超絶転身少女 インフィニティアニキ 特撮ヒーローから魔法少女系νtuberに転職します

心絵マシテ

文字の大きさ
46 / 59

四十五話 アニキ、田所さんと話す

しおりを挟む
「ぐううううっ! 地味にショウガ臭い!!」

尚もバルムンクをかざすアイカちゃんが思わず左腕で口元をおおった。
ショウガ独特のツーンとした香りが苦手な人もいる。
こんな時、ドカグイイエローだったら、全部カレーに混ぜて臭いを消せるのだが……。
やめておこう……過去の栄光にすがっても仕方のない話だ。
今は、ボクの出番ではない。彼女たちを信じて見守るべきだ。

「うちの出番ね。スイートマジック! レインドロップ!!」

「おおっ―――!!」

自然と歓声が上がった。
初めて魔法少女っぽい魔法を見たのかもしれない。
暑い日差しの中で、ヤキンバ(通称)だけに降りしきる雨。
ドラマの撮影とかでよく見る舞台裏ようなワンシーンに、上がりかかったテンションが一気に平常値へと戻ってゆく。
因みに、何故ヤキンバという名前にしたのかというと……その昔、東京制圧を目論んだヤーマンバという種族がいた。
似ているのだ。彼の麺の色艶がヤーマンバ族の特殊メイクの色に、ヒサロというマシーンにより量産されていた、あの一族は世間に逆らおうとも時代の流れには逆らえず、黒い歴史帳に載せられ全滅したという。

それは、そうとヤキンバがエロいことになっている。
浴びた雨の影響で全身が粘って、ろくに身動きが取れずにいる。
おそらくは普通の雨じゃない。
糸引きながら、困惑するその横顔は、もはやヤキソバでがなく納豆にも見えてくる。

「いぐぞぉぉぉぉ――――!! エンタングルメント・トーチ!」

某アーティスト顔負けの、アイカちゃんのかけ声が夏の海岸に響き渡る。
バルムンクの刀身が真っ赤に発光し、燃え盛る。
何が燃えているのか? 聞くまでもない……彼女の闘志がバルムンクに伝わっているのだ。

「ハッァアアア――――皇斬玖オーザック!!」

技名が適当すぎるにもほどがある。しかも振り抜いた大剣の一撃がカッコよく決まっているから妙に否定しにくい。

「がああああっはあ!!」

燃えるバルムンクに斬られ、切り傷と火傷を負ったヤキンバの悲鳴がこだました。
砂地に埋もれ転がり回る姿に、同情を禁じ得ないが相手は調理済みの一品だ。
再加熱したと思えば、悩むことなく受け入れられるだろう。

「トドメだ! 紐野郎」

ヒモかどうか知らないけれど、アイカちゃんの追撃がヤキンバに直撃する。
間髪入れずに飛んでくる炎の剣戟により、勝負は見えたかに思えた。

「変わり麺の術」
ホロホロと身をほぐしながら、散らばってゆく麺。
そう、斬られたのは彼が脱ぎ捨てた肉体の一部、いわば脱皮した生物の抜け殻である。

「ふあっあああああ!! ゴフッ!!」

しかし、ダメージはちゃんと通っていた。何一つとして変わっていない……。
変わったのはヤキンバの勢いだけである。そういうお笑い芸人みたいなノリで済まされるのはお笑い芸人だけだ。
悪党がやっていいことではない。

「しからば、相打ちを―――――」

どう見ても、そんな真似したら即DEATHルートに直行するのに、まったくもって無茶しやがって……。
ヤキンバ渾身の一撃がフィグちゃんをに照準を当て襲いかかってくる。
勝てない相手には絶対にしかけてこない。その信条がダサい。

「どうやら、まにあ―――――田所フラァァアアッシュ―――――!!」

突如として、眼鏡のオッサンが乱入してきた。
本当に何の前ぶれもなく、嵐のように現われたと思いきやムエタイの飛び膝蹴りをかまし、生身で変体を沈めてしまった。

「いつになっても姿を見えないから来てみたが、いきなり変体と遭遇するとはな。君たちも災難だったな」

ぐったりとした怪人の首根っこを掴みながらオッサンはこっちを振り向いた。

「店長!! わざわざ、ご足労願わなくとも私たちで処理しましたのに」

「何を言うか、教え子の窮地を見過ごせるわけがないだろう」

レネ子さんにそう言い放つと、オッサンはニカッと笑った。
アロハシャツに短パン姿の中年の、その渋さが何故かカッコよく見えてしまう。
現に三人はオッサンを前にかしこまっていた。
敬意を払っているというべきか、彼を特別視しているような気がする。

「おや、君かね? ドブネズミが言っていた新人とは?」

思わぬ、名が出てきた。
この人はドブさんの知り合いみたいだが……何者なんだ?

「済まない、いきなり話を振られても分からんか。僕は田所魔法技術研究所の所長、田所耕作という」

「えっ? ドブデバイスの!?」

「そうそう、アレも奴に急かされて作った物だけど、ちゃんと役立っているかな?」

「あっ、はい。凄く、助かってます」

ボクは何度も、うなづきながらも三人の方へと目をやっていた。
田所さんの名は魔法アイテムの開発者として知っていたけど、アイカちゃんたちとは一体、どのような関係なのだろう。
教え子と言っていた辺り教官のような立場なのだろうか?

「気になるかい? ならば、ついて来なさい。僕が何者かは、そこでハッキリする、モチロン彼女たちとの関係もね」

「あの……その変体をどうするつもりなんですか!?」

「ああ、これか! 魔法少女に必要なエネルギーを抽出したら、ラボに回すつもりだよ」

ラボという単語を平然と使う田所さんにボクは少なからず抵抗を覚えた。
本来なら、すぐに人の姿に戻すべきだと思うのだが……考え方が甘いのか?
とにかく、間接的に関わり合いがある以上ついてゆくのが正解だと思う。
もしかしたら、田所さんはドブさんについても何か知っているのかもしれない。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

処理中です...