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第六章 首輪の在り処
三十一話 華の策略 1
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砂塵舞う荒野。一人の男が、玉蓮の足元に引き据えられていた。城主の嫡男。年齢は玉蓮とそう変わらない。
「お前か。赫燕軍の女兵士は」
男は玉蓮を見上げ、鼻で笑った。
「あなたは、城主の嫡男ですね」
「傾国と謳われる公主が! どうせ、赫燕の夜の慰み者だろう!」
嘲るような笑み。だが、微かにその裏には怯え、恐れが見え隠れしている。滴り落ちる汗が、震える顎先が、青白く色をなくしていく唇が、玉蓮の視界に映る。
玉蓮は、表情を変えることなく、足を前に踏み出した。一歩、また一歩と、その男に向かって近づいていく。
「玉蓮」
朱飛の制止を促す、鋭い緊張感が込められた一言。それほどまでに、玉蓮は、身動き一つ取れないように縛られた男の間近にまで近づいていた。
玉蓮は、ゆっくりとその男の周りを歩く。そして、男の右手人差し指に嵌められた、豪奢な翡翠の指輪に目を留めた。
「き、貴様ッ」
玉蓮は、その男の縄で厳重に縛られた手に、まるで貴重な宝石に触れるかのように、そっと指先を伸ばした。
肌に触れるか触れないかの繊細さで、そのまま指を辿り、狙いを定めていた指輪へと到達する。指先が、冷たい翡翠に触れた瞬間、男の体が一瞬硬直した。
「あなたも……わたくしをお望みですか」
「な、何を……」
男が毒気を抜かれたように息を呑んだ、その隙。玉蓮は、男の指の関節を強く押し込み、躊躇なく一気に指輪を引き抜いた。
「——っ!」
摩擦で皮が擦れる痛みがあったのだろう。男が短く呻く。だが、玉蓮は一切動じない。
「……ならば、この翡翠の指輪を、いただきますね」
「玉蓮」
背後で見ていた朱飛が、再び名を呼ぶ。これ以上、捕虜と関わるなという警告だろう。だが、玉蓮は抜き取った指輪を空にかざし、ふ、と冷たく微笑んだ。
「お前か。赫燕軍の女兵士は」
男は玉蓮を見上げ、鼻で笑った。
「あなたは、城主の嫡男ですね」
「傾国と謳われる公主が! どうせ、赫燕の夜の慰み者だろう!」
嘲るような笑み。だが、微かにその裏には怯え、恐れが見え隠れしている。滴り落ちる汗が、震える顎先が、青白く色をなくしていく唇が、玉蓮の視界に映る。
玉蓮は、表情を変えることなく、足を前に踏み出した。一歩、また一歩と、その男に向かって近づいていく。
「玉蓮」
朱飛の制止を促す、鋭い緊張感が込められた一言。それほどまでに、玉蓮は、身動き一つ取れないように縛られた男の間近にまで近づいていた。
玉蓮は、ゆっくりとその男の周りを歩く。そして、男の右手人差し指に嵌められた、豪奢な翡翠の指輪に目を留めた。
「き、貴様ッ」
玉蓮は、その男の縄で厳重に縛られた手に、まるで貴重な宝石に触れるかのように、そっと指先を伸ばした。
肌に触れるか触れないかの繊細さで、そのまま指を辿り、狙いを定めていた指輪へと到達する。指先が、冷たい翡翠に触れた瞬間、男の体が一瞬硬直した。
「あなたも……わたくしをお望みですか」
「な、何を……」
男が毒気を抜かれたように息を呑んだ、その隙。玉蓮は、男の指の関節を強く押し込み、躊躇なく一気に指輪を引き抜いた。
「——っ!」
摩擦で皮が擦れる痛みがあったのだろう。男が短く呻く。だが、玉蓮は一切動じない。
「……ならば、この翡翠の指輪を、いただきますね」
「玉蓮」
背後で見ていた朱飛が、再び名を呼ぶ。これ以上、捕虜と関わるなという警告だろう。だが、玉蓮は抜き取った指輪を空にかざし、ふ、と冷たく微笑んだ。
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