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第14話 婚約発表は盛大にいたしますわ
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このタイミングこそ絶好のチャンス。
国民が悲しみに打ちひしがれている今こそ、闇を払拭するような明るい出来事が欲しいはず。
予定より早すぎるレオの即位。
不安が国中を覆うのも無理はない。
だからこそ、即位と同時に婚約発表で国を盛り上げる必要があった。
「レーナ、聞いてくれ。今、この国は大きく揺らいでいる。だから……俺様との婚約発表をして欲しい。もちろん断る権利はないけどな」
「どうしましょうかねぇ。なーんてねっ、いいですわよ。この国が悲しんでいる姿なんて、わたくしは見たくありませんからね」
全てはレーナの思惑通り。
最高権力がすぐ目の前にあり、焦る気持ちを必死に抑え込む。
まだダメ、権力というメインディッシュは最後に奪うと決めている。
今は自らの地位を高めるのが優先。
正式に婚約者となれば出来る事が多くなる。
例えば──権力を奪わなくとも傀儡のようにレオを操るとかだ。
「助かるぜ、レーナ。ではさっそく──」
「でも、わたくしとの婚約発表なら派手な方が好みですわ」
このような身勝手な要望など普通は通らないはず。
しかし……レーナにゾッコンのレオはと言うと、思考が麻痺しており正常な判断ができない。
つまり、操り人形のようにレーナの言う事を聞いてしまうのだ。
「そうだよな。俺様とレーナの婚約発表なんだから、派手にしないとな。俺様も同じ事を考えていたぜ」
話を合わせてレーナのご機嫌を取ろうとするレオ。
自覚症状はないが完全に傀儡と化す。
嫌われたくない──その一心で言葉を絞り出している。
たとえそれが自分と反対の意見だろうと、レオはレーナ色に染まる事を選ぶ。それが一番の幸せだと感じているからだ。
「以心伝心で嬉しいわ。パレードで街中を巡るなんてどうかしら?」
「いい案だな。よし、さっそく通達してすぐに婚約発表と俺様の戴冠式を祝おうじゃないか」
贅沢の限りを尽くしてみせる。それこそお金に糸目をつけずに。
絶世の美女である自分だけの特権であり、誰からも異論が上がるはなかった。
今からパレードが楽しみ。
だがレオへの感情は以前と変わっていない。
あくまでもこれは復讐の布石であり、それを忘れるほどマヌケではない。
楽しみながら復讐をする。決して揺らがない心で、婚約発表と戴冠式に臨もうとしていた。
急ピッチで準備が進められ、全てが終わったのはほんの数日であった。
国民には御布令が張り出され、強制参加が義務付けられる。反発があるかと思いきや、意外と乗り気なようで心からお祝いモードで参加しようとしていた。
「すごい人数ですわね」
「それはそうだろ、俺様の戴冠式とレーナとの婚約発表なんだからな」
「あら、てっきりわたくしの美貌を見に来たのかと思ってましたわ」
「そ、そうだな。レーナより美しい人などこの世にはいないからな」
大歓声の中、笑顔のままレーナを褒めるレオ。
機嫌を損ねないようにというのもあるが、美しいというのは紛れもない事実。
絶世の美女の隣にいられるだけで満足し、しかも正式に婚約したのだから細かい事など気にしなかった。
多額の資金を投じたパレードは街中を巡り、群衆に挟まれた道を優雅に進んでいく。祝福の言葉が飛び交い、国民から不安という言葉を忘れさせたのであった。
国民が悲しみに打ちひしがれている今こそ、闇を払拭するような明るい出来事が欲しいはず。
予定より早すぎるレオの即位。
不安が国中を覆うのも無理はない。
だからこそ、即位と同時に婚約発表で国を盛り上げる必要があった。
「レーナ、聞いてくれ。今、この国は大きく揺らいでいる。だから……俺様との婚約発表をして欲しい。もちろん断る権利はないけどな」
「どうしましょうかねぇ。なーんてねっ、いいですわよ。この国が悲しんでいる姿なんて、わたくしは見たくありませんからね」
全てはレーナの思惑通り。
最高権力がすぐ目の前にあり、焦る気持ちを必死に抑え込む。
まだダメ、権力というメインディッシュは最後に奪うと決めている。
今は自らの地位を高めるのが優先。
正式に婚約者となれば出来る事が多くなる。
例えば──権力を奪わなくとも傀儡のようにレオを操るとかだ。
「助かるぜ、レーナ。ではさっそく──」
「でも、わたくしとの婚約発表なら派手な方が好みですわ」
このような身勝手な要望など普通は通らないはず。
しかし……レーナにゾッコンのレオはと言うと、思考が麻痺しており正常な判断ができない。
つまり、操り人形のようにレーナの言う事を聞いてしまうのだ。
「そうだよな。俺様とレーナの婚約発表なんだから、派手にしないとな。俺様も同じ事を考えていたぜ」
話を合わせてレーナのご機嫌を取ろうとするレオ。
自覚症状はないが完全に傀儡と化す。
嫌われたくない──その一心で言葉を絞り出している。
たとえそれが自分と反対の意見だろうと、レオはレーナ色に染まる事を選ぶ。それが一番の幸せだと感じているからだ。
「以心伝心で嬉しいわ。パレードで街中を巡るなんてどうかしら?」
「いい案だな。よし、さっそく通達してすぐに婚約発表と俺様の戴冠式を祝おうじゃないか」
贅沢の限りを尽くしてみせる。それこそお金に糸目をつけずに。
絶世の美女である自分だけの特権であり、誰からも異論が上がるはなかった。
今からパレードが楽しみ。
だがレオへの感情は以前と変わっていない。
あくまでもこれは復讐の布石であり、それを忘れるほどマヌケではない。
楽しみながら復讐をする。決して揺らがない心で、婚約発表と戴冠式に臨もうとしていた。
急ピッチで準備が進められ、全てが終わったのはほんの数日であった。
国民には御布令が張り出され、強制参加が義務付けられる。反発があるかと思いきや、意外と乗り気なようで心からお祝いモードで参加しようとしていた。
「すごい人数ですわね」
「それはそうだろ、俺様の戴冠式とレーナとの婚約発表なんだからな」
「あら、てっきりわたくしの美貌を見に来たのかと思ってましたわ」
「そ、そうだな。レーナより美しい人などこの世にはいないからな」
大歓声の中、笑顔のままレーナを褒めるレオ。
機嫌を損ねないようにというのもあるが、美しいというのは紛れもない事実。
絶世の美女の隣にいられるだけで満足し、しかも正式に婚約したのだから細かい事など気にしなかった。
多額の資金を投じたパレードは街中を巡り、群衆に挟まれた道を優雅に進んでいく。祝福の言葉が飛び交い、国民から不安という言葉を忘れさせたのであった。
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