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本編 燦聖教編
獣人族
しおりを挟むスバルが案内してくれた場所は壁を乗り越えると小路になっていて使われていない通りなのか人が全く居なかった。
「よし!今からワシらは貴族様じゃ!皆貴族の様に振る舞うのじゃぞ?」
「貴族の様にってどんなだよ!この服装がまず貴族って感じじゃねーぞ?明らかに冒険者だか……大丈夫なのか?」
「それは大丈夫じゃよ!貴族の子息も冒険者をしておる者が多数おるからの?
まぁ……殆どは箔ずけのために冒険者をやっとる奴らじゃ!本気で冒険者をしておる貴族は数少ないじゃろうの」
そうなのか、貴族様も冒険者とかするんだな。俺は今まで出会わなかっただけか。
小路を抜け大通りに出ると豪奢な馬車が行き交う。
「派手な馬車だな……」
「この辺りは貴族達の居住区なんじゃな。大きな建物が並んでおるわ!ほれ見よ派手な馬車があの建物の前に止まったのじゃ」
馬車が建物の前で止まり、中から人が降りて来た。
先に降りて来たのは獣人の子供……⁉︎
その後から派手に着飾った女性と男性が次いで降りてきた。
「あー今日は良い買い物が出来たわね!ふふっ……この子はライオンの獣人ですって!」
「今日入荷したばかりと言っていたな。ライオンは強いんだろう?どんなに痛めつけても死ななそうだな。前のは直ぐに死んじまって大損だよ」
豪奢な馬車から降りた貴族達は、高笑いしながら獣人を引き連れ屋敷に入って行った。
何を言ってるんだ……この貴族達。
「なぁパール!聞いたか?アイツら獣人の子供を痛めつけるって!ゆっ許せないよ!」
「ああ言うておった!この街の貴族は皆あんなのなのか!」
「ティアは嫌な気持ちになったの!」
「我もだ!」
「獣人族って強いんだろ?何で人族が酷い事してるのに反抗しないんだ?」
「よく見えなんだが、多分あの獣人の子は隷属の首輪をつけられておった!」
「隷属の首輪……?」
「隷属の首輪はの?ワシがカスパールであった時……もう三百年以上前に禁忌の魔道具としてこの国では消滅したとされておる魔道具なのじゃ!
アレをつけられると主従契約が結ばれ、主人に全く逆らえない奴隷になるんじゃよ。その昔に奴隷制度を廃止したと同時に国王が禁忌の魔道具に定め廃止にした筈なんじゃが……」
何だそれ!三百年前はそんな恐ろしい魔道具があったのか!
何しても逆らえないとか怖すぎるだろ!
「なぁ!見てしまったら……ほっとけない。あのライオン獣人の子を助けたい」
「良いんじゃがティーゴは貴族と揉めるの嫌じゃなかったかのう?」
「……確かに……でも助けたい」
『バレたくねーんならさ?変装したら良いんだよ!ティーゴの旦那!』
スバルが変装したらと提案してくれた。偶には良い事言うな!
「そうだな!ナイスアイデアだ!」
⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎
俺はアライグマ姿になり、三号は黒犬、パールは猫、銀太とティアは目立つので人化した姿でさっきの胸糞悪い貴族の屋敷に忍びこんでいる。
何処にいるんだ?
「むう!あっちじゃ!弱々しい気配がする!」
パールの後をついて走る、この屋敷の召使い何人かに見られたけど気にしない!動物の集団と子供が走ってるだけだ。
「階段を降りた先じゃな……」
地下室か……嫌な事する奴って何故か地下室がおおい!
はぁ……
階段を降りると部屋から声が漏れる。
「ギャッ!痛いよう……何でこんな事するんだよ!」
「何でか知りたいか?」
「はははっ楽しいからさ!」
バァーーン!
勢いよく扉を銀太が開けると、そこには剣を振り回す男性と身体中に何回も切られた後がある獣人の子
隣では猫獣人の子供に女性が熱した焼印を押し付けていた。
酷い匂いだ……
「なっ?子供と動物?」
「お主らはやり過ぎた!ワシが成敗してやるのじゃ!」
「ねねっ猫が喋った!」
「五月蝿いのじゃ!お主らにはちいとお仕置きが必要じゃの?」
「はぁ?猫が俺にお仕置きだと?何を言ってるんだ!お前こそこの剣で切り刻んでやろうか?」
「馬鹿な奴じゃ……先ずはお主らが獣人の子にした痛みを味わってもらうかの?」
「はぁ?」
ギィャァァァァァー
男の体がパールの風魔法により細かく切り刻まれて行く。
「痛い痛い痛い痛い……助けて」
女の体には炎魔法で体中に焼印が押され焼かれて行く。
「やめて!痛いー!痛いから!」
「お主らはこの獣人の子らが同じ事を言うてやめたかの?」
「ーーだってコイツらは何しても良い奴隷」
「ほう?では今日からお主らもワシの奴隷じゃ!次は何をしようかのう?」
『目玉くり抜いちゃうとか?爪を全部千切って、指を一本ずつ切って行くとかどう?』
「三号よ。お主は楽しそうに恐ろしい事を言うのう」
『死なない程度の火だるまとかは?ずっと雷で打ちのめすのもいーんじゃねーか?』
男と女はパール達の話を聞いて気絶した。
『気絶させないわよ!』
男と女は消し炭に……
『あっ間違えて殺しちゃった』
《リザレクション》
ヒィャァァァァァ!
カタカタカタカタカタカタカタ
生き返った貴族の男と女は震えが止まらない。
「さてと?お仕置きの時間じゃ!とりあえず三号とスバルの案フルコースと行こうかのう?」
ヒィャァァァァァ!
貴族達は震え上がる。
パール達がお仕置き?をしてる間に俺は獣人の子供にリザレクトをかける。
「あれ?俺痛くない……」
突然痛みが無くなった獣人族の子供達は、自分に何が起こったのか理解出来ない。
「俺達が助けてやるからな?もう大丈夫!」
「ーーアライグマが喋った……!」
ライオン獣人の子とネコ獣人の子は不思議そうにしていたが、俺達が自分達を助けに来てくれたんだと理解すると……。
ホッとしたのか泣き出した……。
俺はアライグマの小さな手で必死に頭を撫でてやった。
「アライグマの手……気持ちい…」
《リザレクション》
何回リザレクションしてるんだ?パール達よ……
そうか!今回、パールに三号に銀太とリザレクションの使い手ばかりが……使い放題じゃないか!
「分かったの?次にもし獣人に何かしたらまたワシらがお主らに説教しにくるからの?分かったなら返事をするのじゃ!
「「はっはい!」」
説教なのかこれは?パールよ?
「二度と動物様に手出しいたしません!」
貴族の男性と女性はパールに平伏した。
「後はこの隷属の首輪の解呪じゃの」
「この首輪外せるのか?」
「普通はつけた主人と解呪師がいないと無理じゃがの?ワシにかかれば余裕じゃ!」
「さすがパール様!」
パールは簡単に首輪を外して行く。
「隣の部屋にもおるのだ!」
銀太が虎獣人の子と兎獣人の子を見つけ回復して連れて来た。
パールはすぐに首輪を取ってあげた。
何をされたのか理解出来ないないのか獣人達はキョトンとしていたが、理解すると……涙ながらに何度も何度も感謝された。
この屋敷にいるのは子供の獣人族ばかりだな。それを痛めつけて楽しんでたなんて!はぁ最低だ!
「おい!この貴族街にはお前達みたいに獣人族を奴隷にしてる奴が他にもいるのか?」
「はっはい!私共も、貴族の紹介で奴隷の事を知りました」
「そうか!ならそのお前の知ってる貴族達を全て教えろ!奴隷を買った所もだ!」
「そっそれは……」
奴隷の事は貴族達の間で秘密裏に行われている事なんだろう……。貴族達が口籠る。
「何じゃ?ワシらに逆らうのか?」
パールが魔法を放とうと片手を上げる。
ヒィャァァァァァ!
「言います!全部話しますから!許して下さい!動物様!」
よしっ!奴隷を購入した貴族達の情報や、奴隷商の場所の情報を入手したぞ。
⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎
「この後先ずはどうする気じゃ?ティーゴよ」
「もちろん黒幕の奴隷商に突撃だよな?」
「そうじゃのう?」
パールがニヤリと笑う。
獣人の子供達はとりあえず異空間に連れて行った。
初めはキラやベヒィ達に驚いてたけど、皆が優しいと分かるとすぐに馴染み楽しそうにはしゃいでいた。
良かった。
俺達も本当の姿に戻り正体を明かした。
子供達はアライグマだと思ってたのが人族だと分かり、ビックリしていたけど……銀太やスバルの正体を知り驚きすぎて気絶しそうになってた。
俺の聖獣達は皆規格外すぎる。
さぁ!奴隷商に突撃だ!
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