44 / 68
閑話
シヴィルのひとりごと1「フェス行きたかったのに」
窓から入った木もれ日が眩しくて、ぼくはまぶたを開けた。
ログハウスみたいな木の天井、体をうごかしたらベッドがゆれて部屋が見える。立ち上がろうとしたら、バランスをくずしてベッド柵へ頭をぶつけた。
『いったぁ~』
暖炉の薪が燃え、部屋をあたためる。ログハウスにしてはせまくて寒い、まるで馬小屋。柵をつかんで立てば、ベッドはゆりかごのようにゆれる。
「まぁ~! シヴィル、頭ぶつけたの!? 」
知らない女の人が部屋へ入ってきて、ぼくを持ちあげる。
――――ちょっと待って。
女の人のうでに抱えられてうろたえた。
「あうぁ~」
こんらんして声をだしたが言葉にならない。舌っ足らず未満、ぼくは幼児になっていた。
しまりのない口からヨダレが出ても、どうにか言葉をだそうと声をしゃべり続けていた。お腹が空いたと勘ちがいした女の人は、ぼくの口へ乳を押しこんだ。衝撃的なできごとだったが、体が欲していたせいかとても美味しかった。
ぼくはウィリアム・テニエル。
イギリスの片田舎で暮らしていたごく普通の学生だ。ちいさな町では特にすることもなくゲームとマンガがぼくの楽しみ、今週末はゲーム仲間とジャパンフェスへ行く予定だった。
「だぁあ~っ、おまえぇ何やってんだよ! 」
FPSのゲーム画面を見ながら叫んだ。勝手に飛びだして自爆したゲーム仲間へチャットを送信する。そのまま雑談でもりあがり、ちょっとむかしのゲームの話をしていた。
「『ヒザに矢を受けてしまってな』を知らないなんて何ねん生まれだよ。っていうか、ぼくらがすでに老人かよ? 」
笑いながらゲームを終えた。あんまり長い時間やると親にまたゲームを捨てられる。電源を落としてベッドへ横になった。
朝メシ食って、歯みがきして顔を洗う。いつもより早く家を出て学校には余裕で間にあう時間、ヘッドフォンからながれる音楽をうたい道を歩いていると車が突っこんできた。
マジ? こんな広い道路でどんな確立だよ!?
――――そして、ここ。
「あぅあ~」
今週末はジャパフェスへ行く予定だったのにと、ゲップをしてからバブバブ嘆いた。見当もつかない場所で、粗末なへやを見るかぎりぼくの住んでいたところよりもっと田舎だ。ベッドの上で母らしき人の手作りの玩具が回り、考えてるうちに眠くなって寝てしまった。
―――――――――――――――
読んで頂きありがとうございます。
ひとりごとなので、シヴィルの一人称で書いてます。「精霊の港」でまさかの転生者、シヴィルの経験したものがたり。今迄より短めの字数で話を進めようと思ってます。
あなたにおすすめの小説
聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
続・聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
『聖女の兄で、すみません!』(完結)の続編になります。
あらすじ
異世界に再び召喚され、一ヶ月経った主人公の古河大矢(こがだいや)。妹の桃花が聖女になりアリッシュは魔物のいない平和な国になったが、新たな問題が発生していた。
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
