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本編 燦聖教編
光の女神アグライア
しおりを挟むーーはぁやっと飲めるのねー♪ずっとどんな味なのか毎日想像してて……ティーゴ君たらぜんっぜん呼んでくれないしさぁ?
毎日待っ……ゲフンゲフン。んんっ。まぁたまたま私が一番近くに居たから降りて来れたんだけど。
女神ヘスティアはレインボーマスカッシュの酒瓶をウットリと抱きしめる。
「あっ……あのうヘスティア様?」
ーーなあにティーゴ君?私に何を聞きたいの?何でも聞いて。
「俺……そのう……」
自分にどんな用があるのかと期待の目でティーゴを見つめる女神ヘスティアに、別の女神アグライアに用があるから変わってくれとは中々言い出す事が出来ないティーゴ。
それを見たせっかちパールは、とうとう待てなくなり。
「ええい!ワシは其方に用はないのじゃ!女神アグライアに用があるから呼んで来てほしのじゃ」
ーーはっはぁぁ?私がせっかく来たのに、別の女神を呼べって言うの?
女神ヘスティアはキッっとパールを睨むと悲しそうにティーゴを見る。
「あっ……そのっヘスティア様にも、もちろん会いたかったよ!」
ティーゴは慌てフォローする。
ーー本当にぃ?
ヘスティアはジト目でティーゴを見る。
「もちろん!ただ今日はほら?このコンのご主人様であるアグライア様から話を聞きたいんだよ!」
ティーゴはコンを抱き上げヘスティアに見せる。
ーーああっ!その狐、アグライアが可愛がってた狐ね。甘やかし過ぎた所為で調子に乗って悪さばっかしてアグライアが困ってたわ。
『なっ!妾は調子になどのってない』
コンがティーゴの手の中でバタバタと暴れる。
「まぁコン落ちついて」
ティーゴはそっとコンを下に下ろすと。
「って訳だから、アグライア様を呼んで貰っでも良いか?」
ーーむう……まぁ?そう言う事なら良いけどぉ……このお酒に合う甘味も欲しいなぁ……?
チラッとティーゴを見るヘスティア。その目は甘味が欲しいと訴えている。
「あっじゃあ、このリコリパイとレインボーマスカッシュの蜜漬けをどうぞ」
ティーゴはアイテムボックスから出したリコリパイと蜜漬けを祭壇並べる。
すると直ぐに消え、甘味はヘスティアの手に。
ーーいや~ん!嬉しいっ。
(これは今すぐに試したいけど、創造神デミウルゴス様に見つかって没収されたら最悪だから今は我慢よ)
ーーちょっと待っててねー?すぐに呼んでくるからっ♪
ヘスティアはご機嫌でその場を去った。
バタバタバタバタバタバタバタバタッ
バタバタと足音を立ててヘスティアが何処かへに向い走って行く足音が聞こえる。
数分もすると……、
俺達の前に女神が降臨した。その姿は金色に輝く長い髪に琥珀色の瞳をした美しい女神様。
ーー私を呼んだのは……ああっ!其方はカスパールの魂!私の加護を要らぬと断った魂。ほう……現世は魔王に転生したか……ザマァみろ。ぷぷっ。
「なっ!何がザマァみろじゃこの駄女神!」
パールがその言葉を聞き怒って言い返す。
ーーへあっ?あれっ?思ってた事まで喋ってる?って言うか駄女神って何よっ失礼しちゃうわっ
アグライアはパールの言葉を聞きプリプリと怒る。
その姿を見たティーゴは思った。
ええ……女神様って皆こんな感じなのかと。
「アグライア様?このコン覚えてますよね?」
ティーゴはアグライアがパールとの喧嘩に夢中で、コンに全く気付いていないので、わざとコンを前に抱き上げ見せる。
ーー!!コンちゃんっやっと封印が解けたのねっ良かった……!
『アグライア様……妾はずっと会いたかったのじゃ……嫌われてても……ううっ』
アグライアを見たコンは瞳からポロポロと大粒の涙が流れ落ちる。
ーーコンちゃんゴメンね。こんなに長い間封印するつもりなかったのよ?ゴニョ…桁を間違えちゃって……その。
「えっ?何を間違えたの?」
最後の言葉をアグライアが濁し、良く聞き取れなかったティーゴは、聞き返す。
ーーだから、本の封印が解ける魔力量の桁を間違えちゃって……そんな魔力量をもつ人族なんか居ない事に後で気付いて……。一度作った設定は変えられないし、コンちゃんはこのまま永遠に本に封印されたままになるんじゃ?ってドキドキしてたんだから!
ほんっとティーゴ君には感謝してる。
アグライアはティーゴに頭を下げた。
……て事はこの女神が間違えた所為で、コンは永遠に封印されてたかも知れないって事だろ?
『えっじゃあアグライア様は妾の事が嫌いになって封印したんじゃ……』
ーーそんな訳ないじゃ無い!可愛いコンちゃんの事嫌いになんてならないよっ!大好き。
『妾はっ…妾は嫌われたんだと……ううっ』
ーー違う違うっ!人族に悪戯ばかりするから、コンちゃんに人族の事を深く知り、そして人族と仲良くなって貰いたかったの。
だから尻尾の封印は人族と一緒に解く様にしたのよ。
ただ……本の封印を解く魔力量の設定を間違えちゃって、今迄誰も封印を解く事が出来なかっただけで。コンちゃんをずっと本に封印したかったとかじないからね!
『…うんっ……うんっ』
コンは大きく頷きながら、必死に女神アグライアの話を聞いていた。
良かったなコンちゃん、嫌われてたんじゃなくて。
ティーゴは尻尾を抱きしめ俯いて泣きじゃくるコンの頭を優しく撫でた。
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