お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

闘い!?

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「あーーっ!お前なんて事してくれたんだよっ頭がチリチリじゃねーかっ!くそっ」

賢者レントと言う男は、今更自分の頭が凄い事になっているのに気付いたのかキーキー怒りだした。

「ギャハハッ なんだその頭! レントお前手を抜くからだぞ」
「そこまで弱いふりしなくても……ププッ」

近くの待機場所に立っていた、仲間の勇者達もバカにする様に笑っている。

何だこの状況は……真剣勝負じゃないのか? それとも俺が弱いってバカにされてるだけか?
どっちにしてもこの茶番劇は勘弁してくれと、賢者レントを呆れた顔で見ると。

「くっそー!Aランク魔法でビビらせてやろうと思ってたのにっ!詠唱に時間がかかる。これでもくらえ」

賢者レントは怒った勢いで、杖を振り回し魔法を放って来た。

《ファイガ》

「はははっ!お前も焼け焦げろ!」

高さ三メートルはある三つの大きな炎が、激しく渦を巻きティーゴに襲い掛かる。
ーーがそれを見たティーゴは逃もせずその場に留まっている。

その姿を見た外野の二人はバカにするように嘲笑う。

「アイツ見ろよ?ビビって動けないぞ。このレベルでビビってるとか。弱いのにイキがるから!ククッ笑えねー」

「後でちゃんと回復魔法をかけて貰うね。僕との闘いで君が弱ってたら、勇者の僕がイジメてるみたいに見えるからね」

だが俺はビビっている訳でもなく、別の意味で驚いていただけだ。

これがファイガ……?こんなにノロノロと飛んでるのが?
炎魔法が得意な一号の魔法を見てたせいか、凄い魔法なんだけど……はっきり言ってショボい。
一号なら十メートル以上の火柱が何十個も上がっていた。
それが三個って……しかもノロノロ迫って来てるし、こんなの余裕で交わせるよっ!
一号達の特訓に比べたらちょろすぎだ!

「ギャハハ!腰抜かして逃げる事もできねーのか?」

ビビってると勘違いしているレントが俺に向かって指をさし、楽しそうに煽ってくる。

お前……笑っていられるのも今のうちだからな?

《リフレク》

俺はレントの魔法を倍の力で弾き返した。

次の瞬間、二倍になった炎がレントに向かってさっきの倍の速度で飛んでいく。

「「「ええーーーーっ?!」」」

それを見た三人は目を丸くし、目の前の光景に理解が追い付かず驚き固まった。

いち早く正気に戻った聖剣のタケシが声をかける。

「レントっ!固まってないで何かしろ!やべーぞ!」

「へあっ?ひゃっ!?」

気付いた時にはもう手遅れだ。レントは炎の渦に巻き込まれた。

「ギャァァァァーーーっ!!」

迫り来る炎にレントは溜まらず舞台から飛び降りると、熱いと走り回る。

「熱っあついっ!たすっ…たしけてくれっあちいーっ」

ティーゴの返した炎魔法の威力が凄すぎて……周りにいた燦聖教の男達が水魔法でレントを燃やす炎を消そうとするも消えない。

「はぁ……っ」

俺は大きく溜息を吐いた後、炎を消した。

「……あっ?消えた?」

炎が消えホッとしたのか、?のレントは場外で呆けた顔をして座り込んでいた。

その姿は服が焼け焦げ素っ裸なのだが、本人はまだその事には気付いていない様だ。

俺は舞台の上でポカンと口を開けている審判の男の肩を、ポンポンと軽く叩いた。

「ねぇあれって場外だよね?勝負終わったけど?」

審判の男はやっと正気をとりもどし、レントと俺の姿を交互に見ると、俺の方を再び見た。

俺は審判と目が合いニコリと笑った。
審判は上擦る声を必死に出して俺の勝利宣言をした。

「……へっ?!あっあわっ!しょっ勝者ティーゴ!」

その瞬間シンッと静まり返った会場からは、絶叫と共に大ブーイングが巻き起こる。
皆賢者レントに賭けていたのだろう。

せっかく勝ったのに……なんか悔しい。

二階席を見回すと端で大はしゃぎのパールとスバルの姿が。そんなに喜んでるけど、パールもスバルもお金に興味なんて全くないだろ!

銀太は意味が分かってないのか俺に必死に手を振っていた。

可愛いなぁ銀太。癒されるよ。

この後もこんな闘いが続くのかと思うと俺はもう溜息しか出なかった。


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