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本編 燦聖教編
シガーの森へ出発する前に……
しおりを挟むシガーの森に出発する前に、アレク達と大事な相談をしなければならない。
この街に残るのか、まだ異空間でいるのかを。
寂しいがこればかりは仕方ない、アレク達が幸せになる道を選んで欲しい。
俺は重い足取りを動かし異空間にある、獣人族の集落を訪れる。
この集落も大分発展して来た。
初めはただ同じ作りの住居が複数建てられた家の集まりだったが、今は家の周りに花が植えられたり、カラフルな色に家を塗り変えられたりと、家主の個性あふれる集落に変化した。
集落の中心には、子供達が遊ぶ遊具のある公園まで出来ている。
この遊具はオーちゃん特製。
ここの皆が全て居なくなったら……今見てる賑わいが無くなるのか。それは寂しいな。
「ティーゴ。どうしたんだ?そんな所でボーっと突っ立って」
集落の入り口で俺が感傷に浸っていると、アレクが気付いてやって来た。
「いやな?アレク達と大事な話しがあって……」
アレクは俺のいつもと違う様子を見て言いたい事が分かったのか、真剣な表情に変わる。
「……それは俺達の住居の話か?」
「ああ……そうだ。ローデンブルグ街は前の様に住みやすい街に戻った。
アレク達がローデンブルグ街に残ると言うなら俺は止めない」
アレクは俺の話を聞き少し難しい表情をし、真っ直ぐに俺の目を見て話しだした。
「ティーゴ、俺達は住みやすい所が見つかるまで、この楽園に住まわせてくれとお願いしていたよな?」
「……ああ」
「俺達は楽園に住んで行く内に、ここに住んでいる魔獣達やティーゴお前の事が大好きになったんだ。
皆とこの事は相談したが、皆ティーゴ達と離れるのが嫌だと言っていた。もちろん俺もだ!」
それは……アレク?俺は良い様に解釈しちゃうよ?
「お願いします。これからもこの楽園で俺達獣人族を住まわせて下さい」
アレクは俺に深々とお辞儀した。
「願ってもないよ!アレクこれからも宜しくな」
アレク達は異空間に残る事を選んでくれた。嬉しくて気がつくと涙が流れていた。
いつの間にか俺はそんなにもアレク達の事が大好きになってたんだなと、今更ながら気付かされた。
「なっなんでティーゴが泣くんだよっ!それは俺の役目だろ?」
「あはははっ何だよ泣く役目って!」
「いやっそっそれは言葉のあやっつーか……」
アレクが余りにもしどろもどろするので、俺はその姿が面白くて泣きながら笑っていた。
アレク達がこれからも一緒で良かった。
⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎
「それじゃシガーの森目指して歩いて行くか」
「そうじゃの」
俺達はローデンブルグ街にある西の門前にいる。
この門を抜け街道をひたすら歩くと、シガーの森に突き当たると教えてもらった。
今回の燦聖教退治メンバーは銀太、スバル、キラ、ベヒィ、パールだ。
街に行くわけでもないし、乗り込んで全てを壊しに行くので、大きくて強そうなメンバーも今回はオッケーにしたのだ。
ジャイコブ達や一号二号三号はローデンブルグで満喫したから異空間に残ってのんびりするらしい。
スバルと銀太はローデンブルグで暴れ足りないと、やる気満々。キラとベヒィも体を動かすと意気込んでいる。
スバルは可愛い小鳥姿だけど残りのメンバーの威圧感が凄い。今更ながら聖獣達は迫力満点だ。
中身が皆可愛いから、外見の怖さをつい忘れがちなんだよな。
今は燦聖教の所為で街の行き来が全くなくなっていて、誰もこの街道を使って居ないと、ジャスター侯爵が教えてくれたので、このメンバーでも全く周りを気にせずに歩いていける。
『久しぶりの戦いやからワイわくわくするわぁ』
『…皆…頑張ってた…次はオデが…皆の為に頑張りたい』
『いやいや俺が一人で終わらせてやるよ!』
『ふぬっ我もだ!我だけで全滅なのだ!』
聖獣達は皆やる気満々だ。
頼むからシガーの森を消し去ったりしないでくれよ?
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