58 / 78
第2部 エピソード2024
「超音波籾殻燻炭」
しおりを挟む
「超音波籾殻燻炭」
よもやの2組の結婚と1組のカップリングで盛り上がったハニーワインの試飲会は終わり、粋華は上坊、穴吹と隣町のペンションに移動し、残ったメンバーで麗と龍二、多世と和樹のお祝いを兼ねた2次会へと進んでいった。
相変わらず広志と不思議な三角関係を続けている唯と葵も笑顔で4人を祝福している。ガイルと健司は凜、蘭がその場でクレヨンで描いた2組のカップルの絵を4人で渡した。
「青年部で残るは徹と三朗と翔だな。19歳の翔はまだまだこれからとして、徹と三朗はこれはと言う人はいないのか?安さんに立花さん、なっちゃんと陽菜ちゃん、そして本田さんとまだまだ魅力的な女の子がいるじゃないか。お前らも頑張れよ!」
とすっかりハニーワインが入りご機嫌な一郎に突っ込まれた3人の中で最初に翔が「俺は心亜ちゃんがいいと思ってんだけど…、まだ付き合える器になれてないっぺ。アグリ神標津の社員になった以上、来年は和樹兄からひとり立ちできるように頑張っぺ!」と宣言した。
徹は晶に好意を持っている事は周知の事実であったが、積極的に行動には出ていない。三朗にいたっては、女性の話をすることは殆ど無いので一郎はまりあから「ちょっと背中を押してやってくださいよ!」と言われている。
「まずは今の目の前の仕事に集中するっぺ。」、「はい、僕も同じです…。」と徹と三朗は一郎に遠慮気味に答えた横で直が「のんびりしとると、祥君と靖君に「油揚げ」さらわれてしまうでな。カラカラカラ。」とはやし立てた。
翌朝の神標津村は一気に冷え込んだ。10月も後半に入り、2番草とデントコーンの刈り取りはほぼ終了し牧草ロールにする前に混入させる酒粕と、酒米を研磨した際に残った米粉の引き取りに三朗と稀世は向かっていた。
稀世は造り酒屋に「ミードワイン」を作った事を報告した。
「へー、アグリ神標津産はなんでもチャレンジするんですね。ホームページを見させてもらいましたけど、今はメロン栽培も始めたんですって?安さんにうちの「経営コンサルタント」もやってもらいたいですね。
今年はうちが契約してる「山田錦」の田んぼが病気でやられちゃって、予定してた収穫量が上がらなくて日本酒の仕込みも十分にできなかったりして大変なんですよ。頼みは冬のハウス栽培での野菜なんですけど、どうもここ数年、土壌が痩せてしまったみたいでこちらも不安なんですよ。」
と相談事を持ち掛けられた。(うーん、販売戦略とかやったら一緒に考えられるけど、農法については専門外やからなぁ…。とりあえず、うちの「バクシート」を試してもらうくらいしか提案できへんよな。)と言葉に詰まってしまった稀世に三朗が助け舟を出した。
「ちょっと、ハウスの土を見せてもらっていいですか?」
連れて行かれたビニールハウスで三朗は置かれていた鍬で畝を掘り起こし、その土を手に取った。固く粘土状になった土は力を入れないと砕けることはなかった。
「これだけ土が固いと根が成長しないんですよ。根が伸びないと土中の養分を十分に吸収することができませんので当然のように農作物の成長にも悪影響が出ます。」
と切り出した三朗はいくつかの質問を投げかけた。
日本酒市場の縮小に伴い、売上げの落ち込みを埋めるためにハウス栽培を始めて10年になるという。JAから肥料や土壌消毒剤は購入し、生産指導を受けているという事だったが、基本的に専門的に農業を学んだことはないという事だった。
その後、倉庫を見せてもらい現在使用している肥料をチェックした。ふと、その横にある空調付きの倉庫に目が向いた。
「あの、この倉庫は何ですか?」三朗の問いに、内地から取り寄せた山田錦の籾と返答があった。籾の状態で仕入れ、工場内で籾摺りを行い、作る日本酒に合わせて精米をしているという事だった。
「籾はどうしてるんですか?」と三朗が問いかけると、酒粕と米糠、米粉はアグリ神標津が引き取るようになって廃棄費用が掛からなくなって助かっているが、籾は有料で廃棄しているという事だった。
「籾殻もうちで引き取らせてください。来週、「超音波籾殻燻炭」にしてお返しします。」
とよくわからない事を言って籾殻の詰まった大きな米袋をトラックに詰め込んだ。
帰りのトラックで稀世は三朗に「超音波籾殻燻炭」と言う聞きなれない言葉に質問をした。三朗は丁寧に稀世に説明し始めた。
現在アグリ神標津で販売している「バクシート」は牛糞と米粉糊と燻炭で薄いシート状にした肥料である事を説明したうえで、バクシートには間伐材の炭を砕いたものを入れている意味は脱臭と炭の多孔性を活かしてバクテリアを活性化させるためだと付け加えた。
籾殻燻炭は、約400度の低温で籾殻を燻すことで籾の形状を維持したまま炭にしたものだという。
「これを土壌に混ぜることで、土中に空間を作り水はけを良くして空気の通り道を作る事ができるようになるんですよ。排水性と通気性は根の成長に欠かせない条件です。また籾殻燻炭の多孔質構造は水分や肥料分を蓄える性質も持ち合わせています。籾殻燻炭にはさらに凄い効果があるんですよ!
籾殻燻炭の独特な香りはヨトウムシやネキリムシ等の害虫よけ効果もあり、さらに理屈はよくわかりませんが光に当てると超音波を発生して、微生物の成長を促すんです。それらの効果により、肥料の吸収性は向上し、土はふかふかになる為、根張りは良くなり、炭の黒は吸熱、保熱効果も高く冬のハウス栽培に凄くメリットがあるんです。」
と、いつになく熱く語る三朗の表情は生き生きとしていた。
「ふーん、そういえば、大阪でも刈り入れの終わった田んぼで籾殻に煙突刺して燃やしてる風景はよく見たわ。籾殻にはそんなメリットがあるのに今まで捨ててたって、もったいない話やな。そんないい手があるならJAも教えたったらええのにな。」
稀世が呟くと、三朗は「大人の事情」について語り始めた。
「まあ、JAも商売ですから…。正組合員ならともかく、兼業でやってる農家はある意味「美味しい客」ですからね。籾殻燻炭を教えても売上にはなりません。それよりも土壌改良剤や肥料を売り込めってなもんですよ。」
稀世は「全部の農協がそうやとは思わんけど、もう少し農家や酪農家に協力してくれたら日本の農業は大きく変われるのにな…。」と呟いた。
帰りの道中では「籾殻燻炭」をきっかけに、三朗がかつて務めていた「足寄農協」や「JAさっぽろ」では積極的に最先端の農業技術をフィードバックする部門があったり、大学の農学部との連携研究も盛んに行われている事例が紹介された。
「結局は農家が「変わる意識」を持ってるかどうかって事やねんな。「町田メロン」にしてももっと広まってくれたらええのにな。うちはサブちゃんが居るからそういう面では新しい事にはどんどんチャレンジできるな。これからもサブちゃんの事を頼りにしてるで!」
稀世が三朗を励ますと真っ赤になって「あまり買いかぶらないでくださいね。うちのメンバーの中では一番の下っ端ですから…。」と控えめに返事をした。
神標津村に到着すると三朗は早速簡単な図面を描き、健司に連絡した。ドラム缶と煙突用配管やいくつかの部品を組み合わせて燻炭製造機を作り始めた。
「ここを可動式にして生成物を取り出しやすいようにドラム缶を縦回転できるようにできますか?」、「どうせやったら燻した際に出る「煙」を冷やして「木酢液」も抽出できるようにしましょう。」、「台座にキャスターを付けて移動式にしたらいいんじゃないかな。」、「どうせなら、ブロワーもつけて高温焼成できるようになったら根曲竹の「竹炭」やシブリカカシで「なんちゃって備長炭」ができたら新商品として売り出せますよね。」と新しいおもちゃで遊ぶ子供の様に2人で案を出しては楽しそうに、2時間ほどで燻炭機を組み上げた。
早速、もらってきた籾殻を200リットルのドラム缶に放り込み、燻炭機に着火した。もくもくと白い煙が煙突から立ち上がり、約2時間で70リットルの「超音波籾殻燻炭」が仕上がった。
「三朗さん、今、ネットで見たら籾殻燻炭って18リットルで500円から900円で売られてますやん。けっこう美味しい商売かも知れませんね。」、「多くの農家さんは野焼きでやってるけど、この燻炭機も売れるんとちゃいますか?」と矢継ぎ早に話しかけてくる健司に三朗は笑顔で答えた。
「そうだね、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で屋外での燻炭づくりは「野焼き」扱いで禁止されているところも多いから、住宅地に近い田んぼや精米店なんかではそのニーズもあるかもしれないですね。」
晩御飯も食べず、表で大きな笑い声をあげながら作業している三朗と健司をガイルが呼びに来た。
翌日、三朗はできたばかりの籾殻燻炭とバクシートを酒造メーカーに届けに行った。トラクターでビニールハウス内の半分の土を盛り起こしながら砕いたバクシートと籾殻燻炭を混ぜ込んでいった。明らかに土の色は黒っぽくなり、艶が出た。
散水を済ませた後、「こちらのブロックは今年はあまり化学肥料や薬品は使わず作ってみてください。従来栽培方法よりメリットがありましたら、春からは本採用してくれればいいですから、モニター協力お願いしますね。」と代金を受け取ることなく、三朗は納品先のビニールハウスを後にした。
結果は3週間後に出た。
「岩井さん、籾殻燻炭とバクシート持ってきてくれっぺか?あの後、植えたミックスレタスの育ち方が全然違うっぺ。虫も全然寄り付かん。うちは全面、燻炭とバクシート方式にするべな!これからは「化学肥料を使わない自然派野菜」をうたうべ。今度はきっちりと請求書持ってくるっぺよ。」
とうれしい電話で「超音波籾殻燻炭」が新たな商品として加わった。
よもやの2組の結婚と1組のカップリングで盛り上がったハニーワインの試飲会は終わり、粋華は上坊、穴吹と隣町のペンションに移動し、残ったメンバーで麗と龍二、多世と和樹のお祝いを兼ねた2次会へと進んでいった。
相変わらず広志と不思議な三角関係を続けている唯と葵も笑顔で4人を祝福している。ガイルと健司は凜、蘭がその場でクレヨンで描いた2組のカップルの絵を4人で渡した。
「青年部で残るは徹と三朗と翔だな。19歳の翔はまだまだこれからとして、徹と三朗はこれはと言う人はいないのか?安さんに立花さん、なっちゃんと陽菜ちゃん、そして本田さんとまだまだ魅力的な女の子がいるじゃないか。お前らも頑張れよ!」
とすっかりハニーワインが入りご機嫌な一郎に突っ込まれた3人の中で最初に翔が「俺は心亜ちゃんがいいと思ってんだけど…、まだ付き合える器になれてないっぺ。アグリ神標津の社員になった以上、来年は和樹兄からひとり立ちできるように頑張っぺ!」と宣言した。
徹は晶に好意を持っている事は周知の事実であったが、積極的に行動には出ていない。三朗にいたっては、女性の話をすることは殆ど無いので一郎はまりあから「ちょっと背中を押してやってくださいよ!」と言われている。
「まずは今の目の前の仕事に集中するっぺ。」、「はい、僕も同じです…。」と徹と三朗は一郎に遠慮気味に答えた横で直が「のんびりしとると、祥君と靖君に「油揚げ」さらわれてしまうでな。カラカラカラ。」とはやし立てた。
翌朝の神標津村は一気に冷え込んだ。10月も後半に入り、2番草とデントコーンの刈り取りはほぼ終了し牧草ロールにする前に混入させる酒粕と、酒米を研磨した際に残った米粉の引き取りに三朗と稀世は向かっていた。
稀世は造り酒屋に「ミードワイン」を作った事を報告した。
「へー、アグリ神標津産はなんでもチャレンジするんですね。ホームページを見させてもらいましたけど、今はメロン栽培も始めたんですって?安さんにうちの「経営コンサルタント」もやってもらいたいですね。
今年はうちが契約してる「山田錦」の田んぼが病気でやられちゃって、予定してた収穫量が上がらなくて日本酒の仕込みも十分にできなかったりして大変なんですよ。頼みは冬のハウス栽培での野菜なんですけど、どうもここ数年、土壌が痩せてしまったみたいでこちらも不安なんですよ。」
と相談事を持ち掛けられた。(うーん、販売戦略とかやったら一緒に考えられるけど、農法については専門外やからなぁ…。とりあえず、うちの「バクシート」を試してもらうくらいしか提案できへんよな。)と言葉に詰まってしまった稀世に三朗が助け舟を出した。
「ちょっと、ハウスの土を見せてもらっていいですか?」
連れて行かれたビニールハウスで三朗は置かれていた鍬で畝を掘り起こし、その土を手に取った。固く粘土状になった土は力を入れないと砕けることはなかった。
「これだけ土が固いと根が成長しないんですよ。根が伸びないと土中の養分を十分に吸収することができませんので当然のように農作物の成長にも悪影響が出ます。」
と切り出した三朗はいくつかの質問を投げかけた。
日本酒市場の縮小に伴い、売上げの落ち込みを埋めるためにハウス栽培を始めて10年になるという。JAから肥料や土壌消毒剤は購入し、生産指導を受けているという事だったが、基本的に専門的に農業を学んだことはないという事だった。
その後、倉庫を見せてもらい現在使用している肥料をチェックした。ふと、その横にある空調付きの倉庫に目が向いた。
「あの、この倉庫は何ですか?」三朗の問いに、内地から取り寄せた山田錦の籾と返答があった。籾の状態で仕入れ、工場内で籾摺りを行い、作る日本酒に合わせて精米をしているという事だった。
「籾はどうしてるんですか?」と三朗が問いかけると、酒粕と米糠、米粉はアグリ神標津が引き取るようになって廃棄費用が掛からなくなって助かっているが、籾は有料で廃棄しているという事だった。
「籾殻もうちで引き取らせてください。来週、「超音波籾殻燻炭」にしてお返しします。」
とよくわからない事を言って籾殻の詰まった大きな米袋をトラックに詰め込んだ。
帰りのトラックで稀世は三朗に「超音波籾殻燻炭」と言う聞きなれない言葉に質問をした。三朗は丁寧に稀世に説明し始めた。
現在アグリ神標津で販売している「バクシート」は牛糞と米粉糊と燻炭で薄いシート状にした肥料である事を説明したうえで、バクシートには間伐材の炭を砕いたものを入れている意味は脱臭と炭の多孔性を活かしてバクテリアを活性化させるためだと付け加えた。
籾殻燻炭は、約400度の低温で籾殻を燻すことで籾の形状を維持したまま炭にしたものだという。
「これを土壌に混ぜることで、土中に空間を作り水はけを良くして空気の通り道を作る事ができるようになるんですよ。排水性と通気性は根の成長に欠かせない条件です。また籾殻燻炭の多孔質構造は水分や肥料分を蓄える性質も持ち合わせています。籾殻燻炭にはさらに凄い効果があるんですよ!
籾殻燻炭の独特な香りはヨトウムシやネキリムシ等の害虫よけ効果もあり、さらに理屈はよくわかりませんが光に当てると超音波を発生して、微生物の成長を促すんです。それらの効果により、肥料の吸収性は向上し、土はふかふかになる為、根張りは良くなり、炭の黒は吸熱、保熱効果も高く冬のハウス栽培に凄くメリットがあるんです。」
と、いつになく熱く語る三朗の表情は生き生きとしていた。
「ふーん、そういえば、大阪でも刈り入れの終わった田んぼで籾殻に煙突刺して燃やしてる風景はよく見たわ。籾殻にはそんなメリットがあるのに今まで捨ててたって、もったいない話やな。そんないい手があるならJAも教えたったらええのにな。」
稀世が呟くと、三朗は「大人の事情」について語り始めた。
「まあ、JAも商売ですから…。正組合員ならともかく、兼業でやってる農家はある意味「美味しい客」ですからね。籾殻燻炭を教えても売上にはなりません。それよりも土壌改良剤や肥料を売り込めってなもんですよ。」
稀世は「全部の農協がそうやとは思わんけど、もう少し農家や酪農家に協力してくれたら日本の農業は大きく変われるのにな…。」と呟いた。
帰りの道中では「籾殻燻炭」をきっかけに、三朗がかつて務めていた「足寄農協」や「JAさっぽろ」では積極的に最先端の農業技術をフィードバックする部門があったり、大学の農学部との連携研究も盛んに行われている事例が紹介された。
「結局は農家が「変わる意識」を持ってるかどうかって事やねんな。「町田メロン」にしてももっと広まってくれたらええのにな。うちはサブちゃんが居るからそういう面では新しい事にはどんどんチャレンジできるな。これからもサブちゃんの事を頼りにしてるで!」
稀世が三朗を励ますと真っ赤になって「あまり買いかぶらないでくださいね。うちのメンバーの中では一番の下っ端ですから…。」と控えめに返事をした。
神標津村に到着すると三朗は早速簡単な図面を描き、健司に連絡した。ドラム缶と煙突用配管やいくつかの部品を組み合わせて燻炭製造機を作り始めた。
「ここを可動式にして生成物を取り出しやすいようにドラム缶を縦回転できるようにできますか?」、「どうせやったら燻した際に出る「煙」を冷やして「木酢液」も抽出できるようにしましょう。」、「台座にキャスターを付けて移動式にしたらいいんじゃないかな。」、「どうせなら、ブロワーもつけて高温焼成できるようになったら根曲竹の「竹炭」やシブリカカシで「なんちゃって備長炭」ができたら新商品として売り出せますよね。」と新しいおもちゃで遊ぶ子供の様に2人で案を出しては楽しそうに、2時間ほどで燻炭機を組み上げた。
早速、もらってきた籾殻を200リットルのドラム缶に放り込み、燻炭機に着火した。もくもくと白い煙が煙突から立ち上がり、約2時間で70リットルの「超音波籾殻燻炭」が仕上がった。
「三朗さん、今、ネットで見たら籾殻燻炭って18リットルで500円から900円で売られてますやん。けっこう美味しい商売かも知れませんね。」、「多くの農家さんは野焼きでやってるけど、この燻炭機も売れるんとちゃいますか?」と矢継ぎ早に話しかけてくる健司に三朗は笑顔で答えた。
「そうだね、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で屋外での燻炭づくりは「野焼き」扱いで禁止されているところも多いから、住宅地に近い田んぼや精米店なんかではそのニーズもあるかもしれないですね。」
晩御飯も食べず、表で大きな笑い声をあげながら作業している三朗と健司をガイルが呼びに来た。
翌日、三朗はできたばかりの籾殻燻炭とバクシートを酒造メーカーに届けに行った。トラクターでビニールハウス内の半分の土を盛り起こしながら砕いたバクシートと籾殻燻炭を混ぜ込んでいった。明らかに土の色は黒っぽくなり、艶が出た。
散水を済ませた後、「こちらのブロックは今年はあまり化学肥料や薬品は使わず作ってみてください。従来栽培方法よりメリットがありましたら、春からは本採用してくれればいいですから、モニター協力お願いしますね。」と代金を受け取ることなく、三朗は納品先のビニールハウスを後にした。
結果は3週間後に出た。
「岩井さん、籾殻燻炭とバクシート持ってきてくれっぺか?あの後、植えたミックスレタスの育ち方が全然違うっぺ。虫も全然寄り付かん。うちは全面、燻炭とバクシート方式にするべな!これからは「化学肥料を使わない自然派野菜」をうたうべ。今度はきっちりと請求書持ってくるっぺよ。」
とうれしい電話で「超音波籾殻燻炭」が新たな商品として加わった。
11
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
僕らの10パーセントは無限大
華子
青春
10%の確率でしか未来を生きられない少女と
過去に辛い経験をしたことがある幼ななじみと
やたらとポジティブなホームレス
「あり得ない今を生きてるんだったら、あり得ない未来だってあるんじゃねえの?」
「そうやって、信じたいものを信じて生きる人生って、楽しいもんだよ」
もし、あたなら。
10パーセントの確率で訪れる幸せな未来と
90パーセントの確率で訪れる悲惨な未来。
そのどちらを信じますか。
***
心臓に病を患う和子(わこ)は、医者からアメリカでの手術を勧められるが、成功率10パーセントというあまりにも酷な現実に打ちひしがれ、渡米する勇気が出ずにいる。しかしこのまま日本にいても、死を待つだけ。
追い詰められた和子は、誰に何をされても気に食わない日々が続くが、そんな時出逢ったやたらとポジティブなホームレスに、段々と影響を受けていく。
幼ななじみの裕一にも支えられながら、彼女が前を向くまでの物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる