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一章:鬼畜極道は似非王子を騙す
極道は政治家秘書に扮する 06
しおりを挟むずぐり、と心臓が騒いで刀次郎を動揺させる。
「メ、メシアから、恋愛相談は受けたことがない。僕だって、そんなの、乗りたくない」
唇を噛み締め潤んだ目で刀次郎を見遣る蒼真の目尻に指を這わせていた。
どうしようもなく目の前の子供が欲しくて堪らない。
こんな衝動は抱いたことはないが、どうしたら手の中に落ちてくるか、頭ではそればかり考えてしまう。
「どうして? 親友なんでしょう?」
刀次郎が察するに、年頃の蒼真は自身のマイノリティーに悩んでいる。
同性を、しかも従兄に恋慕しているなどと、気軽に相談できる内容ではない。
俯いて沈黙する少年の目尻から頬を撫で、指を離した。
「私は同性愛者なので、普通に恋愛もしたことはないのですが。蒼真さんは女の子がお好きですか?」
そろり、と緩慢に上がった顔は救いを求めているように窺える。
息を吸い込んだ口から吐息が漏れ、彼は首を左右に揺らす。
「……従兄を好きになるのって。同性をずっと好きなのは、同性愛者? 僕は、メシアのことだけ、ずっとずっと、好き、なんだ」
可哀想に、と少年に湧いた憐憫の念は矛盾している。
悪い大人に心を許すように誘導され、そうとも気付かずに彼は悩みを必死で打ち明けるのだ。
悪い大人である刀次郎が蒼真を哀れむのは滑稽かもしれない。
「そうでしたか。人を好きになるのに性別は関係ない人間もいますし、同性を好きになったからと言って必ずしも同性愛者とは限りません。……明紫亜さんには想いを告げないのですか?」
緩く口端を上げ首を傾ければ、少年の唇が開き、また閉じた。
躊躇した末に重々しく口を開いていく。
「メシアは。僕のことを家族としてしか見ていないんだ。今の関係が壊れるのは嫌だ。それに」
途中で言葉を切った蒼真に「それに?」と先を促す。
「その、もしも、だけど。もしも、付き合うことになったとして。メシアの身体には触れない。僕だって健全な男だ。性欲は人並にある。でも、メシアは性的なことに嫌悪感を抱いているから。恋人になったら性欲を制御できる自信ないし」
顔を真っ赤にさせ言い募る少年が視線を刀次郎に向けてくる。
縋るような瞳で男を見る蒼真の口からは「吉良さん」と偽名が零れ落ちる。
「吉良さんは。男性と、セックス、したことある?」
もじもじ、と膝の上で手を弄りながら上目に問うてくる少年は、自分が男を誘っていることに気付いていないのだろう。
今すぐにでも魅惑的な唇に吸い付き舌を絡めてしまいたい。
「ええ。私はバリタチなので挿れたことしかありませんが。蒼真さんは経験がお有りで?」
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