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二十七話 アニキ、風と一体になる
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「これがサークレットフェアリーの真の姿……」
ピンク色のバトルスーツと対比する金色の武装、関節部のネイビーブルーがアーマーの輝きを更に際立たせる。
ボディーラインをしっかりと残しつつ、それでいて重厚感あるフルスタイルモード。
スゴイのは、当然ながら見た目だけではない。
どのギアも脅威的な性能を秘めている。
例えば、このマスターローブにはXM556の技術を応用したマイクロガンが仕込んである。
因みに以前の僕はXLサイズの服を着てきていたが、まったく持って不要な情報であろう。
紳士諸君にとって重要なのは脂肪漢の生体ではなく、マイクロガンの銃口が、かなりアウトな位置で攻めてきているところにある。
気づけば、反射的に二度見してしまう恥辱の極み。
男だったからこそ、その程度の辱しめにも耐えうる免疫があるものの……何だか、自分が切なくなってくる。
とにかく、ロボットでも胸部の凶器からミサイルを発射するタイプがある……今さら、ポリコレがどうとか言っている次元ではない。
頭部のインターフェースを介いて、ボクがこの様に「マジカルデストラクション」と唱えればアイススケルターが躍り狂うぐらいには銃弾の嵐が飛ぶ。
アイススケルターはすぐさま空気を凍らせて弾丸の軌道を逸らそうするが銃撃の勢いの方が勝っている。
全てを停止させることはできず、そのまま銃弾を浴び続けることとなった。
「グオオオォォォン―――」悲痛な鳴き声とともに巨体が倒れた。
今度は地面に沈んでゆく気配はない。
サークレットフェアリーとなったボクの攻撃がダウンを取ったんだ。
イエローだった時は、一度たりとも怪人を倒すことができなかったのに、こうもアッサリと活躍の場が巡ってくるとは……。
近頃の魔法少女の戦闘力の高さは脅威的だ。
「ファイナルフィニッシャー、ピュア・グランガントレット!! ストライクファングパンツァー!」
寸勁、ボクの得意とするワンインチパンチの抜重運動から繰り出される渦巻く衝撃波だ。
回転することで、さらにグランガントレットの力を増幅させ猛烈な一撃をも放つことができる。
コスモブレイド同様、この必脳殺技を受ければ変体はもとの人間に戻る……はず。
無防備となったアイススケルターの背びれに突き刺さる力の波形は、敵の重量などお構いなく弾き飛ばす。
シーラカンスに似た、魚の変体が突風にさらわれ空高く打ち上げられる。
その姿にオズの魔法使いという物語を思い出していた。
確かヒロインの少女は竜巻に飲まれて異世界へと飛ばされたんだっけ……。
なんて……ことだ! 元祖なろう系じゃないかぁあああ!
知ってはいけない真実へ辿りつき困惑する内に、自身で張った氷の壁に激突した魚影が落下してきた。
すでにファイナルフィニッシャーは決まった。
あとは、元の田宮さんに戻るのを待つだけだ。
「………………ドブさん」
『ん―――なんだお? 今、少し手が離せないから要件は手短に』
「今、倒した変体……いつになったら田宮さんに戻るの?」
こうして待っているのに一向に変化が見られない。
もしかして、ボクはやり過ぎてしまったのか?
わけも分からないし、どうしていいのかすら見えてこない。
その場で棒立ちになりながら、狼狽えるしかない。
目の前の敵は、もう動かない……気絶しているのか、そうでないのか? 判断する方法を誰か教えてくれ。
喉がやけに、ひりついて仕方がない。
自身の鼓動がはっきりと脈うっている。
気持ちばかりが焦る、早く戻れ、戻れと祈っても何も変わらない。
これだけイレギュラー出来事が起きてもボクの感情はさほど動じていない。
田宮さんのことに対する不安と自分の現状に対する不安が入り混じてキャパオーバーになってしまったのだ。
『キュイちゃん、そういう事もあるさ……』
「そんな、そんなのって! じゃあ、ボクはこの手で彼女を――――」
『落ち着けって、周りを見なよ』
ドブさんに言われたとおり氷原を見渡した。校舎は、依然として氷の膜に覆われている。
アイススケルターが造った天蓋により日光がまったく入ってこない。
ん? ボクはようやく事の異常性に気づいた。
変体を倒せば氷も溶けるはず……そう勝手に決めつけていたけど、こちらも変化が見受けられない。
だとすると……まだアイススケルターを倒せていないのでは?
真相を探るべくシーラカスの下へと迫る。
ざっと見た感じだけど、やはり外側からでは異常が見あたらない。
「触れても体温すら感じない。なんか、ぬけ柄みたい」
『見たいじゃなくて、既にそれは空だよ』
「どういう意――「フェザータッチ! エントリーモード」
ボクの言葉をさえぎったのは、魔法少女の変身呪文だった。
凍てつく風圧とともに、アイススケルターの本体に亀裂が生じ、中から人影が出現した。
氷の世界が一斉に消えゆく中で、彼女はボクの方へと歩み近づいてきた。
もう一人の魔法少女、シルフィードハーネス。
その正体が田宮メルナだとは思いもしなかった。
ピンク色のバトルスーツと対比する金色の武装、関節部のネイビーブルーがアーマーの輝きを更に際立たせる。
ボディーラインをしっかりと残しつつ、それでいて重厚感あるフルスタイルモード。
スゴイのは、当然ながら見た目だけではない。
どのギアも脅威的な性能を秘めている。
例えば、このマスターローブにはXM556の技術を応用したマイクロガンが仕込んである。
因みに以前の僕はXLサイズの服を着てきていたが、まったく持って不要な情報であろう。
紳士諸君にとって重要なのは脂肪漢の生体ではなく、マイクロガンの銃口が、かなりアウトな位置で攻めてきているところにある。
気づけば、反射的に二度見してしまう恥辱の極み。
男だったからこそ、その程度の辱しめにも耐えうる免疫があるものの……何だか、自分が切なくなってくる。
とにかく、ロボットでも胸部の凶器からミサイルを発射するタイプがある……今さら、ポリコレがどうとか言っている次元ではない。
頭部のインターフェースを介いて、ボクがこの様に「マジカルデストラクション」と唱えればアイススケルターが躍り狂うぐらいには銃弾の嵐が飛ぶ。
アイススケルターはすぐさま空気を凍らせて弾丸の軌道を逸らそうするが銃撃の勢いの方が勝っている。
全てを停止させることはできず、そのまま銃弾を浴び続けることとなった。
「グオオオォォォン―――」悲痛な鳴き声とともに巨体が倒れた。
今度は地面に沈んでゆく気配はない。
サークレットフェアリーとなったボクの攻撃がダウンを取ったんだ。
イエローだった時は、一度たりとも怪人を倒すことができなかったのに、こうもアッサリと活躍の場が巡ってくるとは……。
近頃の魔法少女の戦闘力の高さは脅威的だ。
「ファイナルフィニッシャー、ピュア・グランガントレット!! ストライクファングパンツァー!」
寸勁、ボクの得意とするワンインチパンチの抜重運動から繰り出される渦巻く衝撃波だ。
回転することで、さらにグランガントレットの力を増幅させ猛烈な一撃をも放つことができる。
コスモブレイド同様、この必脳殺技を受ければ変体はもとの人間に戻る……はず。
無防備となったアイススケルターの背びれに突き刺さる力の波形は、敵の重量などお構いなく弾き飛ばす。
シーラカンスに似た、魚の変体が突風にさらわれ空高く打ち上げられる。
その姿にオズの魔法使いという物語を思い出していた。
確かヒロインの少女は竜巻に飲まれて異世界へと飛ばされたんだっけ……。
なんて……ことだ! 元祖なろう系じゃないかぁあああ!
知ってはいけない真実へ辿りつき困惑する内に、自身で張った氷の壁に激突した魚影が落下してきた。
すでにファイナルフィニッシャーは決まった。
あとは、元の田宮さんに戻るのを待つだけだ。
「………………ドブさん」
『ん―――なんだお? 今、少し手が離せないから要件は手短に』
「今、倒した変体……いつになったら田宮さんに戻るの?」
こうして待っているのに一向に変化が見られない。
もしかして、ボクはやり過ぎてしまったのか?
わけも分からないし、どうしていいのかすら見えてこない。
その場で棒立ちになりながら、狼狽えるしかない。
目の前の敵は、もう動かない……気絶しているのか、そうでないのか? 判断する方法を誰か教えてくれ。
喉がやけに、ひりついて仕方がない。
自身の鼓動がはっきりと脈うっている。
気持ちばかりが焦る、早く戻れ、戻れと祈っても何も変わらない。
これだけイレギュラー出来事が起きてもボクの感情はさほど動じていない。
田宮さんのことに対する不安と自分の現状に対する不安が入り混じてキャパオーバーになってしまったのだ。
『キュイちゃん、そういう事もあるさ……』
「そんな、そんなのって! じゃあ、ボクはこの手で彼女を――――」
『落ち着けって、周りを見なよ』
ドブさんに言われたとおり氷原を見渡した。校舎は、依然として氷の膜に覆われている。
アイススケルターが造った天蓋により日光がまったく入ってこない。
ん? ボクはようやく事の異常性に気づいた。
変体を倒せば氷も溶けるはず……そう勝手に決めつけていたけど、こちらも変化が見受けられない。
だとすると……まだアイススケルターを倒せていないのでは?
真相を探るべくシーラカスの下へと迫る。
ざっと見た感じだけど、やはり外側からでは異常が見あたらない。
「触れても体温すら感じない。なんか、ぬけ柄みたい」
『見たいじゃなくて、既にそれは空だよ』
「どういう意――「フェザータッチ! エントリーモード」
ボクの言葉をさえぎったのは、魔法少女の変身呪文だった。
凍てつく風圧とともに、アイススケルターの本体に亀裂が生じ、中から人影が出現した。
氷の世界が一斉に消えゆく中で、彼女はボクの方へと歩み近づいてきた。
もう一人の魔法少女、シルフィードハーネス。
その正体が田宮メルナだとは思いもしなかった。
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