『北の大地のファーストペンギン2025~限界集落復興と結婚したい訳あり男女達の物語~』

M‐赤井翼

文字の大きさ
16 / 78
第1部 エピソード2023

「業務提携事業第1号」

しおりを挟む
「業務提携事業第1号」

 夕方7時から「万朶野ばんだのさくら」の歓迎会が直の家で始まった。一郎と那依は「昨日は直さんにお世話になったんで今日は「うち」で面倒見させてください。」と申し出たが、稀世がストップをかけていた。
 その理由は「トイレ」だった。下水道が普及しきっていない神標津の村の中で直の家のトイレは尿と便を分離収集し、尿はパイプで屋外タンクに貯められ、便は肥溜めにおがくずと培養された好気性微生物を入れた「簡易型水洗トイレ」でありウォシュレット装備の「バイオマストイレ」である事が理由だった。
「街の女の子が田舎で一番嫌なのが、「田舎ボットントイレ」なんですよ。どんなにお洒落なペンションでも最高の味の山麓のレストランでもトイレが匂うだけでもう駄目なんですよ。あとウォシュレットとお風呂にシャワーも必須ですね。
 昨晩、確認させてもらった中では、直さんの家しかその両方をカバーできるところは無かったんで、直さんにお願いしたら「10人までは大丈夫じゃぞ!」って言ってもらえたんでさくらちゃんは暫く私と一緒にここで寝泊まりしてもらう事にしました。」

 稀世の説明では、さくらのホストでの不正なツケの取り立てからの隔離という目的とは別に「あわよくば・・・・・」ここでの縁談に結び付けようと思うと、「婚活男子」の家と畜舎、農園の簡易トイレのバイオマス化は必須だと説明すると、まりあが過去に東京時代の知り合いが遊びに来たことがあったが、同じ理由で2日目からは近くの簡易水洗トイレのペンションに移った事を思い出して納得した。
「なるほどねぇ…。そこは安さんの言う通りかもしれませんね。道の駅でもドライブインでも昭和の施設はいい商品を扱っていても廃れたのにはそういう理由が背景にあったんですね。トイレがネックになる事があるんですね。うちも青年部の家と施設も早急に手配しましょう。」と一郎は呟くと、釧路市内のホームセンターに部材在庫を確認して発注をかけたのは午後6時30分の事だった。

 さくらの歓迎会のメニューは、さくらに「アグリ神標津」を良く知ってもらうための企画が練られていた。ジャージー牛は陶板焼きにすることで遠赤外線でゆっくりと熱を通し、独特の「黄色い牛脂」を味わってもらうと同時に、ペットボトルに入れたジャージー牛をシェイクして脂質分と抜けた水分の「ホエー」に分離する手作りバターを目の前で青年部4人が実践して見せた。
 「ゴールドボンバーマン」の大ヒット曲「女々しいよ」に乗り、激しくペットボトルに振ってボトル内でバターが出来上がっていくのを見せた。それまで硬い表情だったさくらの表情が徐々に緩んでいくのが感じられた。
 「さくらちゃんもやってみる?」と稀世に声をかけられたさくらは座卓を立ち、かつての稀世の「SDF17」時代のヒット曲「頑張るぞ!」で稀世と一緒に500シーシーの小さなペットボトルを振りながら踊ることに同意した。
「♪生駒山のてっぺんでー、京の御所に最敬礼♪神武以来のこの國に、生まれたからにゃ頑張るぞー♪」と稀世と一緒に歌いながら100グラムのバターを自ら作り上げた。」

 ペットボトルの中で分離したバターをナイフでボトルを切り裂き取り出すと、4つの小さなボウルに取り分けた。那依が小皿に入れた「レモンの皮と岩塩」、「レーズンと練乳」、「はちみつ」、「白みそ」をお盆に入れて持ってきた。
「今、さくらちゃんが作ったバターと混ぜて、ジャージー牛のロースの陶板焼きに併せて食べてみてね。市販品でないさくらちゃんオリジナルのバターで神標津の牛製品を味わってみて!」
 那依に言われるがままに、さくらは4種のオリジナルバターを作り、陶板の上の60度程に加熱された肉にのせて口に入れた。
「うわーん、口の中で今まで感じた事のない脂の香りとオリジナルのバターの風味がたまらへんわ…。今まで食べて来た牛肉の中で一番かも…。ほんま、美味しいわ!」
と呟いたさくらの元に典史がやって来て嬉しそうに言った。
「うちの牛を誉めてくれてありがとうございます。肉も生乳も僕が作ったんですよ。今まで、JAを通じて納品した事しかなかったんで、食べてくれた人の笑顔を初めて見させてもらいました。美味しいと言ってくれてありがとうございました。」

 まじめな顔で礼を言う典史を見て、(あかん、この人の純粋な「眼」に引き込まれてしまうわ。この人やったら絶対に私をだましたりせえへんやろな…。あ、あかん、男には気をつけなあかんって思ったばっかりやのに…。)と思いつつも、耳まで真っ赤になり「ごちそうさまでした。」と呟いたさくらは、ホスト通い時代の悪い癖で向かいに座った典史の両手をしっかと握り「頑張ってな。応援するで…。」と口にしてしまうと、典史も真っ赤になり、二人は固まった。
 (おっ、これは「ファーストインプレッション」としては「ありあり」のサインやな。片や「自己破産申請の女」で片や「親からの借金引き継ぎの男」か…。副島のおっちゃんやったらどう持っていくんやろな。明日は、一度、典史君の家の負債状況を確認させてもらおうかな?気が早い話やけど、典史君がさくらちゃんと付き合う事になったら、新事業にも力は入るし、他のメンバーにもいい効果が出るかもしれへんもんな。)とひとりでにやにやしながら手酌で十勝ワインを飲んでいる稀世の横の席の直が
「稀世ちゃんもわしと同じことを考えてるみたいじゃな。典史の所は、親世帯と同一敷地ではあるが建屋は別や。父親も母親もまだ若く、介護もまだまだ先の話だし、父親は残った借金の引け目もあって過度な干渉は無いと思うから、2、3日様子見ていい感じだったら「プッシュ」してやるかのう。カラカラカラ。」
と笑いながら、稀世のワイングラスに「ミルクホエー」から特殊製法で低温蒸留した本格焼酎の「なかしべつミルク酒」を無条件で注ぎ足した。

 2時間の宴会の中ですっかりさくらも緊張がほぐれ、男性陣が帰宅した後は直も含めた「女子会」となった。さくらは、高校を卒業してから4年間「テレアポインター」会社に勤めた実績があり、業務用販売向けセールスのアポ取りをしてきたという。
 「今日のお肉やバターやったら大阪なら絶対に売れますよ!飲食店向けの商品もたくさん扱ってきましたし、業販卸の商社やネット通販会社への営業電話も慣れてますのでじゃんじゃん私に任せちゃってください!
 取り立てのせいで、元の会社には戻れないんでここで頑張らせてください。あと、ちょっと聞かせてほしいんですけど、加藤さんってどんな人なんですか?他の3人の事も聞かせてほしいんですけど…。」
と自分の売り込みだけでなく、男性陣に対する情報収集も入ってきたことでさくらの「本気度」も理解した女性メンバーは「贔屓」することなく、現状の4人、そして現在はメンバーではないが、神標津村酪農業メンバーで35歳未満の者について丁寧に説明した。

 「ふーん、なるほどね…。4人とも女慣れしてない感じしましたもんね。納得です。婚活とは関係ないんですけど、ここでの「稼ぎ」が期待できるようでしたら、私の取引先だった人気ビストロチェーンの主任女性シェフを紹介したいんですけどいかがなもんですか?
 超人気シェフだったんですけど、本部からの仕入れ業者への忖度や仕様に適さない材料の指定なんかあったりで転職を考えてる人なんですよ。あと最近は何か本部と「うにゃうにゃ《・・・・・・》」があったみたいで…。肉関係の料理のプロなんで良かったら一度話を聞いてみてもらえませんか?」
 頭の回転の良いさくらは、「婚活」とは別に、「仮にここのメンバー」と一緒になる場合の金銭的な算用と女性の仲間づくり、法人化による「サラリーマンと同等」の休祝日や補償の対象になるのかを考えていた事は稀世に伝わった。
 (23歳でホストに引っかかったっていうからちょっと心配してたけど「しっかり者」やんか。これは「瓢箪から駒」になるかもしれへんな。明日から「テレアポ」するっていうからお手並み拝見と行くか。)とさくらと他の女性メンバーの会話を俯瞰ふかん的に見ていた。

 翌日、さくらは自身が語った「テレアポ」能力を「有言実行」して見せた。大口では無いものの、大阪市内のベーカリーショップで3店の商談を掴んで見せた。そのうちの一件は、「万朶野さんがそれだけ推すんやったら間違いあれへんやろ。うちのオーダーでオリジナルバターを作ってくれるんやったら、「うちの店」と「アグリ神標津」さんのコラボ商品って事で「瓶バター」の販売と、うちのパンで「アグリ神標津」バターを使用してるってうたうようにさせてもらうで。瓶詰はこっちでやるから、うちのオーダーに合わせて作ってもらったオリジナルバターを10キロ詰めの箱で送ってくれたらええよ。
 送料も含めて、今使ってる北海道産の無塩バターより高くならへんねやったら取引条件を合わせてもらったら万朶野さんの再就職祝いに、値切り無しで買わせてもらうわ。」
との申し出を受けた。
  
 5分後にベーカリーから送られてきたレシピは「クルミとアーモンドバター」と大手香辛料メーカーの商品を混ぜ込んだ「マジックソルトバター」と「ローストガーリックバター」であり、アグリ北標津で十分対応できるものだったので、オンラインで見積書と注文書のやり取りが行われ、実質的に正式な「受注1号」であると同時に「提携事業1号」となった。
 月間見込み利益で5万円程の小商いではあるが、その報はグループラインでメンバー全員に伝えられ、大きな励みになった。「やったね!」、「おめでとう!」、「ありがとう!」と青年会メンバーからスタンプが順に送られてきて、男性陣最後に典史から「万朶野さん、早速の大活躍おめでとうございます。非常にうれしく思っています。万朶野さん、安さんの頑張りに負けないように僕も頑張って良い「生乳」、良い「生肉」、良い「野菜」が作れるように頑張ります!さくらさんもぱにゃにゃんだー!」と人一倍丁寧なメッセージが入って来た。
 さくらもそのメッセージに対して、「昨日食べた加藤さんの作られたお肉と生乳から作られたバターのおかげで売り先がイメージできました。まりあさん、那依さんが作ってくれたローストビーフも初回出荷と併せてサンプル発送し、「ローストビーフサンド」、「ローストビーフドッグ」も提案したいと思ってます。一緒に頑張っていきましょう!ところで「ぱにゃにゃんだー」って何ですか?」と典史からの長文がさくらのやる気を盛り上げた。

 そこからの1週間は、稀世の見込み客リストと、さくらのかつての営業先で新規契約が上がったが、そこから伸びは止まった。そんな時、さくらが声をかけた元ビストロチェーンの美魔女シェフ「立花晶たちばなあきら」(35歳)が神標津町にやってくる日が決まった。

しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』

M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。 舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。 80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。 「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。 「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。 日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。 過去、一番真面目に書いた作品となりました。 ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。 全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 それでは「よろひこー」! (⋈◍>◡<◍)。✧💖 追伸 まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。 (。-人-。)

『夏子と陽菜の犯科帳4 THE FINAL~カルト新興宗教「魂の解放」から洗脳娘を救い出せ!~』 

M‐赤井翼
現代文学
第3話から1年開いての「なつ陽菜犯科帳」の最終話です。 過去のお約束通り、最後はなっちゃんも陽菜ちゃんの「花嫁姿」で終わります! 今度の「敵」は、門真に転居してきた「武装カルト宗教組織」です。 偶然出会った、教団に妹を奪われたイケメン日南田大樹(ひなた・ひろき)の為になっちゃん&陽菜ちゃんと「やろうぜ会」メンバーが頑張ります。 武装化された宗教団体になっちゃん、ひなちゃん、そして「やろうぜ会」がどう戦いを挑むのか! 良太郎の新作メカも出てきます! 最終回という事で、ゲストとして「余命半年~」シリーズの稀世ちゃんと直さんも緊急参戦! もう、何でもござれの最終回! 12月29日までの短期連載です! 応援お願いしまーす! (⋈◍>◡<◍)。✧♡

『「愛した」、「尽くした」、でも「報われなかった」孤独な「ヤングケアラー」と不思議な「交換留学生」の1週間の物語』

M‐赤井翼
現代文学
赤井です! 今回は「クリスマス小説」です! 先に謝っておきますが、前半とことん「暗い」です。 最後は「ハッピーエンド」をお約束しますので我慢してくださいね(。-人-。) ゴメンネ。 主人公は高校3年生の家庭内介護で四苦八苦する「ヤングケアラー」です。 世の中には、「介護保険」が使えず、やむを得ず「家族介護」している人がいることを知ってもらえたらと思います。 その中で「ヤングケアラー」と言われる「学生」が「家庭生活」と「学校生活」に「介護」が加わる大変さも伝えたかったので、あえて「しんどい部分」も書いてます。 後半はサブ主人公の南ドイツからの「交換留学生」が登場します。 ベタですが名前は「クリス・トキント」とさせていただきました。 そう、南ドイツのクリスマスの聖霊「クリストキント」からとってます。 簡単に言うと「南ドイツ版サンタクロース」みたいなものです。 前半重いんで、後半はエンディングに向けて「幸せの種」を撒いていきたいと思い、頑張って書きました。 赤井の話は「フラグ」が多すぎるとよくお叱りを受けますが、「お叱り承知」で今回も「旗立てまくってます(笑)。」 最初から最後手前までいっぱいフラグ立ててますので、楽しんでいただけたらいいなと思ってます。 「くどい」けど、最後にちょっと「ほっ」としてもらえるよう、物語中の「クリストキント」があなたに「ほっこり」を届けに行きますので、拒否しないで受け入れてあげてくださいね! 「物質化されたもの」だけが「プレゼント」じゃないってね! それではゆるーくお読みください! よろひこー! (⋈◍>◡<◍)。✧♡

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...