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本編 燦聖教編
新しい魔道具
しおりを挟む燦聖教スターセブン達のステージが終わり、俺達はステージに上がり話し合いをしている。
何でステージ上かって?ハクとロウがステージに上がると言って聞かないからだ。
『こんなに広いステージは心躍るジャイ♪』
『前のステージの何倍もあるコブ。次はここで踊れると思うと嬉しさで震えるコブ』
ハクとロウはさっきからこんな感じで興奮しっぱなしだ。
ステージを二匹でウロウロしては何やら相談している。頼むから自分達だけにしてくれよ?俺を巻き込むなよ?
「しかしこの街は何かにつけて派手じゃのう」
パールはステージから街並みを眺め大きな溜息を吐いた。
「もっと良い金の使い方があるじゃろうて」
「本当にな」
金が有り余ってるなら困っている所に回して貰いたい。この街は金の無駄遣いだ。
燦聖教の式服を羽織ったままステージ上で話しをしていたので、目立つのだろう黒マントを羽織った男達がステージ奥の扉からわらわらと数名出て来た。
「この様な所で何をされてるんですか?私は助祭のモロ・ホッシーです。燦聖教スターセブンのリーダーも兼任しております」
「貴方が先程のステージで歌われていたのですか!ステージ見させて頂きました。おれっ私はアタマガウ・スイ助祭です。マーヌ司祭にミナトゥーク街を手伝って欲しいと言われガドウィンから参りました」
ティーゴはパールと考えた設定を、間違えない様に必死に話す。
「おおっ何と心強い。ガドウィンはステージ搾取の先駆けですからね。
いやぁ……しかしマーヌ司祭は面白い事を考えたもんですな。
何もせずとも馬鹿な貴族達が、資材を投げ売り金を作ってステージに金貨をばら撒いている。ふははっ」
ステージ搾取って……まんまだけど嫌な言い方だな。もう少しマシな言い方あるだろ?
「では私達はこれで……」
俺達が何者か分かり納得したのか、また奥の扉に向かい歩き出す。
「ちょっと待つのじゃ!これはマーヌ司祭から預かった新作の魔道具じゃ。コレをマイクに付けて歌うと効果が倍増するんじゃ!」
「倍増!?それは素晴らしいっ。ありがとうございます。是非次のステージから使わせて頂きます」
モロ助祭はほくほくの笑顔で、パールから魔道具を受け取っていた。
「パール?さっき渡した魔道具は何だ?」
「んん?アレを付けて歌えば魅了の効果が消え去り貴族達は冷静になるのじゃよ」
「ええっ!?ちょっと待ってくれよっ。じゃあさっ?ガドウィンでもアレを付けてたら俺ステージで歌わなくて良かったんじゃ?!」
「そうじゃの、でもその方が面白いかのうと思うて……くっ違っ間に合わなかったんじゃよ」
パールはそそくさとジャイコブ達の元へと走って言った。
パールの奴め……単純に面白がって俺を歌わせたなっ。くそうっ!次は絶対にパールの話に乗ってやるもんか!
そう心に誓ったティーゴであったが、世の中そう上手くは行かないのである。
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