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灰色の男 2
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『ザックリと言うとこれは異界の影像だ』
「はいぃ?」
ザックリどころか、色々とぶっ飛んだ話が出てきた。
頭の中で状況を整理しないとならないようだ――――。
異界……つまり、自分宛てに送られてきた動画は異世界人によって撮影された物になる。
それを、わざわざの別世界の人間に送り届けるなんて、あり得ないことだろう。
「一体、何の為に……。
異界人とやらはウエノという存在に気づき、SNSを介してコンタクト取ってきたと言うのですか?」
『落ちつくんだ、上野。
結果そうなった可能性が高い。
本来なら、お前さんではなく他の人間に送る物だったのだと思う』
気づくと半笑いする自分がいた。
とてもじゃないが、話についていけそうにない。
二人からすれば、自分の反応は気味が悪いように映るかもしれない。
けど、悪夢から異世界の話に進展するとは想像すらしていなかった。
「夢と別世界が混線しているんです。
だから、見知らぬ場所の夢が見えてしまう。
貴方の場合は、双方の世界が繋がったタイミングでメールが送られてきたんだと思います」
目頭を指先でこすりながら、今庭さんが捕捉を入れてきた。
有難いことだが、それは憶測ですらない。
電子の世界を行き来するメールがふとしたトラブルで世界を跨いだ。
など……妄想でしか成り立たない現象だ。
「物的証拠でもない限り、鵜呑みすることはできません」
「神社というのは、霊的力が働きやすい場所です。
上野さんの意識はそこに引っ張られただけなんです。
そして、貴方はそこに迷い込んでしまった。
理由ともかく、異界に引き込まれるのには原因があるはず。
それを見つけ出さない限り、悪夢は続くでしょう」
自分だけが悪夢に悩まされる。
なんと理不尽なことか……原因というのならば、一つだけ明確になっている物がある。
「ストーカーだと思います。
夢で自分を追ってくるアイツが悪夢の正体でしょう!」
語気を強めすぎた。
店内の客がチラチラとコチラを気にして見てくる。
「うっ……」多くの視線のさらされると途端に気分が悪くなってくる。
胃液が逆流しそうになるのを堪えながら、二人に告げた。
「すみませんが、今日はこれで……皆藤さん。
これ、うちで預かっていた特攻服です。
俺たちの思い出の品なので持ってきました」
『懐かしいね。若い頃は、皆でよく単車を乗り回したな』
「ええ、あの頃は楽しかったです。
何かに縛られず、自由気ままに過ごせていましたからね。
そんな自分も今じゃ、役所の職員ですが……ハハッ」
皆藤さんは、紙袋から取り出した特攻服の刺繍を優しくなぞっていた。
俺たちにとって、この特攻服は特別な代物だ。
青春時代というと爺臭いが、思い出がたくさん詰まっている。
八明連合……それが俺たちチームの名だ。
八明は、かって北関東一帯を統べていた最強の族グループであり、皆藤さんは初代総長だった。
これ以上、思い返すと永延と語ってしまいそうだ。
とにかく、族長時代のこの人は苛烈だった。
誰もが憧れ、恐れ敬った。
俺たち不良の間では知らない奴なんかいなかった。
「取り敢えず、また何かあったら連絡してください。
特に灰色の人物を見かけたら、その場を離れてください」
今庭さんは、まだ何か不安を煽るようなことを言っていた。
陰陽師だか、何だか知らないが本物なんだろう……。
認めざるを得ないが、皆藤さんがそう言うのだ。
三人に頭を下げながら、喫茶店を後にした。
結局、悪夢を解決する糸口はつかめないままだ。
ストーカーにしても、異世界人の仕業だという妙な方向に向かってしまっている。
【現実ではない、ストーカー被害にあっているのは君の妄想に過ぎない】
かかりつけ精神科医が、そんなことを言っていた。
医師であることを笠にして、頭ごなし否定してくるような男だった。
それに比べたら今庭さんの異世界人説の方が百倍マシだ。
現実でストーキングされているとは言ったが、実際に不審者を目撃したわけじゃない。
だから、何を言われても強くは否定できない
ただ、少し前からずっと誰かの視線を感じている。
間違いなく、俺をつけ狙ってきている。
もしも、それが別世界からの刺客なら、ソイツは俺の前に必ず姿を見せるはずだ。
「はいぃ?」
ザックリどころか、色々とぶっ飛んだ話が出てきた。
頭の中で状況を整理しないとならないようだ――――。
異界……つまり、自分宛てに送られてきた動画は異世界人によって撮影された物になる。
それを、わざわざの別世界の人間に送り届けるなんて、あり得ないことだろう。
「一体、何の為に……。
異界人とやらはウエノという存在に気づき、SNSを介してコンタクト取ってきたと言うのですか?」
『落ちつくんだ、上野。
結果そうなった可能性が高い。
本来なら、お前さんではなく他の人間に送る物だったのだと思う』
気づくと半笑いする自分がいた。
とてもじゃないが、話についていけそうにない。
二人からすれば、自分の反応は気味が悪いように映るかもしれない。
けど、悪夢から異世界の話に進展するとは想像すらしていなかった。
「夢と別世界が混線しているんです。
だから、見知らぬ場所の夢が見えてしまう。
貴方の場合は、双方の世界が繋がったタイミングでメールが送られてきたんだと思います」
目頭を指先でこすりながら、今庭さんが捕捉を入れてきた。
有難いことだが、それは憶測ですらない。
電子の世界を行き来するメールがふとしたトラブルで世界を跨いだ。
など……妄想でしか成り立たない現象だ。
「物的証拠でもない限り、鵜呑みすることはできません」
「神社というのは、霊的力が働きやすい場所です。
上野さんの意識はそこに引っ張られただけなんです。
そして、貴方はそこに迷い込んでしまった。
理由ともかく、異界に引き込まれるのには原因があるはず。
それを見つけ出さない限り、悪夢は続くでしょう」
自分だけが悪夢に悩まされる。
なんと理不尽なことか……原因というのならば、一つだけ明確になっている物がある。
「ストーカーだと思います。
夢で自分を追ってくるアイツが悪夢の正体でしょう!」
語気を強めすぎた。
店内の客がチラチラとコチラを気にして見てくる。
「うっ……」多くの視線のさらされると途端に気分が悪くなってくる。
胃液が逆流しそうになるのを堪えながら、二人に告げた。
「すみませんが、今日はこれで……皆藤さん。
これ、うちで預かっていた特攻服です。
俺たちの思い出の品なので持ってきました」
『懐かしいね。若い頃は、皆でよく単車を乗り回したな』
「ええ、あの頃は楽しかったです。
何かに縛られず、自由気ままに過ごせていましたからね。
そんな自分も今じゃ、役所の職員ですが……ハハッ」
皆藤さんは、紙袋から取り出した特攻服の刺繍を優しくなぞっていた。
俺たちにとって、この特攻服は特別な代物だ。
青春時代というと爺臭いが、思い出がたくさん詰まっている。
八明連合……それが俺たちチームの名だ。
八明は、かって北関東一帯を統べていた最強の族グループであり、皆藤さんは初代総長だった。
これ以上、思い返すと永延と語ってしまいそうだ。
とにかく、族長時代のこの人は苛烈だった。
誰もが憧れ、恐れ敬った。
俺たち不良の間では知らない奴なんかいなかった。
「取り敢えず、また何かあったら連絡してください。
特に灰色の人物を見かけたら、その場を離れてください」
今庭さんは、まだ何か不安を煽るようなことを言っていた。
陰陽師だか、何だか知らないが本物なんだろう……。
認めざるを得ないが、皆藤さんがそう言うのだ。
三人に頭を下げながら、喫茶店を後にした。
結局、悪夢を解決する糸口はつかめないままだ。
ストーカーにしても、異世界人の仕業だという妙な方向に向かってしまっている。
【現実ではない、ストーカー被害にあっているのは君の妄想に過ぎない】
かかりつけ精神科医が、そんなことを言っていた。
医師であることを笠にして、頭ごなし否定してくるような男だった。
それに比べたら今庭さんの異世界人説の方が百倍マシだ。
現実でストーキングされているとは言ったが、実際に不審者を目撃したわけじゃない。
だから、何を言われても強くは否定できない
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