を、次兄が周次郎を襲名している。
妹は伊村 紅東(イムラ ベニアズマ)という名を襲名していた。
伊村家の人間の本名や素顔は世間に一切公表されておらず、解るのは歌舞伎役者としての伊村一家の情報のみだった。
メディアにも露出していない今時では珍しい歌舞伎一家だが、それがまたミステリアスに映るのだろう。
伊村家にはコアなファンが多くついているらしい。
調べれば調べる程に堅苦しい世界で、倫成としては幼い彼が押し潰されてしまわないか勝手に心配をし始めてから数年が経っている。
インターネットで手に入れた画像をオカズに自慰をする己は本当に周一郎にと心を奪われてしまったのだと自覚せざるを得なかった。
周一郎の演じる役は殆どが女形で、そういう意味ではオカズには困らない。
確かに、女装した男に欲情はすれど、一番胸が滾るのが彼の女形姿だった。
誰の女装姿でも良いと言う訳ではなく、女装姿の中でも好みがあるのだ。
ここ数年で一気に大人びた周一郎は今年で16歳になる。
演じる役も幼子から少女や婦人の役にと変わっている。
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