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第21話 復讐の始まりこそ最高のご馳走

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 失脚させる準備は整った。
 あの悪法を成立させれば、本格的に復讐が始まる。
 レーナは悪魔の顔へと変貌させ、レオのもとへ向かっていった。

「ねぇ、レオ国王、わたくし素晴らしい法律を思いつきましたの」

 甘える声で語りかけるレーナ。
 レオの心をくすぐり操り人形へと変えさせる。

 自分の思い通りに動くのは気持ちがいいもの。
 破滅への道を辿らせようと、ゆっくり動かし始めた。

「レーナが考えたのなら間違いないな。どういうものなのか、俺様に教えてくれないか?」
「いいですわよ。先代の国王は偉大な方であるはずなのに、お墓が少し地味すぎだと思うの。ですから、豪華なお墓を街の中心に建造したらどうかしら?」
「ふむ……。確かにレーナの言う通りだな」

 疑うという言葉は忘却の彼方。
 真剣な眼差しで頷いている。
 思考は完全停止し、レーナの案を採用しようとした。

「だけど、問題がひとつあるの」
「問題……? 解決案があるのなら言ってみるといい。必ず俺様が実現してみせるからな」

 まさに思惑通り──レーナは心の中で嘲笑あざわらい、自滅への道を確実に歩んでいる事に歓喜する。

 まだ甘い、本当の地獄はこの先にある。
 知らない事が幸せであり、一歩踏み出してしまうと辛さが待ち受ける。
 冷たい眼差しを封印したまま、レーナは解決策をレオに伝えた。

「豪華なお墓にするには人手がいるんですけれど、労働力として国民を使いたいの。もちろん貴族とそこに従事する者は除きますけどね」
「だが参加しない者がいたらどうするつもりだ?」
「そんなの簡単ですわ。参加すれば税金は免除、しなければ──10倍の税金をかけるのよ。当然ですけれど、働き詰めにしませんと完成できませんけどね」

 飴と鞭──いや、飴にはなっていない。飴に見せかけた毒と言った方が正しい。

 普通の思考ならこれが何を意味するのか理解できるはず。
 しかし今のレオはレーナの操り人形にすぎない。
 つまりこれが正しい解決案だと信じてしまう。

「名案ではないか。この俺様ですら思いつかなかったぞ」
「これでレオ国王の権威がうなぎ登りになるはずですわ」
「そうれは楽しみだな」

 満面の笑みを浮かべるレオが滑稽で仕方がない。
 表に出そうになる笑いを必死に抑え、沈着冷静な顔を維持する。

 演技力が上達したのか、それともレオがベタ惚れしているだけなのか、どちらにせよ、自らの要望がすんなり通り満足である。
 今や頂きに到達しているレオ、共に歩んできたレーナが突き落とそうとしているなど知る由もない。

 己の運命は薔薇色ばらいろの人生──そのトゲに毒が塗ってあるとは夢にも思わなかった。
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