悪役令嬢は今日から下町娘!?

0

文字の大きさ
5 / 22
第二章

三話 悪役令嬢になるには、まず勉強から①

しおりを挟む
 父との約束を結んだあと、私はまるまる三日間自室に引きこもり、カイルがどうしたら私のことを嫌いになるかを考えた。
 家のありとあらゆる書物を読みあさった結果、私はとてもいい考えを思いついたのだ。
 その考えとは悪役令嬢として悪行をおこない、大勢の前で婚約破棄されることで。
 そこで私は気づいた。
 『どうやって、悪役令嬢になればいいのだろう』と…。
 今まで勉強や習い事しかしてこなかった私にとって、”悪役令嬢になる”ということはどんな難解な問題よりも難しかった。
 「こんなときは、ルイに相談するしかないわね」
 ルイは物知りだし、頭もいいからきっと何かいい案を教えてくれるはず!
 そう考えた私は三日ぶりに部屋から出たのが、ルイまでの道のりは思った以上に長かった。
 私の引きこもった理由を知らない使用人や父から見たら、私はまさに「家を売却することを伝えられ、ショックで三日間部屋に引きこもった可哀想な子」だったのでルイのいる部屋(一階の一番奥の部屋)に辿り着くまでに、沢山のお菓子といたわり言葉をかけられた。
 例えば、 
 「ナナ様、家なんてなくても生きていけます」
 そう言ってクッキーをくれた掃除担当のおばさんや、
 「ナナ嬢には下町の方が似合うと思うぜ」
 そう言って手作りのクマのぬいぐるみをくれた強面な庭師さんや、
 「ナナ様、連れてってください~」
 そう言って泣きながら私の足にしがみついた新米メイドのあの子(先輩のメイドさんに見つかって、仕事場に強制送還されていたけど)。
 皆が私を大切に思ってくれていることを実感して、少しだけ泣きそうになったけど、何とかルイの部屋に辿り着いた私はそっとノックした。

 ーコンコン
 「ルイ、ちょっといい?」
 ーコンコン
 「私、ナナだけど相談があるの…」
 ーコンコン、コンコン
 「ねぇ、いるんでしょ?ドア、開けてよ」
 ードン、ドン
 「いい加減にしなさい!いるのは分かってるのよ!!諦めて、さっさと開けなさい!」
 どんなに叫んでも叩いても開かないドアにイラつき始めた私は床に置いておいた皆からのプレゼントを端によけ、深呼吸をした。
 そして助走からの飛び蹴りをドアにくらわす為に少しドアから離れ、思いきり走り出した。
 ドアから反対側の壁までの距離は約八m、これなら華麗な飛び蹴りが決まる!
 私がそう確信した瞬間、開かずの扉だったはずのその扉が、いとも簡単に開いたのだ。
 そこから顔を出した人物はまさに私が会いたかった人で…。
 そして今、私はまさに彼が開けたそのドアに飛び蹴りをくらわしてやろうと走っているところで…。
 どんなに私が運動神経がいいからといって、急に止まることはできなくて。
 ーバシッ
 「グェッ…」
 私は思いっきりルイに飛び蹴りをしてしまったのでした。

 その後、ルイの部屋に入れてもらった私はすっごく怒られた。
「何で走ってたんですか!?」とか「何で私に飛び蹴りをする必要があったんですか!?普通にぶつかれば良かったんじゃないんですか!?」とか、とにかく沢山怒られました。
「じゃあ、すぐにドアを開けば良かったじゃないっ!」って言ったら、「貴方だって引きこもってる時、私が行っても全くドアを開けてくれませんでしたよね!」と言われてしまい、何も言い返せなかった。
 ドアをすぐに開けなかったのは、私が引きこもってた時に部屋に入れてもらえなかったことを根に持ってたかららしい。(散々謝ったあとに教えて貰った)
 
   ~続く~

 
 
 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される

柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。 だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。 聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。 胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。 「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」 けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。 「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」 噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情―― 一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

キズモノ令嬢絶賛発情中♡~乙女ゲームのモブ、ヒロイン・悪役令嬢を押しのけ主役になりあがる

青の雀
恋愛
侯爵令嬢ミッシェル・アインシュタインには、れっきとした婚約者がいるにもかかわらず、ある日、突然、婚約破棄されてしまう そのショックで、発熱の上、寝込んでしまったのだが、その間に夢の中でこの世界は前世遊んでいた乙女ゲームの世界だときづいてしまう ただ、残念ながら、乙女ゲームのヒロインでもなく、悪役令嬢でもないセリフもなければ、端役でもない記憶の片隅にもとどめ置かれない完全なるモブとして転生したことに気づいてしまう 婚約者だった相手は、ヒロインに恋をし、それも攻略対象者でもないのに、勝手にヒロインに恋をして、そのためにミッシェルが邪魔になり、捨てたのだ 悲しみのあまり、ミッシェルは神に祈る「どうか、神様、モブでも女の幸せを下さい」 ミッシェルのカラダが一瞬、光に包まれ、以来、いつでもどこでも発情しっぱなしになり攻略対象者はミッシェルのフェロモンにイチコロになるという話になる予定 番外編は、前世記憶持ちの悪役令嬢とコラボしました

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...