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本編 燦聖教編
肉祭り♪
しおりを挟む冒険者シルトside
僕とスペイルは助けてくれた天使様に、もう一度お礼を言いたくて走って行くが、天使様の周りには人垣が出来ていて、中々近寄れない。
皆泣きながら感謝しお礼を言っている。気持ちは僕と一緒だ。
やっと順番が回って来て天使様にお礼を言う事が出来た。
ああっ緊張で震える。
僕とスペイルは深々とお辞儀しお礼を言った。
「天使様……先程は助けていただきありがとうございます」
「なっ!俺は天使じゃないよっ人っ族の様な……何かだゴニョ」
天使様が何か困った様に話す。何を言ってるかは聞き取れない。
「俺はティーゴだ。お腹が空いただろ?今からここで肉祭りするからな?楽しみにしてて」
「僕はCランク冒険者のシルトです。肉祭り……ですか?!何やら美味しそうなお祭りですねっ」
「僕はBランク冒険者のスペイルです。腕を戻して頂きありがとうございます!肉祭り楽しみにしています」
「うん。任せて」
「おーいっティーゴ?準備はどーするんじゃ?」
遠くから天使様の御仲間が呼んでいる。
「はーいっ。今行くよーっ!」
天使様は準備があるからと僕達に後でねと手を振り、聖獣様達の所に走って行った。
天使様の後ろ姿をスペイルとずっと見つめて居たら背後から声をかけられる。
「シルト!お前も助けて貰ったんだな。良かったよ生きてて……」
シルトに筋肉隆々の壮年の男が話しかけて来た。
「べっベイカーさん!凄いっ火傷が綺麗に治ってる……!」
ベイカーさんは、手の施しようがないほど全身に火傷を負っていて……火傷が化膿し、身体中を蝕む痛みと戦い毎日苦しそうで、見てられなかった。
ここ最近は精神を蝕まれ殺してくれとテントに近寄る冒険者に言っていた。それがこの笑顔。
「そーなんだよっ!全身火傷で顔は溶け、痛みで死にかけてた所に神様が現れてな?
見てくれよこの身体!
火傷どころか昔の古傷まで治してくれた!今の俺なら何でも討伐出来そうだぜ?がはははっ」
ベイカーさんは元Sランクの冒険者でもあり、ガドウィンのギルドマスターでもある凄い人。
良かった……元気になってくれて。昔のベイカーさんだ。
「こうして俺達が笑って話せるのもあのお方達のおかげだな」
ベイカーさんが、天使様達を眩しそうに見る。
「ええ……本当に」
⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎
さてと……冒険者達にはやはりエネルギーの源、肉だよな。
肉祭り……何の肉焼こうかな。ワイバーンに……オークキングってとこかな。
あと慈愛のスープも付けて……パールとスバルは米も一緒に食べるのが好きだから、米も用意してっと。
焼き台を出して今からジャンジャン焼くぞー!
少し焼いてコピー料理で増やせば早いんだけど、やっぱり肉祭りは目の前で焼かないと!
肉の焼ける音と匂いがまた美味さを倍増させるからな。
ジュウ~…パチッパチッ
肉の焼ける音や油の弾ける良い音が広場に響く……。
ウォォォォォォ!!
肉の匂いに興奮した冒険者達から歓声が沸き起こる。
「肉だぁ!」「美味そうな良い匂い」「ああっ肉っ!」「どれくらいぶりの肉っ」「硬い干し肉じゃないんだー!」
冒険者達が我先にとティーゴの焼き台に集まる。
冒険者達は一号、二号、三号達から皿を受け取り、焼いた肉を皿に乗せてもらう。
ゴクッ……!!
冒険者達の生唾を飲み込む音が響く。
「ーーうめぇっ」「はぁっ幸せだっ」「こんなに美味い肉初めて食った」「もう……悔いわねぇっ」
肉は冒険者達に大好評だった。肉の味を噛み締め。泣きながら頬張っていた。
「ティーゴ様!こんなに美味しい肉は初めて食べました。これは何のお肉でしょうか?」
「んん?君はシルト……だっけ!」
「はいっ!オーガキングから助けて頂いたシルトです」
シルトはあの時の僕ですと言わんばかりにニコニコとアピールする。
「ははっこの肉はワイバーンとオークキングだ」
「なっ……ワイバーン!オークキング!?」
シルトが大声で騒いだ為、肉を食べて居た冒険者の体がプルプルと震えだす……。
「何てこった!貴重な肉をバクバク食っちまった……」「俺のアホウ!何でもっと味わってたべなかったんだ!」「もう二度と食べる機会なんてねーのに!」「もう俺の皿には肉がのってねーっくそっ」
冒険者達が悔しそうにうなだれている。
「あのー……おかわり何回でもオッケーだからな?」
そのティーゴの一言に冒険者達は一斉に焼き台の前に並ぶ。
ティーゴは思った。
何だろう……冒険者達にあるはずの無いシッポがブンブンしている様に見えるのは……。
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