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幕間
13.5-2話 処女喪失※
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《前書き》
※元婚約者の行く末に興味がない方は読み飛ばしをお願いします。内容は大分酷いです。
***
書斎でニ回、奥の倉庫で四回、自室に戻って一回。計六回まぐわってしまったところでアルフィーの身体が限界を迎えた。
シーツが縒れに縒れた寝台で、アルフィーはエイヴァの胸に顔を埋めながらむにゃむにゃと幸せそうに寝言を呟いている。まるで子供のようなあどけない寝顔に、エイヴァは夫の額に何度もキスをした。
「はぁ、本当に可愛い」
キスする度に「へぁっ」と間抜けな声を漏らすアルフィーに、エイヴァはうっとりと目を細める。このまま余韻に浸って戯れたいのは山々だが、エイヴァにはやらなければならないことがある。
最後に惜しむように痣か残ったアルフィーの首筋にむちゅっと口づけ、エイヴァは寝台から静かに降り立った。
「奥様。ご用意が整っています」
ネグリジェを身に纏い、寝室から外に出ると、初老の使用人が頭を下げて待機していた。エイヴァは「ご苦労さま」と一言だけ残し、地下へと降りていく。
無論、行く先は決まっている。
捕獲するように命じておいたあれが寝そべっている場所だ。
「ほら、起きなさい。醜い子豚さん」
「ふごっ」
鎖で繋がれた元婚約者を棒でつつき、エイヴァは汚物でも見るかのような目で見下ろす。
直接触れたくはないから物を使って起こしてはいるが、豚の裸はどう足掻いても視界に入ってくる。アルフィーの身体は見ているだけで目の保養になるが、この男の肋骨が透き通った身体は視界濁しにしかならない。
この男の妻とならなくてよかったと、つくづく思う。今となってはジョセフを誘惑してくれたリーリエに感謝だ。
「え、エイヴァ……! 俺をこんな薄汚い場所に閉じ込めたのはお前か!?」
「はい。使用人を介してお願いしました」
「おっ、お前、公爵家の人間にこんな真似を働いてただで済むと思うのか……あっ!?」
穢らわしい。子豚の口から唾が飛んでくるではないか。先ほどまでアルフィーに見せていた顔が嘘だったかのように、エイヴァは軽蔑の眼差しを向ける。
手に持っていた棒でジョセフの愚息をぐりぐりと押し当て、異臭に耐えるようにわざとらしく自らの鼻をつまんだ。ジョセフは相当痛いのか苦しいのか、それとも苦痛を通り越して感じているのか、悶絶しているように見えなくもない。
「い、いだだ、やめ……」
「自分自身の価値でもない家柄や地位を盾に威張る姿は何とも見苦しい。そうは思いませんか?」
「ん、んぐっ」
「どうやら貴方は婚前に不貞行為を働くだけでは飽き足らず、結婚後に至っても、騎士団専属の使用人、屋敷の侍女、他の家の娘やら膨大な範囲で多くの女性に手を出しているそうですね。貴方のお父様は後始末や揉み消しに追われて大変だそうですよ。もう貴方を家から追い出す方が手っ取り早いのではないかと」
「あっ、あぁっ」
ジョセフは呻きながら地面に這いつくばる。エイヴァはかつての婚約者を前に一つ深い息を吐き出すと、初老の使用人が両手に持っていた謎の物体を片手に取った。
青紫の禍々しい色を放つ楕円形のそれは、生き物のようにうねうねと動いている。裏市場の植物店でわざわざ仕入れたものだ。締め付けられるほど激しく動く性質があるらしい。
「これを機会に一度女性の気持ちを知ってみてはいかがでしょう。セバスチャン、彼の身体を俯せにしてあげて」
「承知しました」
「えっ、な、なに? おいっ!」
慌て戸惑うジョセフの身体は、どこかから駆け付けた二人の筋肉質な男達によってひっくり返される。自分で命令しておいて文句を言うのもあれだが、見たくもない男の尻を見せられて心底気分が悪い。
これがアルフィーのお尻ならずっと眺められる。寧ろずっと触っていたい。永遠に揉み拉きたい。
「…………あっ」
エイヴァは何かを考えついたかのように口元を綻ばせる。
そうだ、何も自分が手を下す必要はないではないか。自分の初めてはすべてアルフィーに。アルフィーの初めてはすべて自分が貰い受けよう。
「セバスチャン、ごめんなさい。代わりにお願いできるかしら?」
「奥様?」
「初めてを頂戴するのはアルフィー様がいいの……。アルフィー様の大切な……」
エイヴァは恋する乙女のようにぽっと頬を赤らめ、妄想にふける。
こうはしていられない。一刻も早くアルフィーの元に戻り、可愛い彼を愛でてあげなければ。
「アルフィーさま、今、貴方のもとに帰ります~」
「あっ、こら、待てっ! エイヴァ!」
ジョセフの掛け声も虚しく、エイヴァはうねる物体を使用人の手に戻し、鼻歌を口ずさみながら軽い足取りで地下を後にする。その場に置いてきぼりにされたジョセフは、大男二人と使用人一人に囲まれている状態に。
「大丈夫ですよ、ジョセフ様。痛いのは最初だけですから……」
「え!? ま、待てっ! 何をする気だ!?」
「此方も初めてなので多目に見てください。慣れると気持ちよくなります、多分」
「ちょっ!? やめて、やめてください! お願いします!」
「おい、この汚い尻の穴を広げろ」
「え、待って、本当に? ほん……あああああ!!! 痛い痛い痛いっ! やめ……………………あっ」
ジョセフの断末魔に交えた妙な声が、地下に響き渡る。彼に何が起きているかなど、微塵も知らず、興味もなく。元婚約者の存在を宙の彼方に葬ったエイヴァは、満面の笑みで愛する夫が眠る寝室へと戻っていった。
※元婚約者の行く末に興味がない方は読み飛ばしをお願いします。内容は大分酷いです。
***
書斎でニ回、奥の倉庫で四回、自室に戻って一回。計六回まぐわってしまったところでアルフィーの身体が限界を迎えた。
シーツが縒れに縒れた寝台で、アルフィーはエイヴァの胸に顔を埋めながらむにゃむにゃと幸せそうに寝言を呟いている。まるで子供のようなあどけない寝顔に、エイヴァは夫の額に何度もキスをした。
「はぁ、本当に可愛い」
キスする度に「へぁっ」と間抜けな声を漏らすアルフィーに、エイヴァはうっとりと目を細める。このまま余韻に浸って戯れたいのは山々だが、エイヴァにはやらなければならないことがある。
最後に惜しむように痣か残ったアルフィーの首筋にむちゅっと口づけ、エイヴァは寝台から静かに降り立った。
「奥様。ご用意が整っています」
ネグリジェを身に纏い、寝室から外に出ると、初老の使用人が頭を下げて待機していた。エイヴァは「ご苦労さま」と一言だけ残し、地下へと降りていく。
無論、行く先は決まっている。
捕獲するように命じておいたあれが寝そべっている場所だ。
「ほら、起きなさい。醜い子豚さん」
「ふごっ」
鎖で繋がれた元婚約者を棒でつつき、エイヴァは汚物でも見るかのような目で見下ろす。
直接触れたくはないから物を使って起こしてはいるが、豚の裸はどう足掻いても視界に入ってくる。アルフィーの身体は見ているだけで目の保養になるが、この男の肋骨が透き通った身体は視界濁しにしかならない。
この男の妻とならなくてよかったと、つくづく思う。今となってはジョセフを誘惑してくれたリーリエに感謝だ。
「え、エイヴァ……! 俺をこんな薄汚い場所に閉じ込めたのはお前か!?」
「はい。使用人を介してお願いしました」
「おっ、お前、公爵家の人間にこんな真似を働いてただで済むと思うのか……あっ!?」
穢らわしい。子豚の口から唾が飛んでくるではないか。先ほどまでアルフィーに見せていた顔が嘘だったかのように、エイヴァは軽蔑の眼差しを向ける。
手に持っていた棒でジョセフの愚息をぐりぐりと押し当て、異臭に耐えるようにわざとらしく自らの鼻をつまんだ。ジョセフは相当痛いのか苦しいのか、それとも苦痛を通り越して感じているのか、悶絶しているように見えなくもない。
「い、いだだ、やめ……」
「自分自身の価値でもない家柄や地位を盾に威張る姿は何とも見苦しい。そうは思いませんか?」
「ん、んぐっ」
「どうやら貴方は婚前に不貞行為を働くだけでは飽き足らず、結婚後に至っても、騎士団専属の使用人、屋敷の侍女、他の家の娘やら膨大な範囲で多くの女性に手を出しているそうですね。貴方のお父様は後始末や揉み消しに追われて大変だそうですよ。もう貴方を家から追い出す方が手っ取り早いのではないかと」
「あっ、あぁっ」
ジョセフは呻きながら地面に這いつくばる。エイヴァはかつての婚約者を前に一つ深い息を吐き出すと、初老の使用人が両手に持っていた謎の物体を片手に取った。
青紫の禍々しい色を放つ楕円形のそれは、生き物のようにうねうねと動いている。裏市場の植物店でわざわざ仕入れたものだ。締め付けられるほど激しく動く性質があるらしい。
「これを機会に一度女性の気持ちを知ってみてはいかがでしょう。セバスチャン、彼の身体を俯せにしてあげて」
「承知しました」
「えっ、な、なに? おいっ!」
慌て戸惑うジョセフの身体は、どこかから駆け付けた二人の筋肉質な男達によってひっくり返される。自分で命令しておいて文句を言うのもあれだが、見たくもない男の尻を見せられて心底気分が悪い。
これがアルフィーのお尻ならずっと眺められる。寧ろずっと触っていたい。永遠に揉み拉きたい。
「…………あっ」
エイヴァは何かを考えついたかのように口元を綻ばせる。
そうだ、何も自分が手を下す必要はないではないか。自分の初めてはすべてアルフィーに。アルフィーの初めてはすべて自分が貰い受けよう。
「セバスチャン、ごめんなさい。代わりにお願いできるかしら?」
「奥様?」
「初めてを頂戴するのはアルフィー様がいいの……。アルフィー様の大切な……」
エイヴァは恋する乙女のようにぽっと頬を赤らめ、妄想にふける。
こうはしていられない。一刻も早くアルフィーの元に戻り、可愛い彼を愛でてあげなければ。
「アルフィーさま、今、貴方のもとに帰ります~」
「あっ、こら、待てっ! エイヴァ!」
ジョセフの掛け声も虚しく、エイヴァはうねる物体を使用人の手に戻し、鼻歌を口ずさみながら軽い足取りで地下を後にする。その場に置いてきぼりにされたジョセフは、大男二人と使用人一人に囲まれている状態に。
「大丈夫ですよ、ジョセフ様。痛いのは最初だけですから……」
「え!? ま、待てっ! 何をする気だ!?」
「此方も初めてなので多目に見てください。慣れると気持ちよくなります、多分」
「ちょっ!? やめて、やめてください! お願いします!」
「おい、この汚い尻の穴を広げろ」
「え、待って、本当に? ほん……あああああ!!! 痛い痛い痛いっ! やめ……………………あっ」
ジョセフの断末魔に交えた妙な声が、地下に響き渡る。彼に何が起きているかなど、微塵も知らず、興味もなく。元婚約者の存在を宙の彼方に葬ったエイヴァは、満面の笑みで愛する夫が眠る寝室へと戻っていった。
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