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第十三章 激化する呪い
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目を開けると白い天井が視界に入る。
「桜! よかった……お前が目を覚ましてくれて……」
まだあの空間に居るのかと思ったけど、安心したようなシロの声が聞こえて現実に戻ってこれたんだと実感する。
「シロ……私……」
身体を起こして、ボーっとする頭でも感じられた事は、とりあえず苦しくて息が出来ないということだった。
前にもこんな事が……ああ、あれは保健室でコハクに……ダメだ……なんか大きな川が見えてきた……あれは……メーテル……手招きしてる?
『この際君でもいいや』とか言ってノルマのたしにでもされたら、たまったものじゃない。
このままでは本当に天に召しかねないと思った私は、苦しいという意思表示をシロの背中を叩いて訴えた。
「あ……悪い、桜……大丈夫か?」
やっと気付いてもらえたようで、シロは慌てて腕の力を弱めてくれた。
深呼吸を繰り返すこと数回、やっと新鮮な空気が肺に入ってきて身体中にしみわたっていく。
普通に息できるって幸せな事だったんだなんて思いながら、手を握ったり閉じたりしてみた。少し力が入りにくくはあるけど、よかったちゃんと動く。
「……うん、大丈夫だよ」
それから先生の診察を受けた。
記憶や感覚に異常はないかなどの問診や、指先を器具に挟まれて血中のヘモグロビンの量の検査などが行われ、幸い発見が早くて軽いものだったようでその日のうちに病院から開放された。
担任から詳しい原因は調査中で分からないが、とりあえず謝罪の電話が家族にあったようで心配かけたものの、元気な私の姿を見て安心してくれた。
私が意識を失った後、心配した美香が駆けつけてくれて、シロが付き添って私はすぐに救急車で運ばれたようだ。意識が戻らなかったのは、多分メーテルの影響だろう。
学校に置いていた荷物はカナちゃんが家まで届けてくれたようで、二人には夜にお礼の電話をしておいた。
「身体に障るとあかんから、今日はゆっくり休むんやで」と私に気を遣ってくれたカナちゃん。
お礼を言っただけで電話はすぐに切り上げたものの、顔を見なくて良い分、いつもより普通にカナちゃんと話すことが出来て少しほっとする。
美香には電話をかけるなり、電話口で「よかった……無事で本当によかった……」と泣かれてしまいかなり心配をかけたようだ。
二人に余計な負担をかけた事が心苦しいものの、心配してくれる友達がいるっていいなと改めて実感させられて心が温かい気持ちになった。
それもこれも、コハクに出会えたからだ……あの時、彼が私を先の見えない暗闇から救い出してくれて、今の私がある。
改めてコハクに『ありがとう』と気持ちを伝えていると、そっと後ろから抱き締められた。
「辛くないか? 身体は」
耳元でそう囁かれ、思わず心臓がトクンと跳ねた。
シロとコハクは同じ声のはずなのに、何故かシロが耳元で囁くと色気が何倍も増して聞こえるから不思議だ。
「もう大丈夫だよ。皆に心配され過ぎて逆になんか恐縮しちゃった」
「そうか、でも無理するなよ」
「うん、ありがとう」
「……なぁ、誰に閉じ込められた? クレハの仕業か?」
確かに災いが重なったのは間違いなくクレハにかけられた呪いのせいだろう。
でも、彼は私が閉じ込められた時も火災が発生した時もその場に居なかった。
『何か面白い状況になってるね』
と偶然知ったような感じで現れて、一応は私に助かるための選択肢を投げ掛けてきた。
「違うよ、クレハに閉じ込められたわけじゃないんだ」
「じゃあ誰が?」
「分からない。私の事を快く思っていない女子が……でも、あそこが燃えたのは事故だよ。その子達でもクレハの仕業でもないと思う」
私の言葉にシロは「そうか……」と短く呟いた後、黙りこんだ。
どうしたのか気になって名前を呼び掛けると、シロは私からそっと離れて口を開く。
「桜、お前はもう休んだがいい。明日の朝迎えに来るまで一歩も家から出るなよ?」
「分かった。シロ、もう帰るの?」
背中に感じていた温もりが失われ、少し寂しさを感じながら振り返って尋ねると、案の定シロはテレポートしようとしていたようで目映い光を放っていた。
「ん? ああ……」
いいかけた言葉を飲み込むと、シロはテレポートを止めたのか光が収まっていく。
目を丸くしてこちらを見た彼は、少しだけ首を傾げて私の顔を覗き込んできた。
「なんだ、寂しいのか?」
切れ長の瞳でじっと見つめられ、ストレートに感情を言い当てられてしまった。言葉にするのが恥ずかしくて視線を下に逸らしながら、小さくコクンと頷いた。
すると、頭にポンポンとシロの大きな手がのってくる。
「案ずるな、お前が眠るまで傍に居てやるよ」
顔をあげると、自然に頬を緩めて微笑むシロと目があった。
その笑顔は反則だ……たまに見せてくれるその自然な表情を見ると嬉しくて仕方がない。愛おしさが胸元に突き上げてきてどうにかなりそうになる。
しかし、その時間は長くは続かない。
次の瞬間にはニヒルな笑みへと変わり「特別だ、添い寝してやるよ」と、私の身体を抱えてベッドへと運びだす。
結局、別の意味でドキドキして中々寝付けなかった。
「桜! よかった……お前が目を覚ましてくれて……」
まだあの空間に居るのかと思ったけど、安心したようなシロの声が聞こえて現実に戻ってこれたんだと実感する。
「シロ……私……」
身体を起こして、ボーっとする頭でも感じられた事は、とりあえず苦しくて息が出来ないということだった。
前にもこんな事が……ああ、あれは保健室でコハクに……ダメだ……なんか大きな川が見えてきた……あれは……メーテル……手招きしてる?
『この際君でもいいや』とか言ってノルマのたしにでもされたら、たまったものじゃない。
このままでは本当に天に召しかねないと思った私は、苦しいという意思表示をシロの背中を叩いて訴えた。
「あ……悪い、桜……大丈夫か?」
やっと気付いてもらえたようで、シロは慌てて腕の力を弱めてくれた。
深呼吸を繰り返すこと数回、やっと新鮮な空気が肺に入ってきて身体中にしみわたっていく。
普通に息できるって幸せな事だったんだなんて思いながら、手を握ったり閉じたりしてみた。少し力が入りにくくはあるけど、よかったちゃんと動く。
「……うん、大丈夫だよ」
それから先生の診察を受けた。
記憶や感覚に異常はないかなどの問診や、指先を器具に挟まれて血中のヘモグロビンの量の検査などが行われ、幸い発見が早くて軽いものだったようでその日のうちに病院から開放された。
担任から詳しい原因は調査中で分からないが、とりあえず謝罪の電話が家族にあったようで心配かけたものの、元気な私の姿を見て安心してくれた。
私が意識を失った後、心配した美香が駆けつけてくれて、シロが付き添って私はすぐに救急車で運ばれたようだ。意識が戻らなかったのは、多分メーテルの影響だろう。
学校に置いていた荷物はカナちゃんが家まで届けてくれたようで、二人には夜にお礼の電話をしておいた。
「身体に障るとあかんから、今日はゆっくり休むんやで」と私に気を遣ってくれたカナちゃん。
お礼を言っただけで電話はすぐに切り上げたものの、顔を見なくて良い分、いつもより普通にカナちゃんと話すことが出来て少しほっとする。
美香には電話をかけるなり、電話口で「よかった……無事で本当によかった……」と泣かれてしまいかなり心配をかけたようだ。
二人に余計な負担をかけた事が心苦しいものの、心配してくれる友達がいるっていいなと改めて実感させられて心が温かい気持ちになった。
それもこれも、コハクに出会えたからだ……あの時、彼が私を先の見えない暗闇から救い出してくれて、今の私がある。
改めてコハクに『ありがとう』と気持ちを伝えていると、そっと後ろから抱き締められた。
「辛くないか? 身体は」
耳元でそう囁かれ、思わず心臓がトクンと跳ねた。
シロとコハクは同じ声のはずなのに、何故かシロが耳元で囁くと色気が何倍も増して聞こえるから不思議だ。
「もう大丈夫だよ。皆に心配され過ぎて逆になんか恐縮しちゃった」
「そうか、でも無理するなよ」
「うん、ありがとう」
「……なぁ、誰に閉じ込められた? クレハの仕業か?」
確かに災いが重なったのは間違いなくクレハにかけられた呪いのせいだろう。
でも、彼は私が閉じ込められた時も火災が発生した時もその場に居なかった。
『何か面白い状況になってるね』
と偶然知ったような感じで現れて、一応は私に助かるための選択肢を投げ掛けてきた。
「違うよ、クレハに閉じ込められたわけじゃないんだ」
「じゃあ誰が?」
「分からない。私の事を快く思っていない女子が……でも、あそこが燃えたのは事故だよ。その子達でもクレハの仕業でもないと思う」
私の言葉にシロは「そうか……」と短く呟いた後、黙りこんだ。
どうしたのか気になって名前を呼び掛けると、シロは私からそっと離れて口を開く。
「桜、お前はもう休んだがいい。明日の朝迎えに来るまで一歩も家から出るなよ?」
「分かった。シロ、もう帰るの?」
背中に感じていた温もりが失われ、少し寂しさを感じながら振り返って尋ねると、案の定シロはテレポートしようとしていたようで目映い光を放っていた。
「ん? ああ……」
いいかけた言葉を飲み込むと、シロはテレポートを止めたのか光が収まっていく。
目を丸くしてこちらを見た彼は、少しだけ首を傾げて私の顔を覗き込んできた。
「なんだ、寂しいのか?」
切れ長の瞳でじっと見つめられ、ストレートに感情を言い当てられてしまった。言葉にするのが恥ずかしくて視線を下に逸らしながら、小さくコクンと頷いた。
すると、頭にポンポンとシロの大きな手がのってくる。
「案ずるな、お前が眠るまで傍に居てやるよ」
顔をあげると、自然に頬を緩めて微笑むシロと目があった。
その笑顔は反則だ……たまに見せてくれるその自然な表情を見ると嬉しくて仕方がない。愛おしさが胸元に突き上げてきてどうにかなりそうになる。
しかし、その時間は長くは続かない。
次の瞬間にはニヒルな笑みへと変わり「特別だ、添い寝してやるよ」と、私の身体を抱えてベッドへと運びだす。
結局、別の意味でドキドキして中々寝付けなかった。
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