嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金

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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百八十話 お久しぶりのアイリーンです

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「アイリーン! こっちの整理は終わったの?」
「はい。終わりました!」
「じゃあ洗濯物を干したら、昼休憩に行っていいよ」
「ありがとうございます。シスター・ベラ」
「ふふっ……あんたも変わったねぇ。初めこの教会に来た時は、どうなるのかと心配していたけれど」
「その事はもう言わないでください。あの時の私は、何も分かってなかったのですよ。反省しています。じゃ洗濯物干してきますね」

 アイリーンはシスター・ベラに軽く会釈をすると、足速に部屋を出ていった。

 そう。このしおらしい女性が、かつてソフィアを陥れようとした貴族ヒロイン。【アイリーン・ヒロウナ】である。
 彼女が当初、この修道院に入って来た時は、言うことを聞かずわがままばかりを言っていた。
 だがここは帝国で一番厳しい教会。
 嫌だと言って何もしなければ、食事やお風呂など身の回りの物を与えて貰えない。働かざる者食うべからずの精神。場所は離れ孤島にある極寒の教会。外は常に雪で覆われていて、一歩外に踏み出せばものの十分で凍ってしまうだろう。
 ———そう。
 一度この教会の中に入ってしまうと、逃げる事など出来ないのだ。
 だから嫌だとしても、ここのルールに従うしかない。

「はぁ……ほんっと、ここに来た時は地獄だと毎日恨み言や文句ばかり言っていたなぁ」

 パンっと衣類を広げてアイリーンは器用に干していく。
 少し過去の自分を思い出しながら。

「アイリーン。こんにちは、今日は洗濯日和ね」

 沢山干された洗濯物の隙間から、ひょこっと顔が出てきた。

「わっ! ララ。こんにちは、もう洗濯物は終わったの?」
「ふふっそうよ。この後昼休憩だから、今から昼食を取ろうと思って」
「あら! じゃあご一緒しない? 私もこれが終わったら休憩なの」
「オッケー。じゃあ先に行って食堂の良い場所取ってるね」

 ララは軽くスキップしながら食堂に向かった。

「ふふ……いつもララはご機嫌なんだから」

 ララがいなければ、今の私はいなかっただろう。

 ワガママと文句しか言わない私に、最後まで根気強く話しかけてくれたのは……彼女だけだった。
 初めは元侯爵令嬢の肩書きもあり、皆が興味津々とばかりに話しかけてきていたんだけど……私の態度の悪さに皆すぐに離れて行った。
 それも拍車をかけ余計に修道院ここが嫌になった。
 もう死んでも良いと思っていたのに、それすら出来なかった意気地なしの私。

 窓もない牢屋みたいな部屋で過ごす毎日。
 そんな私の部屋にララだけが、最後まで遊びにきてくれ話しかけてくれた。毎日何気ない話をするだけなんだけど。
 でもそれが私の心を癒し、人生観を変えた。
 ここに来て私は色なことを学んだ。
 前世も含め、この修道院に来るまでの私は自己中で、周りを見ることの出来ない人間だったと、今は思える。
 過去の私は、周りにいる人は自分のために動く、都合のいい道具か何かと勘違いしていた。
 今はちゃんと、みんなそれぞれ個性の持った人間だと考えられる。
 だからと言って、今まで自分がしてきた事が許される事ではない。
 分かっただけ良かったのだと。できる限りここで頑張ろうと思える。

 今思えば、ソフィアとララは少し似ているのかも知れない。 
 ソフィアも何だかんだと文句を言いながらも、私のわがままに毎回付き合ってくれていた。
 私の態度が違えば、もしかしたら今のララのように仲良くなれたのかも知れない。

 ソフィアといえば。

 そういえば……そろそろダンジョン研修があるんじゃ。
 基本はヒロインとアイザック様が魔獣を討伐しそれで仲良くなって終わるイベントなんだけど……あれ実は隠しルートって言われている悪魔デスルートがあるんだよね。

 もしデスルートに入っちゃうと、かなりの人が死ぬ。

 まぁ……ソフィアの存在自体が例外だし……そんな裏ルート発生しないと思うんだけれど。
 もし……条件を満たしてしまうと…… いやっ。大丈夫よね。

 アイリーンはブルルっと顔を横に振った。

「さてと……終わったしララの所に行こうっと」

 ……そういえば国王様にデスルートの発生条件って言ったっけ? 

 そもそもデスルートの話ってしたかなぁ?

 ええと確か、発生条件は攻略対象の四人が揃う事と、王族が二人揃う事なんだけれど……。
 もし、学年の違うファーブル様とアレス様が来ちゃったとしても、アイザック様のお兄様であるジャスパー様が来るはずないし……大丈夫でしょ。
 前世でもデスルートにワザと入ろうと頑張る人も多数いたけど、誰も入れなくてネットで話題になったほどだもん。うんうん。

 考え事してたら、遅くなっちゃった。早く行かないとララが待ってる。
 
「今日のランチは何かなぁ?」


 この時アイリーンが、不穏な予言をしていたなんて、誰も知らないのであった。



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