お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

大賢者カスパールと弟子のグリモワール ②

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とりあえず自分の家に連れて帰ったカスパール、連れ帰ったものの子供の扱いはどうして良いのか分からず困惑していた。

むぅ……此奴らはこんなに痩せている。きっと腹が減っておるよなぁ?
じゃが子供は何を食べるんじゃ?ワシと同じで良いのか?

カスパールはソファに座らせた子供達をちらりと見る。
カスパールに見られ兄のグリモワールは緊張し、背筋がピンと伸びる。
その横で妹のカリンは、ソファですやすやと気持ちよさそうに寝ている。

「ええと……ぐり?ぐも?」
「グリモワールです。カスパールさん」
「ああそうじゃったな。グリル」
「グリモワール!」
「グリアール」
「グリモワール」
「……ややこしい!もっと簡単な愛称をワシが付けてやる!………ふむグリモ…リイモ…よし!其方の名前はリィモじゃ!」
「えっ……?僕に愛称をくれるの?リィモ……リィモ。ふふ嬉しい」

カスパールは自分が呼び易くするためにつけただけなのに、グリモワールは愛称が嬉しいのか。頬を染めニコニコと笑う。

「してリィモよ?なぜお主らはあんな場所におったのじゃ?」

カスパールに質問されリィモは俯いてしまう。

「んん?どうしたのじゃ?」

カスパールはそんなリィモを不思議に思い首を傾げる。

「あの……理由を言っても僕の事蹴ったりしない?」

リィモは少し怯えた表情をする。

「なっなぜこのカスパールが子供を蹴るのじゃ!意味がわからん」

「だって村の人達は、僕らの事忌み子だって言っていつも殴るんだ。お爺ちゃんが生きてくれた時はまだ守ってくれて何もされなかったんだけど、お爺ちゃんが死んでからは住んでいた家にやって来ては殴ったり蹴ったりするから……」

なっ忌み子じゃと?田舎の村では見目で忌み子と差別したり双子を差別すると聞いたことがあるが、あの辺境の村はそうじゃったか。
見目は普通の金色に輝く髪で普通じゃと思う。忌み子とされておる見目は黒髪に赤目と聞く。では双子?

「もしやお主らは双子か?」

「……はい。気持ち悪いですか」

リィモが今にも泣きそうな顔で返事をする。

「いや気持ち悪くない。お主が育った村では双子を忌み子と言っておったかもしれんがの? 双子は普通なんじゃよ。未だにそんな事を言う村があった事にワシは驚いておる」

「…………え? 僕達は普通なの? 気持ち悪い忌み子じゃないの?………ううっ」

カスパールの話を聞き、リィモが泣き出してしまった。
その姿を見て、余程村での扱いが酷かったのだろうとカスパールも眉を顰める。

「こんな小さな子供達に何て酷い扱いを………解せぬ」

よく見たら、痩せ細っているだけでなく至る所にアザがある。
新しいのから古い傷まで。
この傷は村人達にされたのか?こんな小さな子供達に?
なんたる事!

《リザレクト》

カスパールは高ランク回復魔法を子供達に放った。

「え?痛くない?ずっと痛かったのに」

リィモは怪我が突然全回復し驚き目を丸める。

次の瞬間。

グゥゥ~~~~~。

リィモの腹の音が盛大に鳴った。

「ぶはははっ。体が回復したら今度は腹が減ったか?正直な体じゃのう」

「へへ………」

リィモは恥ずかしさの余り、頬を真っ赤に染め照れ笑いをした。

「待っておれ、何か美味い飯を買ってこよう」

カスパールはそう言うと、どこかに転移し戻ってきた時には大量の食事をテーブルに並べたのだった。

「さぁ好きなだけ食べるのじゃ」

「こんなご馳走を?食べて良いの?カスパール!ありがとうございます!カリン!起きて!ご馳走だよ」

リィモは横で寝ているカリンの体を揺らして起こす。

「………うん?むにゃ」

この後二人は涙を流しながら幸せそうに食事を頬張るのだった。


後で、この子供達は自分が助けた辺境の村から逃げ出し、あんな場所にいた事を知り、更にカスパールは心を痛める。
そして国王の所にすぐさま転移し、この国の忌み子の偏見を無くせと詰め寄るのだった。







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