嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金

文字の大きさ
74 / 140
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百五十話 孤児達を助けよう

しおりを挟む

「まった見た事もない、身綺麗なお坊っちゃん達にお嬢さん達だねぇ。こんな場所に、一体何の用があるんだい?」

 私達が呆然と立ち尽くしていたら、少しふくよかな叔母さんが声をかけて来た。

「あっ……私達は孤児院に用があって」

「孤児院によう? あんた達がかい?」

 用があると言うと、少し怪訝そうに、私達を見定める様に上から下まで見てくる。
 この場所では、かなり浮いているみたいだから、怪しんでるのかな。

「用事って孤児あのこ達をどうする気だい?」

「それはですね。僕からお話しさせて下さい。僕達は孤児院に寄付に来たのです。するとこの惨状が目に入りましてね? 驚いていた所です」

 不穏な空気を感じとったアイザック様が、一歩前に出て女性に説明してくれる。おばさんもアイザック様の笑顔にポ~っとしている。
 おばさんまでタラシちゃうなんて、さすがですねアイザック様。
 私はアイザック様に向かって、小さくガッツポーズを送った。
 すると何故か残念そうな目で私を見返して来た。んん? なんで?

「なんだぁ。そうかい! 変な目で見ちゃってゴメンよ。子供達を拐って、奴隷にする貴族が居るらしいって、街で噂になっててね。まさかと思ってしまってさぁ。仕事中にあんた達を見かけて慌て飛び出して来たのさっ。私はあの端っこで、小さな食堂をしているミザリーってんだ。宜しくね」

  ミザリーさんは気立てのいいおばさんで、毎日食堂で余った料理を孤児院に届けているんだそう。でも全く量が足りなくて、子供達はやせ細っていく一方で、心配していたんだと、孤児院まで一緒に歩きながら色々と教えてくれた。

 孤児院の前に立つと、建物のオンボロ具合がより分かる。今にも倒壊しそうだ。至る所に穴があいているし……これは色々と忙しくなりそうだわ。

 そして肝心の子供達はと言うと、私達が目の前に立っても、驚きもせず虚ろな目で座ったままだった。驚く体力さえも無いのかもしれない。

 よく見ると服もボロボロだし、みんな臭う。何日も体を洗ってないんだろう。初めて出会った時のラピスの様だ。
 そう言えばラピス元気にしてるかな? 私の事心配してないかな。しばらく御屋敷に帰ってないから。この街がひと段落したら公爵邸に帰ろう。学園も許可をもらっているとはいえ、休み過ぎだしね。

 よしっ! まずはこの子達を元気にしてあげないとね。元気と言ったら癒しのお水でしょう。

 外に座っている子達も、手を繋いだりして食堂に連れて来た。机と椅子もボロボロだけれど、どうにかみんなが座れた。
 子供達の数は全部でええと……三十人くらいかな?

「ソフィア様? 食堂に子供達を集めてどうする気です?」

 シャルロッテが、期待に満ちた瞳で私を見つめる。そんなに期待されると困るんだけれど……

「何も食べてないお腹に、お肉はビックリすると思うから、簡単デトックススープを作ろうかなと」
「わぁ! 素敵ですね」

 調理場を借りて、アイテムボックスに入っている道具とお野菜があれば余裕だわ。ふふふ……すぐ食べれるようにと、調理済みのお野菜が入ってるのよね。あっ豆腐も入れよう。

「調理場かい? 案内するよ」

 調理場はどこかなと探す前に、ミザリーさんが教えてくれた。
 本当に親切な人だ。その後夜の仕込みがあるからと、お店に戻って行った。

「よしっ作るわよ」
「私もお手伝いしますね」

 大きな寸胴鍋に、手から癒しの水を出していれる。そこに野菜と豆腐を入れて軽く調味料で味付けするだけで、アッサリスープの完成。

「シャルロッテ、私がお皿にスープを入れるから、子供達に配ってくれる?」
「はいっ! 任せてください」

 さぁ! 三十人以上いたからね、頑張るぞー! お代わりするかもしれないから、後二つくらい同じように寸胴鍋にスープを作ろう。
 色々とアイテムボックスに入れてて良かったぁ。やっと日の目を浴びる時がきたわ。

 スープを配り終えると、子供達は手をつけず、じっとスープを見つめるだけだった。

「あのう……食べて良いんですよ?」

 食べて良いと言っても、手を動かさず食べようとしない子供達。口からは分かり易くヨダレが垂れているのに、どうして?

 私とシャルロッテが困惑していると、建物を見て回っていたジーニアス様がその様子を見て「大丈夫だよ? この食事を食べたからといって、君たちに何かしたりしないから」そう言ってクシャリと優しく笑った。

 ジーニアス様の、あんな笑顔は珍しい。初対面の人にそんな顔を見せたりしないのに。

「じゃあ……食べても何もしない?」

 一番大きな少年が、震えながら聞いてきた。大きなと言っても六、七歳ぐらいかな。

 そうか、いきなり知らない人に施されても怖いだけだよね。今まで何もされて来なかったんだから。さすがジーニアス様だわ。

「大丈夫です! これは貴方達が今まで頑張ったご褒美なのでいっぱい食べても大丈夫なんです」

「ほんと?」
「ほんとよ?」

 私がこれ以上ないくらいの笑顔で返すと。

「「「「「わぁぁぁぁ!」」」」」

 子供達が一斉にスープを飲みだした。スプーンなんて使わずに、直接お皿を持って飲み干していく。時に足をパタパタと動かし、喜びの感情をあらわしている姿がまた可愛い。

「美味しいね」
「幸せだね」
「ああ……なんだか胸が暖かい」
「ううっ……美味しっ」

 泣きながら、口いっぱいにスープを詰め込む姿を見て、私とシャルロッテは胸が熱くなり、知らないうちに泣いていた。

 良かった……喜んで貰えて。


 次はお風呂や建物を直して、仕上げの肉祭りといきますか。だってみんなの喜ぶ顔がもっとみたいんだもの。



しおりを挟む
感想 848

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。