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第5話 愛のバカンス

運命のくじ引き

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「そうね、このまま話し合いをしても平行線のままですわ。くじ引きなら・・・・・・公平ですからね」
「うんうん、恨みっこなしで行こう。まっ、私は行き先には拘らないんだけどねっ」
「クジを引くのは・・・・・・やっぱり直哉しかいないわよ。愛しの直哉なら・・・・・・私の書いた紙を引いてくれるはずよ」

 沙織、亜子、葵に異論がないので、優子と紗英もくじ引きで構わないとしたのだ。五人の美少女は、旅行先を紙に書くと二つ折りにしてから小さな箱に入れたのだ。

 そして、箱を回して誰の紙がどこにあるのか分からなくしてから、直哉がその箱から一枚選ぶのであった。

「・・・・・・で、では・・・・・・、恨みっこなしで行きます・・・・・・」

目を瞑り箱の中を手で探り、折られた紙を一枚だけ選ぶと、祈りながら箱から紙を手にした手を抜いたのだ。

 少女達の視線が直哉の手に集まり、息を飲み込むとゆっくり手を開き中の紙を確認する。

「えっと・・・・・・旅行先は・・・・・・『北村グループが保有する島』になりました」
「わたくしの案ですわね。いい所ですよ、プライベートビーチはございますし、必要なら・・・・・・島をわたくし達だけにする事も出来ますわ」
「プライベートビーチ・・・・・・私・・・・・・行った事ないので・・・・・・楽しみ・・・・・・です」

「島を私達だけにも出来るんだね。それなら気楽に泳いだり出来るからいいかなぁ。どんな水着持って行こうかな、直哉・・・・・・いやらしい目で見るのはダメだからねっ」」
「魔女・・・・・・じゃない、沙織の案というのが癪だけど、島ってところがロマンチックね」
「星とか綺麗なのかな。ここでは見えない星を見たいね」

 プライベートビーチというのが気に入ったらしく、異論を唱える人は誰一人いなかった。

 しかし、島に自分達だけという事で他の人を出し抜こうとしている少女がいたのだ。だがこの時はまだ、誰もその事に気がついていなかった・・・・・・。


 旅行の日程も決まり、新しい水着を買う為に優子と亜子、そして紗英は直哉を誘ってショッピングモールへ来ていた。

 そこは沙織と初めて出会った場所であり、また偶然会うのではないかと優子は周囲を警戒していたのだ。

「あの人は・・・・・・いないようね。直哉、見知らぬ美人に絶対ついて行かないようにね!」
「普通はそんな事・・・・・・しないと思うけど・・・・・・」
「え~、直哉君。前科があるじゃない、ここで北村さんについて行ったんだから」
「うん・・・・・・私見てたよ。北村さんと・・・・・・イチャイチャしてたし」
「記憶が捏造されてるから!ついて行ったんじゃなくて、連れていかれたんだよっ。それと、倒れた人を見かけたら普通看病するよね?」

 ジト目で直哉を見つめる三人の美少女は、直哉が勝手にどこかへ行かない方法を考える事にした。

 そして、両脇に優子と紗英がすぐ後ろから亜子がついて歩くようにしたのだ。
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