お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

四天王メフィストの旅 ①

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時は少し遡り。

王都ドヴロヴニク街を楽しく歩き回るメフィストの姿があった。「今日はどんな美味しい食べ物を見つけようかな?」っと軽快なステップで歩いていた。

あれは……!串焼き。色々食べたけどアレが一番食べ易くて美味しい。

「オヤジ!串焼き十本」

「毎度ありっ。すぐに焼けるから待っててくれ」

メフィストは串焼きを受け取ると、にこにこと食べ歩きしながら街を探索する。

この街の食べ物は色々食べ尽くしたな。違う街に行って見るか。

何処の街にしようか?

メフィストが次の行先に迷っているとふと前を歩く人族達の会話が耳に入る。

「やっぱり異国は最高だったなぁ……この国にない食べ物ばかりだった。もう少し滞在したかった」

「そんなに美味い食べ物があるのか?」

「ああっ思い出すだけでヨダレが止まらない」

その話を聞いたメフィストは居てもたってもいられない。

「すみませんっ!その異国とやらはそんなにも美味い食べ物があるのですか!?」

「なっなんだい兄ちゃん?異国に興味があるのか?」

「美味い食べ物に興味があるんだ」

「美味い食べ物かぁ、そりゃ異国に行って見ると良い。目から鱗さっ!」

男はメフィストの肩をバンバンと叩き「異国に行くなら港町ニューハウンの船着き場に行って船で行くと良い」と耳打ちしてくれた。

「じゃあな?良い旅を」

「ありがとう!行って見るよ」

なるほど、異国には船で行くのか……ほほう。これまた魔王様に面白い報告が出来るぞ、私めを一番褒めてくれるに違いない。

ーーメフィストが一番勉強熱心じゃのう。船に異国とは良くぞ調べたのじゃ!

「ぐふっぐふふっ」

魔王に褒められる未来を想像しほくそ笑むメフィストだった。




★     ★      ★




「ここが港町ニューハウン……ほう。何やら塩の匂いか?他の街とは違う香りがする」

とりあえず街人に船着場の場所を聞いて異国の情報を集めないと……。

メフィストは情報を集めようと街をウロウロと徘徊すると……何とも言えない匂いが漂って来た。
何だ?このえも言われぬ香ばしく芳醇な香りは?!
この匂いを嗅いでるだけなのに、涎が溢れて止まらない!
何処だ!?この匂いの元は何処にあるんだ!?

メフィストは匂いに釣られる様にフラフラと歩き、ある屋台の前に立ち止まる。

ここかっ!何を焼いてるんだ?!美味そうな香ばしい匂いで頭が蕩けそうだ。

「兄ちゃん?涎たらしてそんなにが食いたいのかい?」

店主がニヤ付きながらメフィストの前に見た事のない串焼きをチラつかせる。

「ゴクッ。そっそれだ!それを今あるだけ寄越せっ」

「あるだけって、食いしん坊だな兄ちゃんは。黙ってりゃここらじゃ見た事ない程綺麗な顔してるのに台無しだな?ハハッ」

店主は笑いながら串焼きをメフィストに渡した。

「これはニューハウンの名物料理クラーケンのバターショーユ焼きさ」

「クラーケン?のバターショーユ焼き……」

ゴクッ……どんな味がするのだ?

メフィストはバターショーユ焼きを一口頬張りその味を噛み締める。

「ーー!!なっなんて美味さだっ噛めば噛む程に香ばしく濃厚な旨味が口中に広がる。はぁ美味いっ」

「ハハッそんな美味そうに食ってくれたら作ったかいがあるってもんだ」

「この香ばしい味付けは?何なのだ?」

「これか?異国から来た調味料ショーユだよ。それとバター」

また異国か……ますます異国に興味が湧いて来た。きっと他にも美味い料理があるに違いない。

店主が色々な調味料などを販売しているお店を紹介してくれたので、メフィストはそこにも立ち寄り、ショーユなどの珍しい調味料を大魔王のお土産にと購入する。

何やら色々と調子に乗って買いすぎてしまった。どう使うのかも分からない物まで……まぁ良いか。

さてと……後は船着場に行き異国に行く船に乗れば良いのだな。ふふ何だか楽しみになって来た。
魔王様はこの楽しみも我らに教えたかったのかも知れないな。

メフィストは頬を緩め船着場へと歩いて行った。

「ここか?」

何と、海の上に見た事のない乗り物が浮かんでいる。が船か?

メフィストが船に近付こうとした時、何やら人の争うような声がする。
声のする方を見ると。

あれは……ほう獣人の子供か?
珍しいな、何を揉めておるのだ?メフィストは耳を澄まし話を盗み聞く。

「頼むよっジャバネイル王国に乗せて行ってよ!」
「お願いだよ!僕達ジャバネイル王国に帰りたいんだ」

「だめだ、ジャバネイル王国へは交易が中止になっていて、船で行っても街に降りられないんだよ」

「そんなっ……やっとお金が貯まったのにっ国に帰れる船がないなんて……」

獣人の子供達は膝から崩れる様に座り込んだ。

「すまねぇな?国が入国を認めてくれないんだ、俺達にはどうする事も出来ない」

そう言って男達は獣人に手を振り船へと戻って行った。

なんだ?今の話は……異国に行けないって事か?
ちょっと待ってくれ!楽しみにして船着場まで来たのにっ。

メフィストは座り込む獣人の子供達に、少しでも異国の話を聞こうと近寄る。

「もし?其方達は異国に行きたいのか?」

「異国?ああ……そうだ。国に帰るためにお金を必死に稼いで、やっと船代が出来たのに船が出ないんだってさっ」

やはり……船が出ないと言っている。

「船と言うのはあの海の上に浮かんでいる物がそうか?」

「んん?変な事聞く兄ちゃんだな。そうだよ、アレが船さ」

なるほど……あの船を奪って異国に行くと言う手もあるがはダメだ。魔王様との約束を破ってしまう。

ならと同じのを作るか……見た感じ簡単に作れそうだ。

「なぁお前達、もし船さえ手に入れたら異国に行けるか?」

「船が?そりゃ……手に入るなら任せてくれよ!僕達は漁師の仕事をしてたんだっ」

「分かった。なら私に任せて下さい。船はどうにかするので、私も異国に連れて行って下さい」

「はぁ?船を!?」

獣人の子供は何を言ってるんだ?と目を丸くしてメフィストを見た。

この獣人達との出会いがメフィストの今後の運命を大きく狂わせる事となる……。
メフィストは異国としか理解してなかったが、メフィストの行きたい国は倭の国、獣人達の行きたい国はジャバネイル国。
もう少し違う者達に話を聞けば、碇泊していた船は倭の国行きだと誰かが教えてくれたのに……。
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