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7 気がついたら前世のイケメン(今世のブサイク)が幼女になってた
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「…………」
「…………」
ドヤァッとマスクとサングラスを取った店主さんは、なぜか目をぎゅっとつぶっている。
いい年した大人のイケメン(但し前世に限る)が、目をぎゅうぎゅうにつぶってるの可愛いな。中学生のキス待ち顔かな?
しかし、沈黙の多い面接ですね。
「…………」
「…………」
「…………どう?」
「えーっと、どうとは?」
「もう吐いた?」
「え、いやいや、さすがに人様の顔を見て吐きませんよ。失礼でしょ」
「いや、普通のことだから! 俺だって、自分の顔じゃなければ、こんなの吐いてたから」
「いや、自虐がすぎるでしょ、それ」
思わず呆れたような声が出てしまう。目の前の店主さんが、おそるおそるという感じで薄目を開ける。
「あれ、本当に吐いてない……?」
「吐いてないです」
「……しかも、俺の顔、見てる?」
「そりゃ、面接中によそを見るほうが失礼じゃないですか」
店主さんの目が、ガバッと開いた。
「俺の顔、見てるぅ~!!!」
「うわっ。店主さん、大丈夫です? メンタル生きてる?」
いきなり滂沱の涙を流し始めた店主さんに、ちょっと引いた。
「え、素顔で女の子と目が合ったの、人生初かも……」
だばだば涙を流しながらつぶやく店主さんに、思わず同情した。
前世だったら、女の子に囲まれてキャーキャー言われてただろうに。
そう思うくらいには、店主さんの顔は(前世的には)整っていた。すっと通った鼻筋に、ぱっちりした目。柔らかなウェーブのかかった髪に、甘い雰囲気の下がり眉。
うーん、甘やかイケメン。ちょっと年が上なのが逆に良い。大人の包容力と、甘い雰囲気がたまらないと言われそう。
「いや、だが、食事をするとなると別だ! 誰だってブサイクが食事をするシーンなんて、嘔吐するしかない」
店主さんの人間不信ぶりがすごい。
「その人たち、体調が悪かったのでは?」
「いや、ブサイクがそこにいるだけで人は吐くんだよ。――というわけで、二次試験は、俺と一緒にご飯を食べることだ!」
「はあ……別にかまいませんけど」
正直おなかもすいていたし、ご飯を食べられるなら、お言葉に甘えたい。
素直にうなずくと、なぜかぎょっとした顔をする店主さん。
いちいち驚いた顔をするの、なんなんだろう。どういう態度をとればいいのか、誰か正解を教えてほしい。
そんなことを考えているうちに、店主さんは一つ頷き、おそるおそる尋ねてきた。
「なに食う? なになら食えそう? おかゆ? ゼリー? 白湯?」
「え、なにそのメニュー……。ここ病人食専門定食屋なんですか? わざわざここにきておかゆ食べるなら、家で寝てたほうがいいんじゃ……。え、それに白湯? この店、白湯がメニューにあるんですか? そもそもそれ、食事……?」
「いや、普通の定食屋だけど、よく考えて? 俺の顔を見ながら食べるんだぜ? 流し込めるほうがいいんじゃねえの?」
「……普通のご飯でお願いします。店主さんが食べるのと同じものを」
店主さんは信じられないようなものを見るような目で私を見た後、私と目が合っていることに再度ぎょっとし、それからうれしそうに笑った。
うわ、邪気のない笑顔。なんだか店主さんが幼女に見えてきたなー。
「…………」
ドヤァッとマスクとサングラスを取った店主さんは、なぜか目をぎゅっとつぶっている。
いい年した大人のイケメン(但し前世に限る)が、目をぎゅうぎゅうにつぶってるの可愛いな。中学生のキス待ち顔かな?
しかし、沈黙の多い面接ですね。
「…………」
「…………」
「…………どう?」
「えーっと、どうとは?」
「もう吐いた?」
「え、いやいや、さすがに人様の顔を見て吐きませんよ。失礼でしょ」
「いや、普通のことだから! 俺だって、自分の顔じゃなければ、こんなの吐いてたから」
「いや、自虐がすぎるでしょ、それ」
思わず呆れたような声が出てしまう。目の前の店主さんが、おそるおそるという感じで薄目を開ける。
「あれ、本当に吐いてない……?」
「吐いてないです」
「……しかも、俺の顔、見てる?」
「そりゃ、面接中によそを見るほうが失礼じゃないですか」
店主さんの目が、ガバッと開いた。
「俺の顔、見てるぅ~!!!」
「うわっ。店主さん、大丈夫です? メンタル生きてる?」
いきなり滂沱の涙を流し始めた店主さんに、ちょっと引いた。
「え、素顔で女の子と目が合ったの、人生初かも……」
だばだば涙を流しながらつぶやく店主さんに、思わず同情した。
前世だったら、女の子に囲まれてキャーキャー言われてただろうに。
そう思うくらいには、店主さんの顔は(前世的には)整っていた。すっと通った鼻筋に、ぱっちりした目。柔らかなウェーブのかかった髪に、甘い雰囲気の下がり眉。
うーん、甘やかイケメン。ちょっと年が上なのが逆に良い。大人の包容力と、甘い雰囲気がたまらないと言われそう。
「いや、だが、食事をするとなると別だ! 誰だってブサイクが食事をするシーンなんて、嘔吐するしかない」
店主さんの人間不信ぶりがすごい。
「その人たち、体調が悪かったのでは?」
「いや、ブサイクがそこにいるだけで人は吐くんだよ。――というわけで、二次試験は、俺と一緒にご飯を食べることだ!」
「はあ……別にかまいませんけど」
正直おなかもすいていたし、ご飯を食べられるなら、お言葉に甘えたい。
素直にうなずくと、なぜかぎょっとした顔をする店主さん。
いちいち驚いた顔をするの、なんなんだろう。どういう態度をとればいいのか、誰か正解を教えてほしい。
そんなことを考えているうちに、店主さんは一つ頷き、おそるおそる尋ねてきた。
「なに食う? なになら食えそう? おかゆ? ゼリー? 白湯?」
「え、なにそのメニュー……。ここ病人食専門定食屋なんですか? わざわざここにきておかゆ食べるなら、家で寝てたほうがいいんじゃ……。え、それに白湯? この店、白湯がメニューにあるんですか? そもそもそれ、食事……?」
「いや、普通の定食屋だけど、よく考えて? 俺の顔を見ながら食べるんだぜ? 流し込めるほうがいいんじゃねえの?」
「……普通のご飯でお願いします。店主さんが食べるのと同じものを」
店主さんは信じられないようなものを見るような目で私を見た後、私と目が合っていることに再度ぎょっとし、それからうれしそうに笑った。
うわ、邪気のない笑顔。なんだか店主さんが幼女に見えてきたなー。
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