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第35話 シリウスの秘密
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それにしても汚ない部屋だな。何をどうしたらここまで散らかるんだっていいたくなるくらい、絵の具とか筆とか、画材道具が散乱している。乱暴に積み重ねられているのは、失敗作の絵だろうか?
とりあえず、一つずつやるか。片付けの基本はまず分別からってな。俺は同じ部類の道具をまず仕分けした。乱暴に積み重ねられた絵はサイズごとに綺麗にまとめ直して重ねておく。
粗方仕分けが終わった所で、後は棚に収納したいところだが、何がどこに直してあったのかさっぱりわかんねぇ。
とりあえず一つずつ棚や引き出しを確認して、同じものを見つけたら、そこに収納していくようにした。散乱物が全て片付いた所で、気になるホコリを払い落として、床掃除を済ませる。それなりに綺麗になったし、掃除はこれで完了だ。
さてと、ここからが俺の本当の仕事だ。折角普段来れない場所に来たんだ。ただ掃除だけで終わっちゃ勿体ないよな。
片付けながら戸棚の中は確認させてもらったが、何もおかしなものはなかった。芸術家として、スッゲー数の画材道具揃えてあるのが分かったくらいだ。
描かれている絵のほとんどは風景画で、後は物をデッサンしてある絵がチラホラある程度だった。
ただここで、すげー疑問がわき起こる。わざわざ頻繁にモデルを呼んでいる癖に、人物画が一枚も見当たらない。描いた絵を、シリウスはどこに収納してあるんだ?
部屋を一通り見回しても、特に不自然な場所はない。それならば……俺は床に手をついて、光属性の魔法を部屋全体に流して浄化を試みる。すると、天使みたいな神々しい彫刻品の下で変な魔力の波動を感じた。
どかしてみると、床には不自然な継ぎ目があった。なるほど、床下収納ってわけか。取っ手を探して持ち上げると、そこには二つの大きな宝箱があった。
大きな南京錠でしっかり鍵をされていて、いかにも大事なものを隠してますと言わんばかりだ。これは、中をあらためないわけにはいかねぇよな。シリウスの弱点に繋がるお宝が眠ってそうな予感するし!
解錠なんて創造魔法でちょちょいのちょいだ。
「今、隠された神秘の扉が開かれる~」
一つ目の宝箱の中に、人物の肖像画が入っていた。なんだ、ここに保存してあったのか。それにしても……女ばっかだな。しかも、皆そこそこ美人ばかり。
念のため、もう一つの宝箱も開けてみる。さほど期待せずに軽い気持ちで蓋を開けたら、想像以上にヤバイものを見つけてしまい、慌てて蓋を閉めた。
だ、だだだって、普段は服で隠されているべき所が露になった艶かしい女体がいきなり目の前に飛び込んできたのだ。驚かない方がおかしいよな?!
まさか、裸婦画が収納してあるなんて……だが、チラッとしか見なかったからよく覚えていないが、なんか見覚えのある顔だったような気がする。
これは……もう一度確認するしかないよな。
体の部分が極力見えないよう隠しながら、俺はもう一度宝箱の蓋を開けた。
この顔は……確かさっきの……もう一つの宝箱に入っていた絵のモデルとなった女と同じ顔だ。
ここに来る前、エレインは言ってたな。シリウスが頻繁に女子生徒を呼び出しているって……つまり、絵のモデルとして呼び出された女子生徒達がこの絵の被害者ってことか?
そこまで考えて、俺は顔面からさーっと血の気が引いた。今、モデルにされているのはティアナ達じゃないか!
慌ててそれを元通りになおした俺は、美術室へと急いだ。
「ルーカス、そんなに慌ててどうしたの?」
美術室の扉を開けた俺に掛けられたのは、心配そうに尋ねてくるティアナの声だった。
よかった、ちゃんと皆洋服を着ている。それだけ確認した俺は、ほっと一息ついた。
「片付け終わったの?」
「はい、おわり……ました……」
全力疾走してきたから、マジで疲れた。
「それじゃあ僕達もそろそろ帰ろうか。シリウス、もういいよね?」
「はい、お手伝い頂きありがとうございました」
腰を折って礼を述べるシリウスに、エレインが振り返って声をかける。
「あ、そうそうシリウス。ティアナには今、妹のドレスを仕立ててもらってるんだ。それに、手芸部としての活動もある。忙しいだろうから、手伝いは別の人に頼んであげて」
「かしこまりました、エミリオ様」
帰り際、エレインがシリウスにしっかり牽制を入れて、俺達は美術室を後にした。
ティアナとサンドリア様は、そのまま手芸部の部活に戻り、俺はエレインと共に研究室に戻ってきた。
「あの、エレイン様。シリウスに、何もされてませんか?」
「僕達はただ、あそこでポーズとって立ってただけだよ」
「そうですか。それなら、よかったです」
「えらく歯切れが悪いね。君は何を見つけたんだい?」
裸婦画があったなんて言ったら、どうなる? てか、女のエレインにはすごく言い出しづらいんだが。
それに、あれをシリウスが描いたものだって、確かな保証はない。ただ保管してあるだけじゃ、何とでも言い訳は出来る。
ここはやはり、その絵を描いている最中の現行犯で捕まえなけりゃ意味がないよな。そのためには、美術部に潜入するしかなさそうだ。
「素晴らしい絵画がありました。あんなに素晴らしい絵を描けるなんて、シリウス様はすごいお方ですね」
「そうだね~あの繊細なタッチはシリウスにしか描けないと思う」
「あの、エレイン様」
「何?」
「俺、美術部に入りたいです!」
「……は?」
「シリウス様の絵にとても感銘を受けたんです!」
「そ、そう。頑張れば?」
「ありがとうございます!」
何とかエレインの許可ももらえた事だし、潜入調査開始だ!
とりあえず、一つずつやるか。片付けの基本はまず分別からってな。俺は同じ部類の道具をまず仕分けした。乱暴に積み重ねられた絵はサイズごとに綺麗にまとめ直して重ねておく。
粗方仕分けが終わった所で、後は棚に収納したいところだが、何がどこに直してあったのかさっぱりわかんねぇ。
とりあえず一つずつ棚や引き出しを確認して、同じものを見つけたら、そこに収納していくようにした。散乱物が全て片付いた所で、気になるホコリを払い落として、床掃除を済ませる。それなりに綺麗になったし、掃除はこれで完了だ。
さてと、ここからが俺の本当の仕事だ。折角普段来れない場所に来たんだ。ただ掃除だけで終わっちゃ勿体ないよな。
片付けながら戸棚の中は確認させてもらったが、何もおかしなものはなかった。芸術家として、スッゲー数の画材道具揃えてあるのが分かったくらいだ。
描かれている絵のほとんどは風景画で、後は物をデッサンしてある絵がチラホラある程度だった。
ただここで、すげー疑問がわき起こる。わざわざ頻繁にモデルを呼んでいる癖に、人物画が一枚も見当たらない。描いた絵を、シリウスはどこに収納してあるんだ?
部屋を一通り見回しても、特に不自然な場所はない。それならば……俺は床に手をついて、光属性の魔法を部屋全体に流して浄化を試みる。すると、天使みたいな神々しい彫刻品の下で変な魔力の波動を感じた。
どかしてみると、床には不自然な継ぎ目があった。なるほど、床下収納ってわけか。取っ手を探して持ち上げると、そこには二つの大きな宝箱があった。
大きな南京錠でしっかり鍵をされていて、いかにも大事なものを隠してますと言わんばかりだ。これは、中をあらためないわけにはいかねぇよな。シリウスの弱点に繋がるお宝が眠ってそうな予感するし!
解錠なんて創造魔法でちょちょいのちょいだ。
「今、隠された神秘の扉が開かれる~」
一つ目の宝箱の中に、人物の肖像画が入っていた。なんだ、ここに保存してあったのか。それにしても……女ばっかだな。しかも、皆そこそこ美人ばかり。
念のため、もう一つの宝箱も開けてみる。さほど期待せずに軽い気持ちで蓋を開けたら、想像以上にヤバイものを見つけてしまい、慌てて蓋を閉めた。
だ、だだだって、普段は服で隠されているべき所が露になった艶かしい女体がいきなり目の前に飛び込んできたのだ。驚かない方がおかしいよな?!
まさか、裸婦画が収納してあるなんて……だが、チラッとしか見なかったからよく覚えていないが、なんか見覚えのある顔だったような気がする。
これは……もう一度確認するしかないよな。
体の部分が極力見えないよう隠しながら、俺はもう一度宝箱の蓋を開けた。
この顔は……確かさっきの……もう一つの宝箱に入っていた絵のモデルとなった女と同じ顔だ。
ここに来る前、エレインは言ってたな。シリウスが頻繁に女子生徒を呼び出しているって……つまり、絵のモデルとして呼び出された女子生徒達がこの絵の被害者ってことか?
そこまで考えて、俺は顔面からさーっと血の気が引いた。今、モデルにされているのはティアナ達じゃないか!
慌ててそれを元通りになおした俺は、美術室へと急いだ。
「ルーカス、そんなに慌ててどうしたの?」
美術室の扉を開けた俺に掛けられたのは、心配そうに尋ねてくるティアナの声だった。
よかった、ちゃんと皆洋服を着ている。それだけ確認した俺は、ほっと一息ついた。
「片付け終わったの?」
「はい、おわり……ました……」
全力疾走してきたから、マジで疲れた。
「それじゃあ僕達もそろそろ帰ろうか。シリウス、もういいよね?」
「はい、お手伝い頂きありがとうございました」
腰を折って礼を述べるシリウスに、エレインが振り返って声をかける。
「あ、そうそうシリウス。ティアナには今、妹のドレスを仕立ててもらってるんだ。それに、手芸部としての活動もある。忙しいだろうから、手伝いは別の人に頼んであげて」
「かしこまりました、エミリオ様」
帰り際、エレインがシリウスにしっかり牽制を入れて、俺達は美術室を後にした。
ティアナとサンドリア様は、そのまま手芸部の部活に戻り、俺はエレインと共に研究室に戻ってきた。
「あの、エレイン様。シリウスに、何もされてませんか?」
「僕達はただ、あそこでポーズとって立ってただけだよ」
「そうですか。それなら、よかったです」
「えらく歯切れが悪いね。君は何を見つけたんだい?」
裸婦画があったなんて言ったら、どうなる? てか、女のエレインにはすごく言い出しづらいんだが。
それに、あれをシリウスが描いたものだって、確かな保証はない。ただ保管してあるだけじゃ、何とでも言い訳は出来る。
ここはやはり、その絵を描いている最中の現行犯で捕まえなけりゃ意味がないよな。そのためには、美術部に潜入するしかなさそうだ。
「素晴らしい絵画がありました。あんなに素晴らしい絵を描けるなんて、シリウス様はすごいお方ですね」
「そうだね~あの繊細なタッチはシリウスにしか描けないと思う」
「あの、エレイン様」
「何?」
「俺、美術部に入りたいです!」
「……は?」
「シリウス様の絵にとても感銘を受けたんです!」
「そ、そう。頑張れば?」
「ありがとうございます!」
何とかエレインの許可ももらえた事だし、潜入調査開始だ!
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