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四十四話 アニキ、ステラバーガーを食す
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「オキそばぁぁああああ―――――!!」
ヤキソバが鳴いた。
何か知らんけど、リビドーのようなものを感じボクも涙する。
「きっしょいわ! この臭いモンブラン」
アイカちゃんが血も涙もないことを口走る、モンブランと見間違えるのか普通……。
そう思い変体の方をみると、モンブランもありだなと思うボクがいた。
「許さん! 許さんぞぉぉぉ、ステラバーガーめ!! どうして海の家に出店してきたッァアアアアァ――――――――――!!!」
「アイツ、目に何か注入している……」
「あれね、目薬だと思うよ……」
「そっか。泳いだら使うもんね」
違うんだフィグちゃん……あれは一発ネタなんだ!
本当は目薬とかどうでも良くて、きたッァア――――――――したいだけなんだ。
これがジェネレーションギャップという奴か……。
もう来たというより消えたって言った方が早いし。
「それは兎もかく、このバニースーツが解ける前に輪ゴム怪人を倒さないと!」
「本当に自由思考なんですね、レネ子さん。というか、その変身衣装は溶けるんですかぁぁ!?」
ここまでボケられると色々とツッコム気力も失せてきた。
ボクの中のオラオラ感が「失せろ!」一喝してくる。
「お前ら、半婆俄ってどうよ?」
「半婆俄?? 何、言ってんだ? この残飯は」
「おそらく、ハンバーガーのことじゃないかしら? ステラバーガーってここ最近、話題のバーガーショップだから」
「ほぉぉ―――」
レネ子さんの説明にオヤジ臭く、納得するアイカちゃん。
というか、よくアレを訳せたなと思う……どうやら、このヤキソバはハンバーガーに対して酷く憤慨しているみたいだ。
「あんなものは食べもんじゃねぇ―――! そう思うだろう!?」
どこのカイバラ先生か知らないけれど、ボクはバーガーよりカレーマンが好きだ。
「はぁっ? オメーの方が汚物だしぃ―――。ハンバーガーはJKの必須アイテムだけど、ヤキソバって……おっさんの相棒みたいじゃん! プックスクス」
おう……煽るわ、煽るわ。ヤキソバも美味しんだけどなぁ――――。
「私は、青海苔がちょっと苦手です……歯についたら恥ずかしいんで。コイツ、ヤキソバ食べただろうと周囲から疑いの眼差しを向けられても否定できないじゃないですか?」
「なっしてだぁ!? なら青海苔なしで食べればいいじゃねぇか!!」
「そうするとですね。今度はキャベツが歯に挟まっているんですよ」
「はうわぁああ! 正論すぎて何も言えねぇ――――」
そこは認めてしまうんだ……。
砂浜に両膝をつくヤキソバは失意のどん底に落ちてしまった。
ヤキソバの豪快さは、繊細なる乙女たちにとっては関心が低く、抱かれたくない怪人部門のランキング圏内に余裕で入り込めそうだ。
「紹介がまだだったようね。私はファーストクレパス! 大剣を得意とする魔法少女だ。隣にいるうさ耳は――――」
「ミステリアス・ディクションと言います。以後、お見知りおきを」
「そんでもって、この大人しいのがシンフォニーベイクだ」
コクリと頷くフィグちゃんことシンフォニーベイクにヤキソバがなおもしつこく言い寄ってくる。
「君は、断然にヤキソバ派だよな? ハンバーガーなんて目じゃないよね!?」
「こやき……」
「ん? 声が小さくてよく聞こえないけど、焼き……そばだよね?」
「たこ焼きが一番イイ―――」
「よっしゃ――――!! たこ焼きや! って、たこ焼きぃぃぃぃ―――――。いや……よく考えたら、ほぼヤキソバかぁ」
いや、考えてないだろう?
何を血迷っているんだ、このヤキソ馬鹿は……。まかり間違っても、たこ焼きはたこ焼きでしかない。
選ばれなかったからって現実逃避するのは、いい歳した大人がやっていいもんじゃない。
「付き合いきれねぇよ、そろそろ片づけてやるよモンブラン!」
「奇遇だね! ちょうど、俺もムシャクシャしていたところさ」
そういうの何て言うのか、ボクは知っている……八つ当たりって言うのさ。
「シンフォニー!!」
「うん、マークセット!」
クレパスの合図で戦いが始まった。
ヤキソバにむかってシンフォニーが腕を伸ばすと、広範囲に拡がる魔法陣が砂地に浮き上る。
「こおおおおおっ、全身が地面に引っ張れれるよう動かんぞ。麺ウィップぅぅぅ!」
シンフォニーの魔法によって行動不可に陥った麺類は、主な成分である麺をしならせながら、鞭打つように魔法少女たちを狙う。
地味な攻撃だけど弾力性がある麺は当たるとかなり痛い。その上、香ばしい匂いが魔法少女たちの空腹を誘う。
「くっ、この匂い反則ですわ! 二人とも麺から立ち昇る湯気を吸ってはなりません。戦意を失わせる効果があるようです」
すぐさま、匂いの元を特定したミステリアスは警戒を促しつつも、敵の注意をひきつけている。
「桶丸!! あとは私に任せな。バルムンク・ノブリージュ!」
女の子の背をおおうほどの幅広い刀身を持つ大剣が、魔法により鞘から飛び出てきた。
それを右手で軽々つかむと、クレパスは一気に斬り込んでゆく。
「喰らえ、ジンジャーレッド!!」
「赤い霧? って……まんま紅ショウガがじゃんかよ!」
変体から放たれる、紅ショウガをバルムンクの一閃が粉微塵にした。
一体、ショウガをばら撒いてん何がしたかったのだろうか?
その答えは常に一つ、ヤキソバにはそれが付き物だからだ。
ヤキソバが鳴いた。
何か知らんけど、リビドーのようなものを感じボクも涙する。
「きっしょいわ! この臭いモンブラン」
アイカちゃんが血も涙もないことを口走る、モンブランと見間違えるのか普通……。
そう思い変体の方をみると、モンブランもありだなと思うボクがいた。
「許さん! 許さんぞぉぉぉ、ステラバーガーめ!! どうして海の家に出店してきたッァアアアアァ――――――――――!!!」
「アイツ、目に何か注入している……」
「あれね、目薬だと思うよ……」
「そっか。泳いだら使うもんね」
違うんだフィグちゃん……あれは一発ネタなんだ!
本当は目薬とかどうでも良くて、きたッァア――――――――したいだけなんだ。
これがジェネレーションギャップという奴か……。
もう来たというより消えたって言った方が早いし。
「それは兎もかく、このバニースーツが解ける前に輪ゴム怪人を倒さないと!」
「本当に自由思考なんですね、レネ子さん。というか、その変身衣装は溶けるんですかぁぁ!?」
ここまでボケられると色々とツッコム気力も失せてきた。
ボクの中のオラオラ感が「失せろ!」一喝してくる。
「お前ら、半婆俄ってどうよ?」
「半婆俄?? 何、言ってんだ? この残飯は」
「おそらく、ハンバーガーのことじゃないかしら? ステラバーガーってここ最近、話題のバーガーショップだから」
「ほぉぉ―――」
レネ子さんの説明にオヤジ臭く、納得するアイカちゃん。
というか、よくアレを訳せたなと思う……どうやら、このヤキソバはハンバーガーに対して酷く憤慨しているみたいだ。
「あんなものは食べもんじゃねぇ―――! そう思うだろう!?」
どこのカイバラ先生か知らないけれど、ボクはバーガーよりカレーマンが好きだ。
「はぁっ? オメーの方が汚物だしぃ―――。ハンバーガーはJKの必須アイテムだけど、ヤキソバって……おっさんの相棒みたいじゃん! プックスクス」
おう……煽るわ、煽るわ。ヤキソバも美味しんだけどなぁ――――。
「私は、青海苔がちょっと苦手です……歯についたら恥ずかしいんで。コイツ、ヤキソバ食べただろうと周囲から疑いの眼差しを向けられても否定できないじゃないですか?」
「なっしてだぁ!? なら青海苔なしで食べればいいじゃねぇか!!」
「そうするとですね。今度はキャベツが歯に挟まっているんですよ」
「はうわぁああ! 正論すぎて何も言えねぇ――――」
そこは認めてしまうんだ……。
砂浜に両膝をつくヤキソバは失意のどん底に落ちてしまった。
ヤキソバの豪快さは、繊細なる乙女たちにとっては関心が低く、抱かれたくない怪人部門のランキング圏内に余裕で入り込めそうだ。
「紹介がまだだったようね。私はファーストクレパス! 大剣を得意とする魔法少女だ。隣にいるうさ耳は――――」
「ミステリアス・ディクションと言います。以後、お見知りおきを」
「そんでもって、この大人しいのがシンフォニーベイクだ」
コクリと頷くフィグちゃんことシンフォニーベイクにヤキソバがなおもしつこく言い寄ってくる。
「君は、断然にヤキソバ派だよな? ハンバーガーなんて目じゃないよね!?」
「こやき……」
「ん? 声が小さくてよく聞こえないけど、焼き……そばだよね?」
「たこ焼きが一番イイ―――」
「よっしゃ――――!! たこ焼きや! って、たこ焼きぃぃぃぃ―――――。いや……よく考えたら、ほぼヤキソバかぁ」
いや、考えてないだろう?
何を血迷っているんだ、このヤキソ馬鹿は……。まかり間違っても、たこ焼きはたこ焼きでしかない。
選ばれなかったからって現実逃避するのは、いい歳した大人がやっていいもんじゃない。
「付き合いきれねぇよ、そろそろ片づけてやるよモンブラン!」
「奇遇だね! ちょうど、俺もムシャクシャしていたところさ」
そういうの何て言うのか、ボクは知っている……八つ当たりって言うのさ。
「シンフォニー!!」
「うん、マークセット!」
クレパスの合図で戦いが始まった。
ヤキソバにむかってシンフォニーが腕を伸ばすと、広範囲に拡がる魔法陣が砂地に浮き上る。
「こおおおおおっ、全身が地面に引っ張れれるよう動かんぞ。麺ウィップぅぅぅ!」
シンフォニーの魔法によって行動不可に陥った麺類は、主な成分である麺をしならせながら、鞭打つように魔法少女たちを狙う。
地味な攻撃だけど弾力性がある麺は当たるとかなり痛い。その上、香ばしい匂いが魔法少女たちの空腹を誘う。
「くっ、この匂い反則ですわ! 二人とも麺から立ち昇る湯気を吸ってはなりません。戦意を失わせる効果があるようです」
すぐさま、匂いの元を特定したミステリアスは警戒を促しつつも、敵の注意をひきつけている。
「桶丸!! あとは私に任せな。バルムンク・ノブリージュ!」
女の子の背をおおうほどの幅広い刀身を持つ大剣が、魔法により鞘から飛び出てきた。
それを右手で軽々つかむと、クレパスは一気に斬り込んでゆく。
「喰らえ、ジンジャーレッド!!」
「赤い霧? って……まんま紅ショウガがじゃんかよ!」
変体から放たれる、紅ショウガをバルムンクの一閃が粉微塵にした。
一体、ショウガをばら撒いてん何がしたかったのだろうか?
その答えは常に一つ、ヤキソバにはそれが付き物だからだ。
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