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6 愛は全てを救うのです
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王城前広場で開かれている式典は、滞りなく進んでいく。
婚約者や恋人がいないからと、普段私たちを羨ましがっていた魔法騎士団員たちも、今日はほぼ全員が女性と一緒だ。
今日は皆、仕事とはいえパートナーと一緒のひと時を過ごせて役得って顔をしている。
あとでからかっちゃおう――そんな呑気なことを考えていると、ウィリアム様が突如、空に向けて魔法を放った。
キンッ!!
澄んだ音を立てて、真っ黒な矢が結界魔法にぶつかり、勢いを失って地面に落ちる。
「敵襲だ! 皆、建物の中に避難しろ!」
ウィリアム様が叫ぶと、式典の参加者たちが悲鳴を上げながらあちらこちらへ駆け出していく。
式典会場は、一気に混乱に陥ってしまった。
「魔法騎士団、結界を張れる者はただちに展開! ヴェント隊は敵の居場所を探査し捕縛、テーラ隊は式典参加者の避難誘導! イグニ隊は逃亡者を追跡確保――」
団長のオースティン伯爵が次々に指示を飛ばしていく中、ウィリアム様も結界を維持しつつ、結界を抜けてくる矢を剣で撃ち落としていく。
落ちた矢に目をやると、全ての矢が黒い呪いの靄に覆われていた。
「聖女部隊、負傷者の治療を開始! アクア隊は聖女たちを死守!」
オースティン伯爵の指示に従い、私も聖女たちに混ざって負傷者の治療を開始した。
そう、この敵襲は予測済みだったのだ。
教会に不満を持っている聖女たちを味方につけ、式典に乗じて脱走を手助けし、魔法騎士たちのパートナーとして配備していたのである。
ウィリアム様もアクア隊の一員として、私たちを矢の雨から守ってくれている。
しばらくすると矢の雨は徐々に弱まり、ついに止まったのだった。
「よし、各隊、次のプランに移行!」
頭上の結界が解除され、これで一安心――そう思ったのも束の間。
「ミアっ!!」
ウィリアム様が叫ぶと同時に、私の方を目掛けて、真っ黒な矢が猛スピードで飛来する。
間に合わない――そう思った時には、真っ黒な矢は、私を庇って飛び出したウィリアム様の腹部に深々と刺さっていたのだった。
ウィリアム様は、矢の飛んで来た方向にカウンターで魔法を放つと、スローモーションのように倒れてしまった。
「――っ! ウィリアム様……?」
私は一瞬、目の前で起きたことが理解出来なかった。
ウィリアム様に刺さっている矢は、他のものと比べ物にならないほど真っ黒な、強い呪いがかけられている。
震える声で彼の名を呼んでも、瞼はかたく閉じたままだ。
「大変! こんな強い呪い、私たちには……」
周りで負傷者の治療をしていた聖女たちは、あまりにも強力な呪いに目を逸らしている。
けれど、他の聖女の悲痛を耳にした私は、我に返って気持ちを切り替えた。
「――出来る。私は絶対に諦めない。お願い、ウィリアム様、帰ってきて……!!」
聖なる光が、集まってゆく。
だが、いくら力を注いでも、呪いが進むスピードが早すぎて追いつかない。
「ウィリアム様、駄目、行かないで。私、あなたと一緒にやりたいこと、まだまだたくさんあるんです……っ」
私は片手を患部にかざしながら、もう片方の腕をウィリアム様の頭の下に差し込む。
力が抜けて重くなった頭を膝と腕で支えて、抱きかかえるようにして語りかけると、光がさらに強まる。
黒い呪いを少しずつ、白い光が押し戻し始めた。
「ウィリアム様……帰ってきて。愛しているの。もう、一人じゃ生きていけないの。――お願い、ウィル様っ!!」
――太陽が落ちてきたみたいに、まばゆい光が、あたりに満ちる。
たっぷりの余韻を残して、光が徐々に収まっていく。
そして。
腕の中で最愛の彼が、ぴくりと動いた。
「……ミア?」
「ウィリアム様……っ! 良かった……。本当に良かった……!」
ゆっくりと目を開いて、いつも通り甘い声で私の名を呼ぶウィリアム様に、私は思い切り抱きつく。
黒い靄は、もうすっかり消え去っていた。
「ミア……ありがとう」
私は感極まって言葉が出てこない。
ただ、彼のぬくもりを感じながら、ふるふると首を横に振る。
ウィリアム様は腕を持ち上げて、私の頭を優しく撫でてくれた。
「俺も、君を愛しているよ。君がいないと、生きていけない」
「ウィリアム様、聞いていたのですか……?」
「ウィルって、呼んでほしいな。さっきみたいに」
耳元で囁かれるその言葉に、私は顔から火が出るほど恥ずかしくなって、ウィル様の胸に顔を埋めた。
ウィル様は、ぎゅっと抱きしめ返してくれる。
「……ウィル様」
「ミア……!」
ウィル様は、私を抱く腕に力を込めたのだった。
それからしばらくして。
街に呪いを蔓延させていたのは、教会の仕業だったことも判明した。
呪いをばら撒き、解呪の出来る聖女を独占し、お金もうけをしていたらしい。
教会がどうやって物に魔族の呪いを籠めたのか、なぜ今回の式典で暴動を起こしたのか、詳しいことは今も調査中である。
そして私は、この騒動で、確信を持ったことがある。
聖女の力は、守りたい者への想いの強さが原動力なのだ。
ウィル様と心を通わせ、心から彼を愛していたからこそ、私はウィル様を救うことが出来たのである。
この国も、聖女たちも、これから大きな変化を迎えるだろう。
けれど一人ひとりが、大切な人たちと心通わせ、守りたい者の輪を広げていけば、それはきっと皆を守る強い力になるのだ。
そしてそれは聖女に限ったことではない。
人が人を想う気持ちは、良くも悪くも強い力になる。
だからこそ、笑顔の輪を広げていけたらいいなと思うのだ。
一人の笑顔から連なって、たくさんの笑顔の花が咲いたら、それは大きなプラスの力になる。
そう、まずはここから――
「ね、ウィル様」
「ん? ああ」
私が笑顔でウィル様に話しかけると、ウィル様は首を傾げながらも微笑み返してくれた。
お父様もお母様も、幸せそうな私たちを見てニコニコしている。
今日から私は、正式にウィル様の妻になるのだ。
誓いのくちづけは、陽だまりのような幸せの味がした。
(完)
――*――
お読みくださり、ありがとうございました!
コンテスト用に書き上げたもので、字数制限があったため、駆け足になってしまいました。
当作品は今後長編化する予定があり、現在執筆を進めています。
公開時期等が決定致しましたら、本稿の次話もしくは活動報告に続報を掲載させていただきますので、お気に入り登録をしていただけましたら幸いです( *´艸`)
改めまして、最後までお読み下さり、ありがとうございましたー!
婚約者や恋人がいないからと、普段私たちを羨ましがっていた魔法騎士団員たちも、今日はほぼ全員が女性と一緒だ。
今日は皆、仕事とはいえパートナーと一緒のひと時を過ごせて役得って顔をしている。
あとでからかっちゃおう――そんな呑気なことを考えていると、ウィリアム様が突如、空に向けて魔法を放った。
キンッ!!
澄んだ音を立てて、真っ黒な矢が結界魔法にぶつかり、勢いを失って地面に落ちる。
「敵襲だ! 皆、建物の中に避難しろ!」
ウィリアム様が叫ぶと、式典の参加者たちが悲鳴を上げながらあちらこちらへ駆け出していく。
式典会場は、一気に混乱に陥ってしまった。
「魔法騎士団、結界を張れる者はただちに展開! ヴェント隊は敵の居場所を探査し捕縛、テーラ隊は式典参加者の避難誘導! イグニ隊は逃亡者を追跡確保――」
団長のオースティン伯爵が次々に指示を飛ばしていく中、ウィリアム様も結界を維持しつつ、結界を抜けてくる矢を剣で撃ち落としていく。
落ちた矢に目をやると、全ての矢が黒い呪いの靄に覆われていた。
「聖女部隊、負傷者の治療を開始! アクア隊は聖女たちを死守!」
オースティン伯爵の指示に従い、私も聖女たちに混ざって負傷者の治療を開始した。
そう、この敵襲は予測済みだったのだ。
教会に不満を持っている聖女たちを味方につけ、式典に乗じて脱走を手助けし、魔法騎士たちのパートナーとして配備していたのである。
ウィリアム様もアクア隊の一員として、私たちを矢の雨から守ってくれている。
しばらくすると矢の雨は徐々に弱まり、ついに止まったのだった。
「よし、各隊、次のプランに移行!」
頭上の結界が解除され、これで一安心――そう思ったのも束の間。
「ミアっ!!」
ウィリアム様が叫ぶと同時に、私の方を目掛けて、真っ黒な矢が猛スピードで飛来する。
間に合わない――そう思った時には、真っ黒な矢は、私を庇って飛び出したウィリアム様の腹部に深々と刺さっていたのだった。
ウィリアム様は、矢の飛んで来た方向にカウンターで魔法を放つと、スローモーションのように倒れてしまった。
「――っ! ウィリアム様……?」
私は一瞬、目の前で起きたことが理解出来なかった。
ウィリアム様に刺さっている矢は、他のものと比べ物にならないほど真っ黒な、強い呪いがかけられている。
震える声で彼の名を呼んでも、瞼はかたく閉じたままだ。
「大変! こんな強い呪い、私たちには……」
周りで負傷者の治療をしていた聖女たちは、あまりにも強力な呪いに目を逸らしている。
けれど、他の聖女の悲痛を耳にした私は、我に返って気持ちを切り替えた。
「――出来る。私は絶対に諦めない。お願い、ウィリアム様、帰ってきて……!!」
聖なる光が、集まってゆく。
だが、いくら力を注いでも、呪いが進むスピードが早すぎて追いつかない。
「ウィリアム様、駄目、行かないで。私、あなたと一緒にやりたいこと、まだまだたくさんあるんです……っ」
私は片手を患部にかざしながら、もう片方の腕をウィリアム様の頭の下に差し込む。
力が抜けて重くなった頭を膝と腕で支えて、抱きかかえるようにして語りかけると、光がさらに強まる。
黒い呪いを少しずつ、白い光が押し戻し始めた。
「ウィリアム様……帰ってきて。愛しているの。もう、一人じゃ生きていけないの。――お願い、ウィル様っ!!」
――太陽が落ちてきたみたいに、まばゆい光が、あたりに満ちる。
たっぷりの余韻を残して、光が徐々に収まっていく。
そして。
腕の中で最愛の彼が、ぴくりと動いた。
「……ミア?」
「ウィリアム様……っ! 良かった……。本当に良かった……!」
ゆっくりと目を開いて、いつも通り甘い声で私の名を呼ぶウィリアム様に、私は思い切り抱きつく。
黒い靄は、もうすっかり消え去っていた。
「ミア……ありがとう」
私は感極まって言葉が出てこない。
ただ、彼のぬくもりを感じながら、ふるふると首を横に振る。
ウィリアム様は腕を持ち上げて、私の頭を優しく撫でてくれた。
「俺も、君を愛しているよ。君がいないと、生きていけない」
「ウィリアム様、聞いていたのですか……?」
「ウィルって、呼んでほしいな。さっきみたいに」
耳元で囁かれるその言葉に、私は顔から火が出るほど恥ずかしくなって、ウィル様の胸に顔を埋めた。
ウィル様は、ぎゅっと抱きしめ返してくれる。
「……ウィル様」
「ミア……!」
ウィル様は、私を抱く腕に力を込めたのだった。
それからしばらくして。
街に呪いを蔓延させていたのは、教会の仕業だったことも判明した。
呪いをばら撒き、解呪の出来る聖女を独占し、お金もうけをしていたらしい。
教会がどうやって物に魔族の呪いを籠めたのか、なぜ今回の式典で暴動を起こしたのか、詳しいことは今も調査中である。
そして私は、この騒動で、確信を持ったことがある。
聖女の力は、守りたい者への想いの強さが原動力なのだ。
ウィル様と心を通わせ、心から彼を愛していたからこそ、私はウィル様を救うことが出来たのである。
この国も、聖女たちも、これから大きな変化を迎えるだろう。
けれど一人ひとりが、大切な人たちと心通わせ、守りたい者の輪を広げていけば、それはきっと皆を守る強い力になるのだ。
そしてそれは聖女に限ったことではない。
人が人を想う気持ちは、良くも悪くも強い力になる。
だからこそ、笑顔の輪を広げていけたらいいなと思うのだ。
一人の笑顔から連なって、たくさんの笑顔の花が咲いたら、それは大きなプラスの力になる。
そう、まずはここから――
「ね、ウィル様」
「ん? ああ」
私が笑顔でウィル様に話しかけると、ウィル様は首を傾げながらも微笑み返してくれた。
お父様もお母様も、幸せそうな私たちを見てニコニコしている。
今日から私は、正式にウィル様の妻になるのだ。
誓いのくちづけは、陽だまりのような幸せの味がした。
(完)
――*――
お読みくださり、ありがとうございました!
コンテスト用に書き上げたもので、字数制限があったため、駆け足になってしまいました。
当作品は今後長編化する予定があり、現在執筆を進めています。
公開時期等が決定致しましたら、本稿の次話もしくは活動報告に続報を掲載させていただきますので、お気に入り登録をしていただけましたら幸いです( *´艸`)
改めまして、最後までお読み下さり、ありがとうございましたー!
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