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第12話 国王だろうとひれ伏しませんわ
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最高の晩餐会だった。席を共にしたのは最低の男であったが。
味付けは超一流なのは言うまでもなく、執事やメイドの応対も完璧すぎる。
公爵家よりも上回っており、さすがは王族と言うべきか。
お腹も心も満たされ、あとは国王との面会を残すだけとなった。
「満足いたしましたわ。レオ王子、感謝の言葉しかでません」
「俺様はレーナの笑顔が見られるだけでいいんだ」
「ありがと。ではお義父様にご挨拶いたしませんと」
「任せな、父上に合わせてやろう」
相変わらずの上から目線は通常営業。
気にするだけ時間の無駄であり、軽く聞き流しレオについていく。
廊下の窓から見えるのは大きく丸い月。
雲ひとつなくより一層美しく見える。
それはまるで美しさが全てだと語りかけているよう。
天にまで背中を押された気がし、レーナは計画の成功を確信していた。
「父上、俺様の婚約者を紹介するぜ」
玉座に座るこの国の最高権力者。
厳格とは真逆で、全てを包み込む優しいオーラを放っている。
甘すぎる性格なのは一目瞭然で、レオの性格が上から目線なのも頷けた。
「初めまして、レオ王子の婚約者になりましたレーナ・グラッセと申しますわ」
公爵家の長女ともなれば、国王の前だろうと緊張などしない。
それどころか、堂々とした態度で場の雰囲気を自分のモノにしてしまう。
美貌という武器に勝るものなど存在せず、国王でさえその魅力に屈しそうになるほど。
挨拶を返すのに数秒いう時間が空く。
歳の差など関係なく見とれていた──恥ずかしさを押し殺し、国王はようやく口を開いた。
「これはこれは、美しい女性ですな。レオには勿体ないぐらいだよ」
「国王陛下にそう言われますと嬉しい限りですわ」
全てを魅了する笑顔を見せるレーナ。
完全に三人の中で一番目立つ存在となる。王の威厳などものともせず、まるで真の主のように異様なオーラを放っていた。
ただ美しいだけでなく、絶世の美女と呼ばれるほどの容姿。
レーナのひと言で国すら傾くかもしれない。
何をしても絵になる。誰もがその姿を目に焼き付けたいと思うのは必然であった。
「──コホン。ところで、婚約発表はいつにするのかの?」
「それは少しお待ちください。物事にはタイミングが大事なのですわ」
「そうか、レーナ殿がそう言うのなら仕方ないな」
理由を深く追求せず、国王はレーナの言いなりとなる。
これも美の力なのか──確証はないがその可能性は大いにあった。
「それよりお義父様、わたくしプレゼントを用意しておりますの」
「私にか?」
「はい、お義父様に召し上がっていただきたく、心を込めてクッキーを作ったのですわ。召し上がっていただけませんか?」
その瞳に見つめられたら答えはひとつ。
国王は迷いなくその答えを選んだ。
「もちろんだとも。どれどれ、これは、美味い、レーナ殿は料理も上手なのだな」
「お褒めいただき、ありがとうございます。では夜も更けてまいりましたので、おいとまさせていただきますわ」
軽く一礼するとレオと共にレーナは玉座の間をあとにする。
目的は果たした──あとは時期が来るまで待つだけ。その口元は悪魔のような微笑みを浮かべていた。
味付けは超一流なのは言うまでもなく、執事やメイドの応対も完璧すぎる。
公爵家よりも上回っており、さすがは王族と言うべきか。
お腹も心も満たされ、あとは国王との面会を残すだけとなった。
「満足いたしましたわ。レオ王子、感謝の言葉しかでません」
「俺様はレーナの笑顔が見られるだけでいいんだ」
「ありがと。ではお義父様にご挨拶いたしませんと」
「任せな、父上に合わせてやろう」
相変わらずの上から目線は通常営業。
気にするだけ時間の無駄であり、軽く聞き流しレオについていく。
廊下の窓から見えるのは大きく丸い月。
雲ひとつなくより一層美しく見える。
それはまるで美しさが全てだと語りかけているよう。
天にまで背中を押された気がし、レーナは計画の成功を確信していた。
「父上、俺様の婚約者を紹介するぜ」
玉座に座るこの国の最高権力者。
厳格とは真逆で、全てを包み込む優しいオーラを放っている。
甘すぎる性格なのは一目瞭然で、レオの性格が上から目線なのも頷けた。
「初めまして、レオ王子の婚約者になりましたレーナ・グラッセと申しますわ」
公爵家の長女ともなれば、国王の前だろうと緊張などしない。
それどころか、堂々とした態度で場の雰囲気を自分のモノにしてしまう。
美貌という武器に勝るものなど存在せず、国王でさえその魅力に屈しそうになるほど。
挨拶を返すのに数秒いう時間が空く。
歳の差など関係なく見とれていた──恥ずかしさを押し殺し、国王はようやく口を開いた。
「これはこれは、美しい女性ですな。レオには勿体ないぐらいだよ」
「国王陛下にそう言われますと嬉しい限りですわ」
全てを魅了する笑顔を見せるレーナ。
完全に三人の中で一番目立つ存在となる。王の威厳などものともせず、まるで真の主のように異様なオーラを放っていた。
ただ美しいだけでなく、絶世の美女と呼ばれるほどの容姿。
レーナのひと言で国すら傾くかもしれない。
何をしても絵になる。誰もがその姿を目に焼き付けたいと思うのは必然であった。
「──コホン。ところで、婚約発表はいつにするのかの?」
「それは少しお待ちください。物事にはタイミングが大事なのですわ」
「そうか、レーナ殿がそう言うのなら仕方ないな」
理由を深く追求せず、国王はレーナの言いなりとなる。
これも美の力なのか──確証はないがその可能性は大いにあった。
「それよりお義父様、わたくしプレゼントを用意しておりますの」
「私にか?」
「はい、お義父様に召し上がっていただきたく、心を込めてクッキーを作ったのですわ。召し上がっていただけませんか?」
その瞳に見つめられたら答えはひとつ。
国王は迷いなくその答えを選んだ。
「もちろんだとも。どれどれ、これは、美味い、レーナ殿は料理も上手なのだな」
「お褒めいただき、ありがとうございます。では夜も更けてまいりましたので、おいとまさせていただきますわ」
軽く一礼するとレオと共にレーナは玉座の間をあとにする。
目的は果たした──あとは時期が来るまで待つだけ。その口元は悪魔のような微笑みを浮かべていた。
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