お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

文字の大きさ
123 / 314
本編 燦聖教編

シガーの森 ①

しおりを挟む

ジャスター侯爵が話していた通り、街道は人っ子一人居なかった。広い街道を聖獣達は縦横無尽じゅうおうむじんに歩き、気がつくとシガーの森に着いていた。

四時間はかかるってジャスター侯爵が話していたが、二時間程で到着した。

『俺は先に空から様子見てくるぜ』

スバルが先に様子を見にシガーの森へ行ってくれた。そう言う所良く気が利くんだよな。

「俺達も行くか」

森に一歩足を踏み入れると、前に匂った妙な匂いがして来た。

「パールこの匂いって……」

「魔獣兵器を作っておった村と同じ匂いじゃな」

「魔獣達を狂わせる匂い」

『なぁ!凄いの見つけたぜ』

先に様子を見に行ってくれていたスバルが、慌てて戻って来た。

「凄いの?」

『ああ、蠱毒こどくを見つけた』

「蠱毒って俺達が閉じ込められてキラが狂化しかけたアレか?」

『そうだ……魔獣達を集めてる村の近くにあったよ』

アイツら一体、蠱毒を何個作ってるんだよ。

「パールどうする?村と蠱毒どっちから行く?」

「蠱毒を破壊してから村に行くのはどうじゃ?」

「よしっそれで行こう。スバル案内してくれ」

『はいよー!』

俺は銀太の背に、パールはキラの背にのり蠱毒に向かって物凄い速さで走って行く。
俺は振り落とされない様に必死にしがみついた。




⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎



目の前に以前見た邪悪で凶々まがまがしいオーラを放つ蠱毒があった。

『何やこれ……キショイわ』

ベヒィが蠱毒を見て嫌そうな顔をする。

「この中で魔獣達を戦わせて、最後に残った魔獣を狂化させて兵器として使うのさ」

『何やそれ!燦聖教さんせいきょうの奴らホンマムカつくわ。ワイら魔獣を何やと思うてるん』

ベヒィが鼻息を荒くし怒っている。

「こんなのはさっさと破壊するんじゃ!」

パールはそう言うと、ユグドラシルの杖を出し魔法を放った。

爆音と共に蠱毒は消え去った。

「すごい……」

ブモォォォォォォォォォォ!

突然耳を劈く様な咆哮がする。声のする方を見ると。

蠱毒の中に一匹、魔獣が居た!

『これはワイに任せて?』

そう一言言うとベヒィは魔獣に向かって走って行った。

よく見ると真っ黒になり狂化している魔獣の姿は、ベヒィーモスだった。

「何とも言えんのう……」

パールは少し悲しそうに呟いた。

「ああ……」

ベヒィは大切な仲間を狂化されたんだ。

ーー許せないよな。

ん?そうだよ俺キラの時、慈愛の手で浄化したんだった。

ベヒィは自分の手で葬ってやろうと考えてるに違いない。

「ベヒィちょっと待ってくれー!助かるかも」

俺は必死にベヒィの所に走って行くが、近付けない。

体と体がぶつかり合う激しい肉弾戦が始まっていた。

ベヒィーモスが必死にぶつかり合うベヒィを、弾き飛ばそうとするがベヒィはピクリとも動かない。
ベヒィ強い……。

ベヒィはベヒィーモスのツノを握るとそのまま空中に投げ飛ばした。落ちて来るベヒィーモスの体を蹴り倒す。

地面に叩きつけられ、身動きが取れなくなったベヒィーモスが横たわる。

『直ぐに楽にしてやるからな!』

「ちょっと待ったー!」

俺はトドメを刺そうとしたベヒィの前に立ち塞がった。

『ティーゴどしたん急に……』

「おれなら狂化を治せるかもしれないんだ!」

『なんやて!?』

「試して見ても良い?」

『もちろんだ!』

俺は横たわるベヒィーモスの体を触りながら、元に戻ってくれー浄化してくれーっと願いながら撫でて行く。

ベヒィーモスの体が光り輝くと……黒かった体が元の姿にも戻って行く。

「やった!助かった!」

『良かった……ティーゴォォありがとう。ワイの仲間助けてくれて嬉しい』

   《リザレクト》

ベヒィに痛め付けられた体を治す。

直ぐにベヒィーモスは起き上がり、自分に何が起こったのか分からないって顔をしている。

ベヒィが近寄り説明している。

ベヒィーモスが俺に近寄り抱きしめて来た。

「なっ⁉︎」

『狂化から助けてくれてありがとうやって』

ブモッ!ブモッ!

『ティーゴの事兄貴って呼ばせてやって』

「なっなんだよそれっ!」

ベヒィーモスは顔を俺の顔にすりすりと寄せてくる。

ブモッ!

『ティーゴの側でおりたいって。ププッ』

「なんだよそれ。分かったから!抱きしめてるの離してくれ」

ブモッ!

やっとベヒィーモスは俺を離してくれた。

「ベヒィーモス無事じゃったのか」

『良かったのだ』

『ティーゴの手は凄いな』

パールと銀太とスバルが俺達の所に走って来た。

『この子も仲間になりたいんやって』

ブモッ!

『そっかぁ良いぜ?宜しくな俺はスバルだ』

ブモッ!

『よせやい!そんな褒めんなよっ』

『スバルの事見た目に似合うカッコ良い名前だやって!』

「ふふっ褒め上手やなつだな」

『ティーゴ、この子にも名前付けたげて?』

名前……なぁ。
ベヒィの弟分……よしっ決めた。

「モスって名前はどうだ?」

ブモッ!

『気に言ったって』

「よしお前の名前は今日から【モス】だ」

テイムにならないって事は、こいつはSランクじゃないんだな。

「パール、俺だけモスの言ってる事分かんないからさ人語話せる様にしてくれよ」

「分かったのじゃ」

ブモッ!

『はぁーティーゴの兄貴!ワテを仲間にしてくれてホンマおーきに!
嬉しすぎて小躍りしそうでっせ。ああ。穴からでて元の姿に戻してくれるなんて、ティーゴの兄貴は天使でんな。
ワテめっちゃ尽くしまっせ。絶対にティーゴの兄貴を守りまっせ!』

モスは早口でペラペラと楽しそうに話しだした。

ちょっと待ってくれ!
モスってこんなにお喋りだったのか?
ブモッしか言ってなかった時も、こんなに話してたのか⁉︎

また強烈な仲間が増えたなぁ。
しおりを挟む
感想 1,519

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。