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『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』
1-47「パトカーのサイレン」
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「パトカーのサイレン」
直の音頭取りで始まった、第二回三朗、稀世の結婚披露宴。薄暗い、西沢米穀特設リング会場は、稀世の登場を待った。「ガタンっ」、リング奥の控室のドアが開き、スポットライトが当たる。テレビ局のカメラと笹井のカメラが稀世の入場を待ち受ける。大阪ニコニコプロレス当時の稀世の入場曲「大阪ファンクラブ」が流れ、白無垢姿の稀世の登場に、会場のニコニコ商店街のメンバー、大阪ニコニコプロレスメンバーとファン、こども食堂、市民サロンの利用者が大きな拍手を送る。
半年前の結婚披露宴の時と同様に、檜の司会により三朗が控室ドアの前に進み、稀世の手を取りゆっくりと会場内を挨拶しながら、まわり始めた。皆からの祝福を受け、ふたりはリングに上がった。檜が会場のみんなに告げる。
「ただいまより、第二回長井三朗君、稀世さんの結婚披露宴を行いたいと思います。皆様、今一度大きな拍手で祝福お願いします。」
会場の米蔵いっぱいに、割れんばかりの大きな拍手と掛け声の渦が巻き起こった。
リング上で、檜から三朗がマイクを受け取り、
「すいません、ばたばたと。一日の間に、「結婚式」やって、その日に「葬式」をやった人は、世界のどこかにいるかもしれませんが、「葬式」やって、その後に「結婚式」をやった人はいないと思います。」
と頭を下げた。会場から大きな笑いと冷やかしの歓声が沸いた。続いて、稀世にマイクが渡される。
「皆さん、ありがとうございます。ついさっきまで「余命半年告知の残り一ケ月無い、いつ死んでもおかしくないポンコツの嫁」こと、私、長井稀世の生前葬から、「余命100年の診断」を受け、この世に戻ってまいりました。この半年、ニコニコ商店街のみなさん、大阪ニコニコプロレスのみなさん、ここでのサービス利用の市民のみなさんの励ましで、実に充実した毎日を送らせていただきました。
今日を節目に、生まれ変わった気持ちで、再び皆さんと一緒の生活を続けることができることになりまして、幸せの絶頂です。三朗さんと一緒に頑張っていきます。今後ともよろしくお願いします。」
と、深々と頭を下げた。会場の夏子と陽菜からの「キス」コールは、次々に伝播し、会場全体の「キス」コールになった。リング上にスポットライトが当たり、三朗が稀世のあごに指を添え、唇を重ねた。この日一番の拍手が起こった。すごく遠くで、パトカーのサイレンが聞こえた。
檜が、参加者に向かい、宣言した。
「改めて、ニコニコ商店街の女神の稀世さんとその最愛の人の三朗君に大きな拍手をお願いします。では、これより、長井稀世さんの「生前葬」改め、「結婚披露宴」に移りたいと思います。今回は、稀世さん、三朗君への過度なアルコールでのお祝いは、避けていただきますようお願いいたします。特に、武藤さん、直さん、ニコニコプロレスの皆様におかれましては、ご理解いただきたいと思います。なっちゃんと陽菜ちゃんは特にね。」
会場から大きな笑いが起こった。会場外では、複数のパトカーのサイレンがあわただしく走りまわっている音が近づいてきている。
「いったい、何の騒ぎなのかしら。めでたい席に、パトカーのサイレンは、邪魔やね。」
まりあが呟くと、夏子がスマホの画面を見せた。
「おそらく、これっすよ。」
大阪門真市、銀行強盗のふたり組逃走中。とネットニュースの見出しが目に入った。
「あー、まりあさん、結構近い場所っすね。」
横から、覗きこんだ陽菜がまりあに言う。(何んなの、この得体の知れない不安感は?)まりあは背中に冷たいものを感じた。外を走り回る、パトカーの台数は、十数台は、いるように聞こえる。
披露宴は、和気あいあいとした雰囲気で進んでいる。今回は、記憶が飛ばないように、三朗も稀世も片手にオレンジジュースのコップを持ち、ビールの酌は丁寧にお断りしている。ましてや、日本酒の一升瓶を持って近づいてくる者は、かずみとさとみがボディーガードとして「今日は、堪忍したって―な。」と丁寧に対応していた。パトカーのサイレンが、徐々に近づいてきている。
「稀世お姉ちゃん、三朗お兄ちゃん、結婚おめでとう。お姉ちゃんが死ななくなって良かった。」
と小さい花束を持って、武雄と凛がお祝いに駆けつけた。きっと、武雄と凜が、近くの公園でつんできたと思われる菜の花とタンポポが、赤い折り紙で包まれ、「おめでとう!これからもなかよくしてね!武雄、りん」と書かれたカードが添えられていた。稀世は、凜から小さな花束を受け取ると、武雄と凜を抱き上げた。
「武雄君、凛ちゃん、ありがとうね。お姉ちゃん、これからも、みんなと一緒やからね。武雄君も凜ちゃんもお手伝いしてな。」
とほっぺに「ちゅっ」とした。武雄は真っ赤になって照れている。西沢米穀の倉庫の向かいの道路の、右からも、左からもパトカーのサイレンが近づき、「キキーっ!」とブレーキ音が響いた。窓越しに赤い回転灯の光が見えた。
直の音頭取りで始まった、第二回三朗、稀世の結婚披露宴。薄暗い、西沢米穀特設リング会場は、稀世の登場を待った。「ガタンっ」、リング奥の控室のドアが開き、スポットライトが当たる。テレビ局のカメラと笹井のカメラが稀世の入場を待ち受ける。大阪ニコニコプロレス当時の稀世の入場曲「大阪ファンクラブ」が流れ、白無垢姿の稀世の登場に、会場のニコニコ商店街のメンバー、大阪ニコニコプロレスメンバーとファン、こども食堂、市民サロンの利用者が大きな拍手を送る。
半年前の結婚披露宴の時と同様に、檜の司会により三朗が控室ドアの前に進み、稀世の手を取りゆっくりと会場内を挨拶しながら、まわり始めた。皆からの祝福を受け、ふたりはリングに上がった。檜が会場のみんなに告げる。
「ただいまより、第二回長井三朗君、稀世さんの結婚披露宴を行いたいと思います。皆様、今一度大きな拍手で祝福お願いします。」
会場の米蔵いっぱいに、割れんばかりの大きな拍手と掛け声の渦が巻き起こった。
リング上で、檜から三朗がマイクを受け取り、
「すいません、ばたばたと。一日の間に、「結婚式」やって、その日に「葬式」をやった人は、世界のどこかにいるかもしれませんが、「葬式」やって、その後に「結婚式」をやった人はいないと思います。」
と頭を下げた。会場から大きな笑いと冷やかしの歓声が沸いた。続いて、稀世にマイクが渡される。
「皆さん、ありがとうございます。ついさっきまで「余命半年告知の残り一ケ月無い、いつ死んでもおかしくないポンコツの嫁」こと、私、長井稀世の生前葬から、「余命100年の診断」を受け、この世に戻ってまいりました。この半年、ニコニコ商店街のみなさん、大阪ニコニコプロレスのみなさん、ここでのサービス利用の市民のみなさんの励ましで、実に充実した毎日を送らせていただきました。
今日を節目に、生まれ変わった気持ちで、再び皆さんと一緒の生活を続けることができることになりまして、幸せの絶頂です。三朗さんと一緒に頑張っていきます。今後ともよろしくお願いします。」
と、深々と頭を下げた。会場の夏子と陽菜からの「キス」コールは、次々に伝播し、会場全体の「キス」コールになった。リング上にスポットライトが当たり、三朗が稀世のあごに指を添え、唇を重ねた。この日一番の拍手が起こった。すごく遠くで、パトカーのサイレンが聞こえた。
檜が、参加者に向かい、宣言した。
「改めて、ニコニコ商店街の女神の稀世さんとその最愛の人の三朗君に大きな拍手をお願いします。では、これより、長井稀世さんの「生前葬」改め、「結婚披露宴」に移りたいと思います。今回は、稀世さん、三朗君への過度なアルコールでのお祝いは、避けていただきますようお願いいたします。特に、武藤さん、直さん、ニコニコプロレスの皆様におかれましては、ご理解いただきたいと思います。なっちゃんと陽菜ちゃんは特にね。」
会場から大きな笑いが起こった。会場外では、複数のパトカーのサイレンがあわただしく走りまわっている音が近づいてきている。
「いったい、何の騒ぎなのかしら。めでたい席に、パトカーのサイレンは、邪魔やね。」
まりあが呟くと、夏子がスマホの画面を見せた。
「おそらく、これっすよ。」
大阪門真市、銀行強盗のふたり組逃走中。とネットニュースの見出しが目に入った。
「あー、まりあさん、結構近い場所っすね。」
横から、覗きこんだ陽菜がまりあに言う。(何んなの、この得体の知れない不安感は?)まりあは背中に冷たいものを感じた。外を走り回る、パトカーの台数は、十数台は、いるように聞こえる。
披露宴は、和気あいあいとした雰囲気で進んでいる。今回は、記憶が飛ばないように、三朗も稀世も片手にオレンジジュースのコップを持ち、ビールの酌は丁寧にお断りしている。ましてや、日本酒の一升瓶を持って近づいてくる者は、かずみとさとみがボディーガードとして「今日は、堪忍したって―な。」と丁寧に対応していた。パトカーのサイレンが、徐々に近づいてきている。
「稀世お姉ちゃん、三朗お兄ちゃん、結婚おめでとう。お姉ちゃんが死ななくなって良かった。」
と小さい花束を持って、武雄と凛がお祝いに駆けつけた。きっと、武雄と凜が、近くの公園でつんできたと思われる菜の花とタンポポが、赤い折り紙で包まれ、「おめでとう!これからもなかよくしてね!武雄、りん」と書かれたカードが添えられていた。稀世は、凜から小さな花束を受け取ると、武雄と凜を抱き上げた。
「武雄君、凛ちゃん、ありがとうね。お姉ちゃん、これからも、みんなと一緒やからね。武雄君も凜ちゃんもお手伝いしてな。」
とほっぺに「ちゅっ」とした。武雄は真っ赤になって照れている。西沢米穀の倉庫の向かいの道路の、右からも、左からもパトカーのサイレンが近づき、「キキーっ!」とブレーキ音が響いた。窓越しに赤い回転灯の光が見えた。
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