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2巻
2-1
しおりを挟むプロローグ
「……んん? もう朝か」
私は……夢を見ていたのか? 何やら懐かしいような夢であった。
「……っ!」
頭が痛い、最近たまに頭が疼くのだ。
はぁ……これもきっと、七色の卵の強奪に失敗したからだ!
あと少しで邪竜が生まれてくるはずだったのに、エルフに卵を奪い返され……はぁっ、楽しみにしておったというのに!
今度は卵が人族の手に渡っただと?
何故人族から卵を奪い返せぬのだ!
人族など虫ケラであろうに! 虫ケラごときに魔族が負けるなどあってはならぬ!
「……くっ」
ああっ、頭が痛い! イライラする!
「おいっ四天王を呼べ!」
「はい!」
私――魔王がそう言うと、そばに控えていた部下が慌てて四天王を呼びに行った。
四天王はただちに勢ぞろいすると、私の前に膝をつく。
「「「「魔王様、お呼びでしょうか?」」」」
「なに呑気な返事をしておるのだ! お前達、私を楽しませてくれるのではないのか? 私はつまらぬ毎日に飽き飽きしておる」
「ははっ! 魔王様を楽しませる余興なら、もちろん考えております!」
「そうですとも!」
「きっと満足してもらえると!」
「もう少しお待ちいただければ!」
四人は冷や汗を流しながら必死に弁明している。
「……ほう? 私を楽しませる余興があると?」
「「「「はいっ!」」」」
四天王達は床に頭を擦り付け、返事をした。
「では私は其方達に期待して良いのだな? 四天王――いや、バフォメット、ベリアル、ベルゼブブ、メフィストよ?」
「ああっ、このバフォメットめの名を呼んで頂けるなど、ありがたき幸せです! 私は必ず一番の余興をご用意いたします!」
「いや! このベリアルめが!」
「何を言う! この私! ベルゼブブこそが!」
「私! メフィストめにお任せください」
四天王達が我先にとアピールしてくる。
その必死さがどうにもおかしく、私の苛立ちが少し晴れた。
「ははははっ、なら楽しみに待ってやろう。一番の余興をした者は、私の真の側近にしてやろう」
「「「「ははっ! ありがたき幸せ」」」」
四天王達は深く頭を垂れると、私の部屋を後にした。
1 暁トンネル
「ん……んん……ふぁーあ」
朝日が眩しい。もう朝か……?
モフッ……!
俺――ティーゴは、柔らかいフェンリル――銀太の腹毛に顔を埋めた。今日の銀太布団も最高だな。ふわふわで気持ちいい。
ふと自分の腹を見ると、グリフォンのスバルがスヤスヤと気持ち良さそうに寝ている。
そして両脇には黒犬が三匹、ピッタリくっついていた。それぞれ一号、二号、三号という名の、ケルベロスが分離した姿である。
みんなで寄り添っているから、外で寝てるのに汗ばむくらいだ。
俺はシシカ村で育った魔物使い。故郷の仲間と冒険者パーティを組んでいたけれど、どんな魔物も使役出来ない俺は、雑用係としてこき使われていた。
そんなドン底の俺に、大きな転機が訪れた。銀太との出会いだ。
ランクがSSSな上に聖獣でもあるフェンリルが、なんと初めての『使い獣』となったんだ!
銀太を使役したことによって、俺には「Sランク以上の魔物や魔獣しか使役出来ない」という変な縛りがあったことが判明した。今でも理由はよく分からない。
こうして底辺を脱出した俺は、最低パーティとも決別し、自由気ままな旅を始めた。その中でスバルや一号達に出会い、結構な大所帯となっている。
スバルと一号達は、教科書にも載っている偉人・大賢者カスパール様に仕えていたって言うし……話のスケールが大き過ぎて、しょっちゅう俺は困惑してしまう。
でも、俺の作った料理を喜んで食べてくれるコイツ等の顔を見てると、振り回されるのも悪くないかな、って思うんだ。
みんな、これからもよろしくな!
「ん~~!」
俺は両手を上げ思いっきり背伸びをすると、スバルを銀太の腹の上にそっと置いた。
さぁコイツ等が寝てる間に、朝ご飯作っとくか!
何を作ろうか……? 昨日銀太達が獲ってきた、あの美味いワイバーンの肉を使いたいなぁ。
よし! パンを焼いて肉を挟む、肉サンドにしよう!
早速土魔法でパンを焼く窯を作って、と。本当に魔法は便利だ。一瞬で綺麗な土窯が出来るんだから。
調理台の上でパン生地をコネて形を整えたら、生地をしばらく寝かせて……と、その間に挟む肉の準備だ。あとスープも作ろう。
ジュワ~……。
肉を焼いていると、いい匂いが漂い始める。
『……ゴクッ。むぅ……?』
『……ふぁ……?』
肉の焼ける匂いで、食いしん坊の聖獣達が目を覚ましてきた! 急ピッチで仕上げるぞ! アイツ等が目を覚ましたら……。
『主~お腹すいた……!』
って言うからな……ん?
『主おはよー!』
食いしん坊銀太がもう起きてきた!
『おはよーティーゴ! 美味そうな匂いしてるじゃねーか!』
おっ? スバルまで。ヤバイぞー、急いで完成させないと、お腹すいたってうるさいからな。
後は寝かせてたパン生地を、形を整えて焼くだけだ!
パンを特製窯に入れて焼く間に、スープの仕上げの味付けをしてっと。
『おはよーティーゴ!』
『ふぁぁ……おはよ!』
『おはよう』
黒犬姿の一号達が、短い尻尾をプリプリさせながら走って来た!
「おはよう!」
俺は一号、二号、三号達の頭を撫でてやる。はぁ、可愛いなぁ……この姿だと癒される。三匹は普段人族の姿に化けていて、そっちは綺麗なお姉さんなんだ。
『主~我も!』
モフッ! 一号達を撫でていたら銀太が俺の脇から頭を入れて来た!
くぅ……! たまらなくなって、銀太の頭も撫でてやる。
ん……?
スバルが俺の肩に止まって、モジモジしていた。
『……俺の羽根もふわふわだぞ!』
「プッ!」
思わず噴き出した。
何だ、スバルも撫でて欲しいのか!
お望み通り、頭をめいっぱい撫でてやる。スバルは気持ち良さそうに目を細めた。
はぁ……聖獣達が朝から可愛過ぎる。
そうしているうちに、辺りにパンの焼ける香ばしい香りが漂う。
『いい匂いがするのだ』
銀太が鼻をスンスンさせて、ウットリと匂いを嗅いでいる。
早速窯を開けてみると、パンがいい具合に焼けていた。
このパンに焼いたワイバーンの肉をのせて、葉野菜も一緒に入れて、その上から俺特製ソースをかけて、別のパンで挟む。
よし、完成だ! ドンドン挟むぞー!
シャクッ! と気持ちのいい音を立てながら、早速聖獣達が頬張る。
『美味いのだ! このサンド!』
『ワイバーンの肉がサッパリしてるから、何個でも食べられるな!』
銀太とスバルは肉サンドが気に入ったみたいだな。
『本当美味しいわ! 肉サンドって言うの? 初めて食べたけどクセになりそうね』
『ああ……肉汁とこのソースがベストマッチっす』
『美味いな! 何個でも食べられそうだ!』
一号達三匹も気に入ったみたいだな! よしっ、ジャンジャン作るぞー!
『『『『『おかわり』』』』』
「はいよー!」
肉サンドを食べ終えた聖獣達がのんびりと過ごしている。
俺はそれを眺めながら、一息ついた。
ふぅーっ。よく食べた……! 肉サンド、美味かったな。また作ろう。
しかし……アイツ等の食欲は底なしだな。
すると、足元に卵が転がって来た。この卵は、旅の途中に遭遇した事件で、魔族に追われていたエルフから預かったものだ。
なんでも聖龍の卵らしく、卵の時期に与えられた影響によって、善にも悪にも変わるという。はじめはエルフ達の元で育てられていたが、ある時、魔族に奪われた。そして彼等によって穢され、邪竜になる可能性が高まってしまった。
それを何とか取り返したエルフが、俺達に預けたのだ。もし邪竜が生まれたとしても、聖獣達なら殺すことが出来るだろうから、と。
この卵、どうやら意思のようなものがあるらしく、自分で動くことがある。俺の足元に転がって来たのも、きっと偶然じゃない。たまに、言葉を理解してるんじゃないかとすら思う。
「お前も肉サンド食べたいのか?」
卵がプルプルと反応する。
「やっぱりお前、話が分かるのか?」
またプルプルと震える。
凄い。まだ生まれてもいないのに……! さすが聖龍の卵だな。
俺は卵をヨシヨシと撫でた。すると嬉しそうにプルプルと震える。
「生まれてきたら、一緒に食べような」
卵をリュックに入れて……出発の準備だ!
昨日ゆっくりした分、今日は先に進みたいな。
「よし行くか!」
俺達は次の目的地――港町ニューバウンを目指し、再び街道を歩いて行く。
たまにすれ違う人達にビックリされるが、可愛いモフモフ達をウットリ見ている人の方が多い気がする。みんな、旅の癒しに飢えてるな。
『ティーゴの旦那! トンネルの手前で何かあったみたいだぞ!』
空を飛んでいたスバルが教えてくれる。
「何⁉ 急いで行ってみるか!」
『分かったのだ!』
俺達は走ってトンネルへ向かった。
「何だこれ……ひどいな」
たどり着いた先で俺達が目にしたのは、トンネルの入り口があったであろう場所に、土砂や岩が雪崩れ落ちている光景だった。そのせいで入り口が埋まっている。
その周りでは、身なりのいい大人達が必死に土砂を掻き分けていた。
「あの……? すみません。何があったんですか?」
「……えっ? わっハワワワッ! フェッフフッ! フェンリル⁉」
銀太を見て、大人達はパニックに陥った。
俺はみんなを安心させようと、銀太を抱きしめたりして〝怖くないアピール〟をし、彼等もなんとか話が出来るぐらいに落ち着いてくれた。
「何があったんですか?」
「それが……このトンネルを通る直前に、魔族が現れてトンネルの入り口を壊していったんです」
また魔族……何がしたいんだ?
卵を助けた時もそうだけど、俺達の行く先々に魔族が現れ、他種族の暮らしを脅かしている。
そういえば、新たな魔王が誕生したから、そいつを喜ばせるとかなんとか言ってたな。この先でまた、ルクセンベルクの街みたいに、たくさんの人が傷つくようなことが起きたら嫌だな。
男の人が険しい顔で言う。
「私共の馬車がトンネルの中にありまして、その馬車の中にお嬢様が居て……ああっ! お嬢様……うっうう」
「何だって⁉」
トンネルの中に女の子が?
「私共はトンネルに入る前に馬車から振り落とされ、運良く外に。しかしお嬢様だけが馬車に取り残され、馬車と共にトンネルの中へ……」
「魔法を使ってこの土砂を崩そうとも考えたんですが……お嬢様が入り口近くにまだ残っていたら、当たってしまいかねません。我々はどうすることも出来ず、土を掘っておりました」
そうか……トンネルの何処にお嬢様が居るか分からないなら、無闇に強い魔法は使えないな……ん? いや、魔法でいけるぞ!
「すみません! 俺にいい考えが浮かんだんで、ちょっとこの場所から離れてもらえますか?」
俺は召使いの人達に離れた場所に移動してもらう。
全員が距離を取ったのを見計らって、俺はトンネルと向かい合った。
『主~何をするのだ?』
「んん? 見てろよ?」
俺はそう言うと、土魔法を発動した。トンネルを覆っていた土や石を移動させる。するとトンネルの入り口が見えてきた。
「一気にどかすよ!」
十数秒後、トンネルの入り口の土砂は全てなくなった。
「ふうう~! 上手くいって良かった……」
『ティーゴの旦那、やるじゃねーか! 上手く土魔法が使えるようになったな! いつ練習したんだ?』
ふふっ、スバルが俺の魔法の上達ぶりにビックリしてる。
これはな! 毎日ご飯用の窯を土魔法で作ってた成果だよ。
召使いの人達が一斉に頭を下げた。
「「「「ありがとうございます!」」」」
みんな、ドタドタとトンネルの中に入っていく。程なくして、お嬢様の乗る馬車は見つかった。
召使いの一人が俺に改めて礼を言ってくる。
「おかげでお嬢様をすぐに助けることが出来ました。本当にありがとうございます」
「いえいえ大したことしてませんから、お気になさらず」
話を聞いてみると、この人達はみんなアステリア辺境伯の召使いで、お嬢様を連れて辺境伯領に帰るところだったみたい。
辺境伯って……凄い貴族様だよな?
無作法なことして不敬罪! とかにならない内にさっさとこの場を立ち去ろう。
「貴方が私を助けてくれましたの?」
すると目の前に、水色の髪をした十歳くらいの小さな女の子が立っていた。
「私はルティアナ・アステリアと申します。領地に帰る途中、このようなことになり、困っておりました。本当にありがとうございます」
小さな女の子は深々とお辞儀をする。
「っ、いやいや大したことしてないから! 俺はティーゴ。魔物使いだ、よろしくなルティアナ。あっ……っと! 貴族のお嬢様相手に呼び捨てはダメだな。えっと、なんて呼べば……?」
そんな俺を見て彼女は少し悪戯な顔で笑うと、「ルティアナで大丈夫ですわ!」と挨拶してくれた。
それから銀太達をじっと見つめている。怖いのかな?
そう思ったが、意外にも彼女は目を輝かせた。
「ティーゴ様は素晴らしい魔物使いなんですね! 使い獣の皆様がキラキラ輝いていて、とても幸せそうです」
そりゃあもう毎日ブラッシングしてますから! 銀太達が褒められるのは嬉しいな。
「ありがとな!」
そう言って、思わず俺はルティアナの頭をクシャリと撫でた。
「ハワワワッ……!」
ルティアナは真っ赤な顔でプルプルと震えている。
あっ、しまった。つい妹のリムにしてるみたいにしちまった!
困ったな……怒らせちゃった?
「あの……ルティアナ? 急に頭撫でたりして嫌だったよな。ごめんな……? 俺、田舎者で作法とか全く知らなくて……ルティアナ?」
「あわっ……⁉ ちっちがっ嫌じゃありませんわっ! むしろもっと撫でて欲しっゲフンゲフンッ」
何故かルティアナは、真っ赤になったり真っ青になったりしている……面白いな。
「ゴホンッ。失礼しました! ティーゴ様はこの後どうされますの?」
「俺はこの後、トンネルを通った先にある港町ニューバウンに行く予定だよ!」
「まぁ! ニューバウンですか! 私の領地の街ですわ。ニューバウンに着いたらぜひ、私の家に遊びに来てください! 絶対にですよ?」
そう言ってルティアナは、俺に高そうな髪飾りを渡して来た。
「これはアステリア領の紋章が入った髪飾りですの。次に会う時まで預けておきますわね! 絶対に返しに来てくださいね? お待ちしてますわ!」
髪飾りを俺に握らせたまま、ルティアナは馬車へと走っていった。
「あっ! ちょっ⁉」
いつの間にか馬車は準備が整っており、彼女が乗り込むとすぐに走り出した。
はぁ、行っちゃったか……。どーすんだよ、こんな高価な髪飾り。返しに行かないとダメだよな? 俺はそれをなくさないよう、アイテムボックスに急いでしまった。
面倒なことになったけど……まぁいいか。深く考えないようにしよう。
トンネルを通ろうと前を見ると、ふとあることを思いつく。
俺は土砂で汚れたトンネルの入り口を綺麗にすることにした。
水魔法の練習にもなるからな。
『おー、いい感じだよ! そうそう魔力を調節して』
スバルはカスパール様に魔法を教えてもらっただけあって、魔法を教えるのが上手い。
フンスッ! と鼻息の音がした。
『仕上げに浄化もしとくか? 主、浄化魔法の練習だ!』
ひえーーっ! 銀太まで参加してきた。
『聖魔法なら私も得意よ?』
三号まで⁉ 俺の周りには魔法の先生がいっぱいです……。
スバルは褒めてくれたけど、浄化魔法は中々難しかった……。でもスパルタ先生達のおかげで、どうにか使えるようになった。
「……ふうっ」
水魔法で綺麗にしてみたら、壊れたと思っていたトンネルの入り口は無傷で、どこも欠けていなかった。入り口にトンネルの名前が書いてある。
【暁トンネル】。
学校で習ったことがある。ニューバウンへの道中に長いトンネルが出来たことによって、人や物の行き来が増え、ヴァンシュタイン王国がどのように潤ったのかを。名前までは知らなかったけど、暁トンネルって言うのか。
待てよ、暁⁉ 暁って、一号の持つもう一つの名前と同じだよな。
まさか……⁉
「この暁トンネルを作ったのはさ? もしかして……?」
『カスパール様だよ!』
スバルが自慢げに答えてくれる。
やっぱり……!
カスパール様はどれだけ国に貢献してるんだ? ルクセンベルクにもスバルの名を冠した橋を作っていたし、スバル達の元主は本当に凄いな……!
「じゃあ暁トンネルを通るか!」
この暁トンネルは、この国一番の長さを誇るトンネルで、全長が何と約一万メートルもあるらしい。中を歩いていると、長いトンネルのはずなのにキラキラと明るい。
どんな仕組みなんだろう……?
『我はトンネルというのを初めて通るが、中々キラキラして綺麗だの』
「俺もそう思ってたところだよ! 綺麗なトンネルだな」
銀太と俺が感心していると、スバルが胸を張った。
『このキラキラした光は、カスパール様のこだわりだからな! 一番これに時間をかけてたな』
ブッッ! ……カスパール様。
キラキラにこだわるとか、大賢者様のイメージがスバル達によってドンドン崩れていく……。
きっと面白い人だったんだろうな。会ってみたかったな。
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