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ルチア十歳、断罪&冒険編
愛し子三番勝負
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何でこんな事に?
私は獣人族の愛し子さんと、勝負する事になってしまった。
しかも勝負の内容もよくわからない……! なんなら戦い方も。
【愛し子三番勝負】とはそもそも何ぞや?
『ルチィ? 嫌だったらこんなアホウな勝負に付き合う必要などないぞ?』
「シェラ様ありがとう。でも勝負しないと、次会う時に毎回言われても嫌だし……」
ーー僕は愛し子の対決を見るのは2回目だけど。負けたら対等な愛し子同士の関係は変わるね。
「そうなの?」
ーーそもそも、妖精の愛し子は皆平等だし、ランクなんて無いんだ。でも稀に自分が一番とか言い出す、バカな愛し子が現れるんだよな! 獣人国の愛し子みたいにな?
白ちゃんがバカにしたように、愛し子ファミさん? だっけかを見る。
「なるほど……」
ーー五百年くらい前に、勝負しようとか言い出した奴も、「全ての愛し子の中で自分が一番上だ」とか言い出して。反発した他の愛し子たちと対決になったな。
五百年前……白ちゃんたちって、いったい何歳なんだろう? 聖獣だから何歳とかないのかな?
「あの……そもそも対決って何をするの? 私魔法とか……まだそんな使えないし?」
少し困惑し、どうしたらいいか困っていると。
ーー三回勝負して、最終的に喜んでくれた妖精の合計数で決まるんだ。
黒ちゃんが、そんな事は簡単だと言わんばかりに、教えてくれる。
「えーっっ! 勝負は妖精さん次第なの?」
それって私の実力とか、全く関係ないじゃん……何その変な対決。
「ちょっと!? 何をごちゃごちゃ話してんのよ? さっさと勝負しなさいよ!」
え……? この場所で? 目立ちすぎませんか?
移動とかしないの? この騒ぎに、獣人族の人とかいっぱい集まって来てるよ?
もの凄く目立つよ?
「あの? 獣王様、この場所で対決するのですか? この騒ぎでドンドン人が集まって来ていますけど……」
こんな場所では嫌です~オーラを必死に出す。
「まぁ……? 移動した方が良いんだが、アレはあーなったら言う事を聞かんだろう。すまないが付き合ってくれ。」
ふぅ……! ダメか。
すっごいギャラリーで、目立つし恥ずかしいんだけど、私は獣人の愛し子が立ってる、公園の中央広場に歩いて行こうとするが……?
「あの? シェラ様、下ろして下さい。自分で歩いて行きます」
『ダメだ。我の可愛いルチィにもし何かあったら! その時近くに我がいないと守ってやれないだろう?』
いやいや。こんなにギャラリーがいて、妖精もどんどん集まってきてる状況で、何が起こるんですか?
「シェラ様?」
大丈夫ですよ~っとシェラ様を見る。
『ダメだ』
「・・・」
結局、私はシェラ様に抱っこされたまま中央広場に行く。
「やっと来たわね? じゃあ勝負よ!」
そう愛し子が言うと、獣王様が手を挙げる。
「妖精達よ! 今から三番勝負を始める。歌、ダンス、魔力の三つだ。気に入った方に集まってくれ」
獣王様が空に向かって叫ぶと、妖精さん達がザワザワと騒ぎだした。
ーーえっ! 勝負!?
ーー楽しー
ーー歌好きー
ーーわーい
ーーダンスー踊る♪
獣王様の言葉に、妖精たちが楽しそうにクルクルと飛んでいるんだけれど……今勝負の内容をサラッと歌とダンスって言わなかった?
私……それ! 全く不得意なんですが! 歌もダンスも前世で苦手分野だったけど?
うん。無理やっぱり断わろう
「あのっ……ちょっ……やっぱ無理」
『ンン? どうしたルチィ? 嫌なら我がこの場を消し去ろうか?』
無理って言おうとしたら、シェラ様が再びとんでも無いことを言い出したので。
ゴクリとその気持ちを飲み込んだ。
シェラ様を怒らせる方がやばい。
勝てなくてもやってやろうじゃない!
「では三番勝負を始める前に、誓いを立てて貰う」
誓い?
ーーそれはね? 勝負に負けた方は二度と勝った方に逆らいません。って誓いだよ。
白ちゃんがサラッと説明してくれたけど……。
ええ!? 二度と逆らえないって!? ちょっとそれは先に言ってもらわないと! 簡単に決めたらダメな勝負じゃん!
「さぁルチア嬢、右手を心臓に当てて左手を差し出して?」
私のそんな気持ちなどさておき、ドンドンと勝負の進行が進んでいく。
もうこれは辞めますって今さら言えない状況。
私は言われた通りに右手を心臓に置き左手を前に出した。ファミさんも同じようなポーズをとる。
次の瞬間、私の左手に何やら不思議な模様が入った。
「これは!?」
ーーその模様はこの勝負が終わるまで消えない。そして勝った方の手からは消失し、負けた方は一生紋として残るんだ。負けた証がね刻まれてしまうんだよ。まぁルチィなら大丈夫だから安心して。
白ちゃんが教えてくれたのは良いんだけれど、負けたら一生残るって嘘でしょう?
ファミさんは自信満々だし……きっと歌やダンスが得意なのよ。
白ちゃんは大丈夫って言ってくれるけれど……
私のへたっぴダンスと歌で勝てるのか?
ってかこんな大勢の前でそれを披露するとか……ぐぬぬ。
「ではまずは踊りの勝負から!」
獣王様がそういうとファミさんが前に出てきた。
「では私が先に舞を踊らせて頂きますわ」
すると柔らかな物腰で妖艶な踊りを披露するファミさん。
「綺麗……」
音もないのに美しいリズムが聞こえてくるようだ。
ーーおおっ
ーー綺麗だねー
ーーふふ
妖精さんたちもうっとりとファミさんの踊りを見ている。
私がこの後に……踊るの? 嫌すぎるんですが。
「さぁあんたの番よ?」
ファミさんが私を馬鹿にしたように見てくる。
踊れって言われても……私はアレしか踊った事ないですが。
もうヤケクソだぁ。
「あほれ。ハァ~こりゃこりゃ」
盆踊りしか踊ったことがない私は、口で音を刻みながら踊っていく。
『ルチィは踊っても可愛いのう』
「ほう……初めて見る踊りだな」
そんな私をシェラ様はいつもの如く可愛いと言い、獣王様はなんとも言えない表情をしている。
獣王様なんか……すみません。
「なぁにそのダサい踊りは……あはは」
ファミさんはそんな私を見て馬鹿にしたように笑っていた。
これだって日本の伝統的な踊りなんだから!
ーールチィ楽しいねー
ーーほいさっ
ーーエイサッ
妖精さんたちが、楽しそうに私の周りで一緒に踊り出してくれたので、なんだか気持ちも吹っ切れて楽しくなってきた。
「では終了! 妖精たちよ、どっちの踊りが好みだったか分かれてくれ!」
獣王様がそう言うと妖精たちが私とファミさんのところに集まる。
結果はほとんど同じくらい、少しファミさんが多いくらいだろうか?
その結果に納得いかないと、キャンキャンと怒るファミさん。
それを獣王様が、必死に宥めている。
どうだ! 日本の伝統は妖精さんに気に入って貰えたみたい。なんだか嬉しい。
「では次は二番勝負! 歌だ」
「次は圧勝で勝つわ!」
ファミさんが鼻息荒く前に出て歌った。
「うわっすごい声量」
まるでオペラ歌手のように、この会場全体に美しい声が響き渡る。
みんなうっとりとその美しい音色に耳を傾ける。
正直この後に歌うのはほんと嫌だけど、さっき盆踊りで恥は捨てた。
もうやってやる。
……って言っても何を歌う? そうだ!
綺麗な花の公園だし、せっかくだから花の歌にしよう。
「では次はルチア嬢の番だな」
「はい。では歌います」
さ~く~ら~♪ さ~く~ら~♪
ファミさんほどの声量はないけれど、前世でよく口ずさんでいた。大好きな歌をめいっぱいの声で歌った。
みんなの反応はイマイチだったけれど、私は歌いながら前世を思い出し泣きそうになってしまい、溢れ出そうな涙を必死に堪えながら歌った。
ふう……どうにか歌えて良かった。
『ルチィ。歌ものすごく良かった……ん!? どうしたんだ? 勝負が辛いのなら我がこの場を消し去っても良いいんだぞ?』
歌い終わるとシェラ様が拍手しながら近づいてきて、急に動揺している。
「え? 大丈夫だよ?」
『でも泣いておるではないか……』
「あ……」
いつの間にか涙がこぼれ落ちてしまったみたい。
「ふふ。心配しないでください。大丈夫です」
『でも……』
「勝負の邪魔ですよ?」
そう言って、心配するシェラ様の背中を押しその場を離れた。
なんだか泣き顔を見られたのが少し恥ずかしいのもあって……。
意外だったのは、この歌勝負もほぼ同数だったこと。
どうやら妖精さんたちは、歌のうまさで勝敗を決めているようではなさそうだ。
「さぁ最後の魔力勝負だ! お互いの魔力を放出し妖精たちを引き寄せるんだ」
魔力の放出? よく分からない。
ーールチィ、妖精たちは愛し子の魔力が大好物なんだ。妖精たちに魔力が届くように想像してみたら?
困っていたら白ちゃんがやってきて教えてくれた。
そうか……魔力が届くように……。
妖精さん私の魔力は甘くって美味しいよーいっぱい食べて!
そう思った次の瞬間、目が開けてられない程の光が溢れる。
うわっ……眩しっ
「ふう……ビックリしちゃった」
再び目を開けると。
なんと私の周りに殆どの妖精さん達が集まり、うっとりと美味しそうに魔力を食べている。
そして目の前でワナワナと身体を震わせ、顔が真っ青な獣人族の愛し子さん。
「なっ……そんな人族などに……この私が? 魔力勝負で負けるなんて……」
ーーこれは、圧巻! 圧倒的だな! さすがルチィ。
黒ちゃんは自分の事のように嬉しそう。
「勝者! 愛し子ルチア嬢!」
オオー!!ルチア様!
愛し子ルチア様!
凄い声援が公園に響く……
ーーくくっこれであの愛し子はルチィには逆らえない。格下になったからな!
ーーまぁ勝負する前から分かってた事だけどね。だってルチィほど極上の魔力を持った愛し子は、いないんだから。クスッ
「え…….勝ったの?」
良く分からないけど、私は三番勝負に勝ったらしい……
私は獣人族の愛し子さんと、勝負する事になってしまった。
しかも勝負の内容もよくわからない……! なんなら戦い方も。
【愛し子三番勝負】とはそもそも何ぞや?
『ルチィ? 嫌だったらこんなアホウな勝負に付き合う必要などないぞ?』
「シェラ様ありがとう。でも勝負しないと、次会う時に毎回言われても嫌だし……」
ーー僕は愛し子の対決を見るのは2回目だけど。負けたら対等な愛し子同士の関係は変わるね。
「そうなの?」
ーーそもそも、妖精の愛し子は皆平等だし、ランクなんて無いんだ。でも稀に自分が一番とか言い出す、バカな愛し子が現れるんだよな! 獣人国の愛し子みたいにな?
白ちゃんがバカにしたように、愛し子ファミさん? だっけかを見る。
「なるほど……」
ーー五百年くらい前に、勝負しようとか言い出した奴も、「全ての愛し子の中で自分が一番上だ」とか言い出して。反発した他の愛し子たちと対決になったな。
五百年前……白ちゃんたちって、いったい何歳なんだろう? 聖獣だから何歳とかないのかな?
「あの……そもそも対決って何をするの? 私魔法とか……まだそんな使えないし?」
少し困惑し、どうしたらいいか困っていると。
ーー三回勝負して、最終的に喜んでくれた妖精の合計数で決まるんだ。
黒ちゃんが、そんな事は簡単だと言わんばかりに、教えてくれる。
「えーっっ! 勝負は妖精さん次第なの?」
それって私の実力とか、全く関係ないじゃん……何その変な対決。
「ちょっと!? 何をごちゃごちゃ話してんのよ? さっさと勝負しなさいよ!」
え……? この場所で? 目立ちすぎませんか?
移動とかしないの? この騒ぎに、獣人族の人とかいっぱい集まって来てるよ?
もの凄く目立つよ?
「あの? 獣王様、この場所で対決するのですか? この騒ぎでドンドン人が集まって来ていますけど……」
こんな場所では嫌です~オーラを必死に出す。
「まぁ……? 移動した方が良いんだが、アレはあーなったら言う事を聞かんだろう。すまないが付き合ってくれ。」
ふぅ……! ダメか。
すっごいギャラリーで、目立つし恥ずかしいんだけど、私は獣人の愛し子が立ってる、公園の中央広場に歩いて行こうとするが……?
「あの? シェラ様、下ろして下さい。自分で歩いて行きます」
『ダメだ。我の可愛いルチィにもし何かあったら! その時近くに我がいないと守ってやれないだろう?』
いやいや。こんなにギャラリーがいて、妖精もどんどん集まってきてる状況で、何が起こるんですか?
「シェラ様?」
大丈夫ですよ~っとシェラ様を見る。
『ダメだ』
「・・・」
結局、私はシェラ様に抱っこされたまま中央広場に行く。
「やっと来たわね? じゃあ勝負よ!」
そう愛し子が言うと、獣王様が手を挙げる。
「妖精達よ! 今から三番勝負を始める。歌、ダンス、魔力の三つだ。気に入った方に集まってくれ」
獣王様が空に向かって叫ぶと、妖精さん達がザワザワと騒ぎだした。
ーーえっ! 勝負!?
ーー楽しー
ーー歌好きー
ーーわーい
ーーダンスー踊る♪
獣王様の言葉に、妖精たちが楽しそうにクルクルと飛んでいるんだけれど……今勝負の内容をサラッと歌とダンスって言わなかった?
私……それ! 全く不得意なんですが! 歌もダンスも前世で苦手分野だったけど?
うん。無理やっぱり断わろう
「あのっ……ちょっ……やっぱ無理」
『ンン? どうしたルチィ? 嫌なら我がこの場を消し去ろうか?』
無理って言おうとしたら、シェラ様が再びとんでも無いことを言い出したので。
ゴクリとその気持ちを飲み込んだ。
シェラ様を怒らせる方がやばい。
勝てなくてもやってやろうじゃない!
「では三番勝負を始める前に、誓いを立てて貰う」
誓い?
ーーそれはね? 勝負に負けた方は二度と勝った方に逆らいません。って誓いだよ。
白ちゃんがサラッと説明してくれたけど……。
ええ!? 二度と逆らえないって!? ちょっとそれは先に言ってもらわないと! 簡単に決めたらダメな勝負じゃん!
「さぁルチア嬢、右手を心臓に当てて左手を差し出して?」
私のそんな気持ちなどさておき、ドンドンと勝負の進行が進んでいく。
もうこれは辞めますって今さら言えない状況。
私は言われた通りに右手を心臓に置き左手を前に出した。ファミさんも同じようなポーズをとる。
次の瞬間、私の左手に何やら不思議な模様が入った。
「これは!?」
ーーその模様はこの勝負が終わるまで消えない。そして勝った方の手からは消失し、負けた方は一生紋として残るんだ。負けた証がね刻まれてしまうんだよ。まぁルチィなら大丈夫だから安心して。
白ちゃんが教えてくれたのは良いんだけれど、負けたら一生残るって嘘でしょう?
ファミさんは自信満々だし……きっと歌やダンスが得意なのよ。
白ちゃんは大丈夫って言ってくれるけれど……
私のへたっぴダンスと歌で勝てるのか?
ってかこんな大勢の前でそれを披露するとか……ぐぬぬ。
「ではまずは踊りの勝負から!」
獣王様がそういうとファミさんが前に出てきた。
「では私が先に舞を踊らせて頂きますわ」
すると柔らかな物腰で妖艶な踊りを披露するファミさん。
「綺麗……」
音もないのに美しいリズムが聞こえてくるようだ。
ーーおおっ
ーー綺麗だねー
ーーふふ
妖精さんたちもうっとりとファミさんの踊りを見ている。
私がこの後に……踊るの? 嫌すぎるんですが。
「さぁあんたの番よ?」
ファミさんが私を馬鹿にしたように見てくる。
踊れって言われても……私はアレしか踊った事ないですが。
もうヤケクソだぁ。
「あほれ。ハァ~こりゃこりゃ」
盆踊りしか踊ったことがない私は、口で音を刻みながら踊っていく。
『ルチィは踊っても可愛いのう』
「ほう……初めて見る踊りだな」
そんな私をシェラ様はいつもの如く可愛いと言い、獣王様はなんとも言えない表情をしている。
獣王様なんか……すみません。
「なぁにそのダサい踊りは……あはは」
ファミさんはそんな私を見て馬鹿にしたように笑っていた。
これだって日本の伝統的な踊りなんだから!
ーールチィ楽しいねー
ーーほいさっ
ーーエイサッ
妖精さんたちが、楽しそうに私の周りで一緒に踊り出してくれたので、なんだか気持ちも吹っ切れて楽しくなってきた。
「では終了! 妖精たちよ、どっちの踊りが好みだったか分かれてくれ!」
獣王様がそう言うと妖精たちが私とファミさんのところに集まる。
結果はほとんど同じくらい、少しファミさんが多いくらいだろうか?
その結果に納得いかないと、キャンキャンと怒るファミさん。
それを獣王様が、必死に宥めている。
どうだ! 日本の伝統は妖精さんに気に入って貰えたみたい。なんだか嬉しい。
「では次は二番勝負! 歌だ」
「次は圧勝で勝つわ!」
ファミさんが鼻息荒く前に出て歌った。
「うわっすごい声量」
まるでオペラ歌手のように、この会場全体に美しい声が響き渡る。
みんなうっとりとその美しい音色に耳を傾ける。
正直この後に歌うのはほんと嫌だけど、さっき盆踊りで恥は捨てた。
もうやってやる。
……って言っても何を歌う? そうだ!
綺麗な花の公園だし、せっかくだから花の歌にしよう。
「では次はルチア嬢の番だな」
「はい。では歌います」
さ~く~ら~♪ さ~く~ら~♪
ファミさんほどの声量はないけれど、前世でよく口ずさんでいた。大好きな歌をめいっぱいの声で歌った。
みんなの反応はイマイチだったけれど、私は歌いながら前世を思い出し泣きそうになってしまい、溢れ出そうな涙を必死に堪えながら歌った。
ふう……どうにか歌えて良かった。
『ルチィ。歌ものすごく良かった……ん!? どうしたんだ? 勝負が辛いのなら我がこの場を消し去っても良いいんだぞ?』
歌い終わるとシェラ様が拍手しながら近づいてきて、急に動揺している。
「え? 大丈夫だよ?」
『でも泣いておるではないか……』
「あ……」
いつの間にか涙がこぼれ落ちてしまったみたい。
「ふふ。心配しないでください。大丈夫です」
『でも……』
「勝負の邪魔ですよ?」
そう言って、心配するシェラ様の背中を押しその場を離れた。
なんだか泣き顔を見られたのが少し恥ずかしいのもあって……。
意外だったのは、この歌勝負もほぼ同数だったこと。
どうやら妖精さんたちは、歌のうまさで勝敗を決めているようではなさそうだ。
「さぁ最後の魔力勝負だ! お互いの魔力を放出し妖精たちを引き寄せるんだ」
魔力の放出? よく分からない。
ーールチィ、妖精たちは愛し子の魔力が大好物なんだ。妖精たちに魔力が届くように想像してみたら?
困っていたら白ちゃんがやってきて教えてくれた。
そうか……魔力が届くように……。
妖精さん私の魔力は甘くって美味しいよーいっぱい食べて!
そう思った次の瞬間、目が開けてられない程の光が溢れる。
うわっ……眩しっ
「ふう……ビックリしちゃった」
再び目を開けると。
なんと私の周りに殆どの妖精さん達が集まり、うっとりと美味しそうに魔力を食べている。
そして目の前でワナワナと身体を震わせ、顔が真っ青な獣人族の愛し子さん。
「なっ……そんな人族などに……この私が? 魔力勝負で負けるなんて……」
ーーこれは、圧巻! 圧倒的だな! さすがルチィ。
黒ちゃんは自分の事のように嬉しそう。
「勝者! 愛し子ルチア嬢!」
オオー!!ルチア様!
愛し子ルチア様!
凄い声援が公園に響く……
ーーくくっこれであの愛し子はルチィには逆らえない。格下になったからな!
ーーまぁ勝負する前から分かってた事だけどね。だってルチィほど極上の魔力を持った愛し子は、いないんだから。クスッ
「え…….勝ったの?」
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「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
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