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第四章 二つの闇
十五話 混淆の男 3
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玉蓮は、その光景に目を見張った。「降将にも容赦なし」——塾で誰かがそう言っていた記憶が、ふっと浮いたからだ。
この男は、戦場においては、冷徹にして残虐な采配を振るう将軍のはず。捕らえた敵将であっても、その処遇は常に苛烈を極め、情け容赦のない決断を下す、と。
だから、いつからか「殺戮将軍」と呼ばれ始めた。
しかし、今、眼前で繰り広げられている光景は、聞いていた赫燕の印象とはかけ離れている。捕らえた敵将を丁重に扱い、その忠義に敬意を払う。その最期まで。
(この男は……)
だが、老将が兵士に連れられていき、その背中が見えなくなった、まさにその瞬間。赫燕は、残された捕虜たちに、まるで虫けらを見るような目を向けた。
「——片付けろ」
氷のような命令。部下たちが、命乞いをする捕虜たちを天幕の外へ引きずり出していく。直後、外から聞こえてきたのは、悲鳴と、ドサリと何かが崩れ落ちる重い音。
断末魔が響く中、赫燕は表情一つ変えず、いや、それどころか笑いながらゆっくりと杯の酒を飲み干した。
(この男は一体なんなのだ……)
天幕の中の光と影が、まるで水の中のように歪んで見える。どちらが、この男の本当の顔なのか。残虐な獣か、気高い王か。あるいは、そのどちらもが本当の顔なのか。
玉蓮が感じたのは、激しい眩暈。自分が立っている大地そのものが、揺れているようだった。
この男は、戦場においては、冷徹にして残虐な采配を振るう将軍のはず。捕らえた敵将であっても、その処遇は常に苛烈を極め、情け容赦のない決断を下す、と。
だから、いつからか「殺戮将軍」と呼ばれ始めた。
しかし、今、眼前で繰り広げられている光景は、聞いていた赫燕の印象とはかけ離れている。捕らえた敵将を丁重に扱い、その忠義に敬意を払う。その最期まで。
(この男は……)
だが、老将が兵士に連れられていき、その背中が見えなくなった、まさにその瞬間。赫燕は、残された捕虜たちに、まるで虫けらを見るような目を向けた。
「——片付けろ」
氷のような命令。部下たちが、命乞いをする捕虜たちを天幕の外へ引きずり出していく。直後、外から聞こえてきたのは、悲鳴と、ドサリと何かが崩れ落ちる重い音。
断末魔が響く中、赫燕は表情一つ変えず、いや、それどころか笑いながらゆっくりと杯の酒を飲み干した。
(この男は一体なんなのだ……)
天幕の中の光と影が、まるで水の中のように歪んで見える。どちらが、この男の本当の顔なのか。残虐な獣か、気高い王か。あるいは、そのどちらもが本当の顔なのか。
玉蓮が感じたのは、激しい眩暈。自分が立っている大地そのものが、揺れているようだった。
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