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本編 燦聖教編
エンシェントスパイダー
しおりを挟む「ワシらはの?
お主達を殺しに来たとかじゃないんじゃよ。何も嫌な事はせんから安心するのじゃ」
『ならっ一体何用があって、わざわざこんな奥地に住んでる我らの所に来たんだよ!』
キングスパイダーが威嚇してくる。エンシェントスパイダーを守る為に必死って感じだな。
『エンよ。そんな喧嘩腰に喋るでない!この方達は嫌な事をせぬと言うておろう?
すまぬのう……我らは人族に良い思い出があまり無い。
貴方様がその様な人族ではないと分かっておるがのう』
エンシェントスパイダーに怒られキングスパイダーは頭を下げた。
『すまない』
「直ぐに謝る事が出来るのは凄いぞ?それにお前は、エンシェントスパイダーの事を守りたかっただけだろ?良いやつだよ!」
『そっ……そうか?お前も良いやつ!ふふっ…私良いやつ』
キングスパイダーが嬉しそうに大きな体を揺すっている。何だか可愛いな。
『して?我らにどの様な用事が?』
「うむ。ワシらの仲間になってくれんかのうと思うて……」
『妾をか?仲間に?』
「そうじゃ!そのキングスパイダーも一緒に」
エンシェントスパイダーは少し俯き視線を下げた後……
『妾達には断る等と言う選択権は無いと分かっておるが……。
少し……妾の話を聞いてくれぬか?
その話を聞いても無理に連れて行くと言うのなら……妾だけついて行く。キングスパイダーは逃してやって欲しい』
『なっ!主様それならこの私が奴らと行きます!』
『妾ではこの子達を守れぬ!お主が守り……私の夢を実現しておくれ』
『主様……!』
何だ……俺達酷い事する悪党の立ち位置にいないか?
パールの方を見ると同じ様に困った顔をしていた。
ヒソッ
「パール!どうするんだよ……何か変な空気だぞ?」
「そう言われても……彼奴ら何か変な誤解しとるんじゃ!ワシらを悪者の様に……ティーゴよ?何か案はないのか?」
案って言われてもなぁ……
「もうさ?いきなり異空間を見せるとか?この場所は安全ですよーってアピールするとか?」
「それじゃ!」
俺とパールはエンシェントスパイダー達に近付き、異空間の良さをアピールする事にした。
「なぁ?お主らはこんな場所に住んでいるって事はじゃ?強い魔獣や魔物を恐れておるんじゃろ?」
『そうじゃ!妾達は強くない……この森は強い魔獣がウヨウヨしておるからのう……この場所は弱いスパイダー達を守るためだ』
「そうか……ならピッタリの良い場所があるんじゃがのう……ティーゴよアレを!」
「はいよ!」
俺は異空間の扉を出し中を見せた。
『なっ?どうなっておる?扉の向こうに別世界が……!楽園が広がっておる』
『本当だ!』
エンシェントスパイダー達は興味深々に異空間を覗いている……。
『ティーゴ…おかえり…帰ってきた』
「ぎゃわっ!ジュエルドラゴン!う~ん……」
俺に気付いたキラが扉まで飛んで来たせいで……キラにビックリした、エンシェントスパイダーとキングスパイダーは気絶してしまった。
⭐︎★⭐︎★⭐︎★
『はっ?妾は一体……?』
「ジュエルドラゴンにビックリして気絶しちゃったんだよ!」
『そっ!そうだジュエルドラゴンが!危険じゃ!急いで逃げないと!』
「ちょっと落ち着いてくれ!ジュエルドラゴンは俺の仲間なんだ!俺はテイマーでもある。」
『テイマーじゃと?あの様に強い種をテイム出来る者が……お主凄いんじゃのう』
「俺のテイムはちょっと変わってるんだよ。この場所は俺の優しい仲間しか住んでいないから安心して住んでくれ?」
『この楽園に……妾が……』
「そうそう。ココにはな?珍しい果物や果実がいーっぱいあるんだぞ?」
『珍しい果実……⁉︎』
「レインボーマスカットだろ?ジュエルフラワーだろ……」
『ジュエルフラワーだと?この森にもあるよな!どんな味がするのか気になってたんだよ!』
『これエンよ!はしたない!ヨダレが垂れておる!』
『主様だって……お口から』
『はうっ!』
クスクス
「食べてみるか?これは俺が作ったパイ。ジュエルフラワーの蜜漬けしたレインボーマスカットがのせてあるんだ」
ゴクリ……!
二匹の視線はパイにまっしぐらだ。もうそれしか目に入ってないな。
『主様!毒見のため私が先に味見します!』
『あう……っ!』
エンシェントスパイダーが羨ましそうに見つめる中……キングスパイダーはパイを一口頬張った。
サクッ
『‼︎』
サクッサクッモグッ……ゴクンッ!
『はぁぁ何て美味しいの!私はこんなにも美味い甘味は知らない!はぁ……幸せだ』
『エンよ……毒見が全部食べるとは……妾の分が無いではないか!』
エンシェントスパイダーは今にも泣きそうだ。
『あやっ!しまった!美味すぎて……!すみません……主様』
それを見て狼狽えるキングスパイダー。
ブッッ!
何だコイツら食いしん坊だな!
「そんな顔するな?パイはまだまだいっぱいあるからな?
……ほら食べな!」
エンシェントスパイダーにパイを渡す。
『ゴクッ……ジュエルフラワーの蜜……どんな味がするのだ……』
サクッ
『美味い!はぁ……何て美味しいの!無くなってしまうのが寂しいのう』
良かった。パイは相変わらず魔獣達に人気だな。
「どう?俺達の仲間になれば毎日食べれるよ?」
『『……毎日……ゴクリッ』』
二匹の唾を飲み込む音が俺にまで聞こえる。
ぷっ食いしん坊だな!
『主様!私が行きます!『やっ妾が『いや私が!『スパイダー達はどうするんじゃ!』
「全員でココに住んだら良いだろ?」
二匹がビックリした顔をして俺を見たあと、凄い勢いで近付いて来た!
「ちょっ近い近い!」
『妾達全員という事はこのスパイダー達もか?十四匹もおるぞ?』
「良いよ!皆一緒が良いんだろ?」
『本当か?本当に良いのか!』
「良いって!だから近いよ!」
『『仲間になる!』』
二匹は声を揃えて仲間になると言った。結局パイのおかげだな。
「良かったのうティーゴ!」
「だな?」
俺とパールは両手でハイタッチをした。
エンシェントスパイダーは、大事な話があるって言ってたよな。それまだ聞いてないけどな……。どんな内容なんだろうな。気になるな。
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