悪役令嬢は今日から下町娘!?

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第二章

四話 悪役令嬢になるには、まず勉強から②

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 ルイと仲直りしてから十分後、私はルイが出してくれたクッキーを食べながら『カイルに嫌われよう大作戦』(今、命名した)について事細かに説明していた。
 「ということで、悪役令嬢になるにはどんなことをすればいいのか、物知りなルイなら知ってるかなと思ってきたの」
 私がそう言うと、ルイは少し考えてから「待っててください」と言って奥の部屋へと消えていった。
 久しぶりにきたルイの部屋は綺麗に整理整頓されていて、
 ーガシャン
 それでもって、お菓子の甘い香りがしていた。
 ルイはお菓子を作るのがとても上手で、最近では自分でレシピを考えたりもしているらしい。
 ーガタガタガタ
 今食べているこのクッキーも甘さ控えめでとても美味しくて、帰りに包んで貰お……、
 ーバタンッ、ガラガラガラ、ガッシャン
 「ちょっ、大丈夫!?さっきからすっごい音してるけど、どうしたの?入るわよ」
 私はそうルイに声をかけ、部屋の中に入ろうとしたんだけど、
 「わ~、ダメです!絶対入ってきちゃダメですからね!!入ってきたら絶交ですよ!!!」
 ルイが妙に焦った声を出したから、入るのはやめといた。
 それから三分後、私は奥の部屋からどんなに大きな音がしても気にせず、黙々とクッキーを食べ続けていると、埃まみれなり部屋に入る前よりやつれたルイがある一冊の本を手に奥の部屋から出てきた。
 「はぁはぁ、やっと、見つけました、よ…」
 そう言ってルイが差し出したその本の表紙には《悪役令嬢の恋のお相手は、まさかの執事様!?》と書かれていて。
 「えっ、ルイ…こんな乙女チックなの読んでたの?」
 若干引き気味にルイを見ると、彼は焦ったように顔の前で手を振っていた。
 「違います!その、最近の流行を知らないとナナ様とお話する際に退屈させてしまうかもしれないと思いまして…」
 「ふ~ん…、へ~ん…、ほ~ん…」
 「ナナ様ぁ、そんな顔しないでくださいよぉ」
 「《悪役令嬢の恋のお相手は、まさかの執事様!?》ってねぇ…」
 「ナナ様ぁ(泣)」
 ちょっとルイをからかってみたけど、本気で泣きだしそうな顔をし始めたからそろそろ勘弁してあげようかな。
 「で、何でこの本を持ってきたの?私は悪役令嬢にならなければいけないんだけど…」
 私が話を逸らしてあげると、嬉しそうに顔を上げてルイは話し出した。
 「何故、私がこの本を持ってきたのか。それはこの本の主人公の悪役っぷりをナナ様に学んでもらうためなんですよ!」
 「悪役っぷりを学ぶですって?」
 「はい、そうなんです。主人公ナーシャは悪役の中の悪役って感じで周りの人からも嫌われまくってるのですが、実はそれは全て演技で、でもそんなことを知らない周りの人達は彼女を責めたて街から追い出そうとするです。そんな彼女を守り、助けたのが格好良くて親切で頼りになるしつじ…「で、そろそろ話を進めてくれないかしら?」」
 暴走を始めたルイにそっと声をかけると、ルイはわざとらしく「コホン」と咳払いをして話を戻し始めた。
 「で、さっきの話の続きですが悪役令嬢になるにはナーシャの行動を真似するのが一番手っ取り早いのではないかと思いまして…」
 「行動を真似する、か。具体的にどうすればいいの?」
 「そうですね…」
 ルイはそう言ってもう一度奥の部屋に行くと、中から大きなホワイトボードを持ってきた。
 そしてそこにナーシャがおこなってきた悪行を書き始めた。
 ”その一   気になる人or好きな人に近づく一人の女をターゲットにして、声をかける。「あたしの男に近づくな」的なこと”
 ”その二   その女と彼の邪魔をしまくる。注意、自分の手は汚さずに邪魔をすること”
 ”その三   大勢の前で女をいじめて、彼に絶縁され街を追い出される”
 「最高の悪役令嬢でしょう、ねっ、ねっ?」
 興奮しながらそう語るルイを横目で見ながら、私はホワイトボードに書かれたその計画を見て、私は悪役令嬢のように頬笑みを浮かべた。

 『これならきっと、完璧な悪役令嬢になれる』
 
 
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