一坪から始まる新世界創造

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第047話 人材集め

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 目覚めは爽快で。

 今日も一日頑張ろうかなと起き上がり、娘さん達を起こそうかと部屋を覗いてみると三人が川の字になって狭いベッドに寝転がっていた。

 昨日は一仕事やり遂げたので、祝勝会でもやっていたのだろうか。

 まだ太陽が昇り切るまでは間があるので、俺も一風呂でも浴びてこようかなと音を立てず扉を閉めた。

 すっきり爽やか二倍増しで食事を終えて、てくてくと曰く付きの屋敷へ。

 住居を作るのが先のようだが、資材とか買い込むのと移送に時間がかかる。

 なので、先に浴室のケアだけ済ませておこうかなと。

 そうしないと、いつまで経っても説明やトレーニングが進まない。

 資材の手配に関しては木と言えばこの人レーシアさんと、色々と経験値なら任せておけのアイシャさんにお願いしたので、大丈夫。

「んじゃ、排水の管路の確認と、立ち上げの状況確認。それが終わったら実際の工事かな」

「せやな」

 ここは職人エルディアさんに任せて、指示通りに水を出したり、お湯を出したり。

「詰まってへんし、掃除もしてくれたみたいやわ。このままいけるで」

「結構排水は激しいと思うけど」

「管路が結構余裕があるからええやろ。傾斜もそれなりにあるさかい、神経質にならんでもええで」

 そんな感じで調査を完了させてタイル貼り。

 左官さんも真っ青にエルディアさんがモルタルもどきを塗っていき、ぺとぺととタイルを貼っていく。

 浴槽、床、壁と。

 ぬりぬりぺとぺと。

 ぬりぬりぺとぺと。

 最後に目地を充填して、タイルを磨いたら完成。

 並べてみると群青よりも紺青を思わせる深い青が落ち着きを感じさせる。

 ぬめるような象牙じみた白亜の浴槽がそこに浮かび上がり、灯火の下幻想的な雰囲気を醸し出す。

「裸でおるんやったら、ちょっと寒々しいやろか?」

「壁際に生花なんかを飾ったらどうかな。華やかさが引き立つし、雰囲気も柔らかくなるし」

「世話は大変やけど、ええやん、それ」

 そんな感じで話をしていると、アイシャさんとレーシアさんも戻ってきたので、鑑賞会。

 ちなみに、家の資材は多めに頼んだので、優先的に明日持ってきてくれるそう。

 アイシャさんの交渉力に感謝。

「水回りの挙動の確認もしたいし、入ってみる?」

 と尋ねると、女性陣の待ってましたという反応。

 脱衣所というか、更衣室を考えないと駄目だなと思ったが。

 元々洗い場だったので、汚れ物を溜める前室があるのでそこで施術着に着替えたりすれば良いかと。

 お湯と手ぬぐいだけ用意して、ささーと退散することにした。

 外に出て、排水の確認。

 暫く待っていると、問題なく流れてくるのを確認して取り敢えずのお仕事は完了。

 後は内装とかをディリータさんと相談してお願いすれば良いかなと。

 施術をする人材は必要なので、どうやって募集しようかなと考えていると、三人が上機嫌で向かってきた。

「人材……ですか?」

 こういう場合、一般的にどうやって人を集めるのかと尋ねてみると。

 アイシャさん曰く、短期間であればハローワーク機能で冒険者に頼む形。

 長期間だと、奴隷を雇うそうで。

 奴隷に関してはネガティブじゃないものもあり、寡婦の人とかが生活のために借金奴隷になったりするので一般的なのだそう。

 セーフティーネット的に使われているんだなと思いながら、こちらで教育含めて用意した方が良いかなと判断。

 てくてくと、人買い屋さんに向かうことに。

 結論として、手頃な額の借金奴隷の人は中々人気らしく、想定した人材はおらず。

 後は借金の規模が大きかったり、酒や遊びで身を持ち崩した人とか出所が怪しい人とかだったので、躊躇。

 ふむぅと考えていると、店員さんがつつーと近寄ってきて耳打ち。

「訳ありの人ですか?」

 聞くと冒険者崩れで怪我の後遺症を患っていたり、怪我の予後が悪い人、若すぎる人とかは表に出していないそうで。

 人物的には問題ないけど、そういう理由で積極的にオススメはしていないそう。

 話をしてみると、仕事の意欲もあるし良いかなと。

 若い子は十歳くらいで、ちょっとクローネちゃんを思い出したけど、裏方も必要なのでこの際雇っちゃおうかなと。

 女性ばかり五名を確保。

 思ったよりも出費も少なく、五名を連れて宿に戻りました。

 さくっと、五人部屋を二つ借り直しまして。

 やってもらう事の説明を一通り。

「しかし……。この体で出来るのでしょうか?」

 今回一番年長さんのゲレティアさんが少し心配そうに尋ねてくる。

 元々侍女の仕事をこなしていたそうなのだが、馬車との接触事故で左目と左腕を失う大怪我を負ったそうで。

 非常に受け答えも聡明で、期待のホープだ。

「その……、介添えとなると力仕事だと思うのだが、難しいとは思う」

 懸念を表明したのはヘルベさん。

 元冒険者で筋肉質なドワーフなのだが、レーシアさんのように討伐中の怪我で左足の膝がおかしくなり引退したとのこと。

 慣れない入浴の際の介添えに期待している。

「それに奥様方となれば高貴な方も出入りすると思います。このような顔では……」

 少し悲しそうに話すのは、イリオルテさん。

 料理店で働いていた時に、油を頭から被ってしまって火傷を負ったようで。

 安いポーションで治してしまい、痕が残ってしまったらしく。

 サロンでちょっとした軽食なんかも出せたら嬉しいので、かなり活躍を期待している。
「その話では、そもそも仕事が出来ないのだが……」

 失われた左手を見せるように腕を上げたのは、ジャクリンさん。

 大工をしていたそうなのだけど、事故で左腕を失ったそう。

 施術もさることながら、館のメンテナンスも期待出来るかなと。

 最後に静かに聞いているのが、ムールちゃん。

 小さな時の落下事故で、右足に損傷を負ったそうで、今でも後遺症で引きずるそう。

 裏方を頑張ってくれたら嬉しいなと。

「大丈夫です。任せて下さい」

 にこやかにそう告げて、『一坪の世界』へご招待してみた。
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