お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

謎の貴族?少女を助ける?

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「えっと………? あれ?」

 俺は襲われてる人を助けに来たはずなんだけど……明らかに風貌の悪い奴らは全員地面に這いつくばって唸っている。
 そしてその近くには、明らかに関わったらいけない匂いがプンプンする、この村に物凄く不釣り合いな、明らかに貴族であろう女の子が立ってるし……。

 これって……どうしよう。

「なぁ銀太? 本当にこの場所なのか?」

俺は不安げに銀太を見る。

『そうじゃ! 我にはあの男達の悲鳴が聞こえた! そこにおる女子おなごに襲われておったのだ! フンスッ』

ちょーーっ!? 銀太? 何だって? この男達﹅﹅が襲われてたほうだと? このか弱そうな女の子にか? 嘘だろ。

「……ゴクッ」

一気に変な汗が流れ出る。

絶対に関わってはいけないって……ヤバイ匂いがプンプンする。

でも来ちゃったしな……。

俺はチラリと女の子の方を見ると、視線があってしまった。
女の子は少し困った様な顔をして俺を見て微笑んだ。

……うーん。
極悪人って感じじゃないよな?

どうしようか?

……そうだな。話を聞いてから、その場を立ち去ろう。

 何て考えてたら、女の子の方から話しかけて来た。

「あの……すみません。教えて欲しいんですが、この村は何という村でしょうか?」

「えっ? 村の名前? この村はグテ村だよ」

「……グテ村……?」

女の子は、村の名前を呟くと黙り込んでしまった。

「あのっ……それより、何があったのか教えてくれないか? この男達の事も気になるし……」

「あっ! そっ……そうですよね。ええと私は……ソフィア・グレイドルと言います」

そう言って女の子は、見た事もない綺麗な所作で挨拶をしてくれた。

「あっ……おっ俺はティーゴだっです。宜しくなっ……です」

うわっ! やはり貴族だ! 家名がある。

「ププッ! 敬語はいいですよ。話しやすい話し方で!」

「そっ……そうか? それは助かるよ。敬語は苦手で……ははっ」

俺は少し苦笑いをする。

「ええと……ティーゴ様。実は私この場所が何処か分からないんです。元いた場所からいきなりこの村の近くに移動してて……それで、この村を見つけたので誰かに話を聞こうかと思っていたら。この人達に無理矢理この場所に連れ去られて……ちょっと…抵抗したら…こんな事に。えへへ」

「おいおい! ちょっと待ってくれ! 入ってくる情報が多すぎる! とりあえずソフィアは襲われそうだったんだよね? コイツらに」

俺はそう言って男達を見る。

「……ぐっ!ちょっちょっとじゃねぇ! あの女は悪魔だっ!」
「ヒィャァァァァァ!」
「怖い怖い怖い……」

ええ……何この反応。
……絶対ちょっとじゃないよね? 三号を見る時の、悪人達の姿と重なる。

「早くっ! 俺達を捕まえてくれっ!」

男は俺に捕まえてくれと、足元に縋って来た。
屈強な体をした男達がブルブルと震えながら……大きな体を丸めて。
一体なにをしたらこんな事になるんだよ?

俺はソフィアをジト目で見る。

「えっ? ええー? ちょっとだよね?」

まぁ……悪い奴じゃないんだよな? 良かった。ソフィアが男達を好き勝手に襲ったとかじゃなくて。
とりあえず俺は男達を捕縛魔法で縛った。
男達は縛れたのに、何故かホッとしていた。

それよりもだ! ソフィアは急にこの場所へ移動したと言っていた。
これはもしかして……知らずに転移したのか?
自分が転移魔法を使用した事に気付いてないとか?

だとしたら、俺では難しい案件になってきた。
パール大先生の出番だな。

「あのさ……急に移動したとか言ってただろ?」
「はい!」
「俺の仲間に物知りな奴がいるんだよ。そいつの所に行ってその話を相談してみないか? 俺にはちょっと分からないからな」

「物知りな方が? 是非是非お願いします! ありがとうございます」

ソフィアはぺこりと大きく頭を下げた。


★   ★   ★


俺はソフィアを連れて、パール達がいる広場に歩いて行く。
何気ない世間話をしながら。
よく考えたら年が近い子と話すのは、久しぶりだな。

「そうですか、この可愛い子はフェンリルですか! ふわふわの美しい毛並みですね」

『ふふふっ! そうなのだ! 我の毛並みはいつも主がブラッシングしてくれるからの? フンス』

銀太は褒められて嬉しいのか、しっぽブンブンが止まらない。このままだと回転しかねない勢いだ。

『特別に我の毛並みを触ってもいいのだ!』
「わぁ! ありがとう銀太ちゃん」
『なっ! 妾だって尻尾がふわふわで触ると気持ち良いのじゃ』

銀太ばかり誉められ羨ましいのか、コンちゃんまで尻尾をアピールしだした。

「ふふっコンちゃん。ありがとうふわふわね」


クスクスッ
銀太がこんなに直ぐに懐くなんて珍しいな。コンちゃんもだけど。

「怖くないの? フェンリルなのに」
「はい! 私もフェンリルのお友達がいるので! まだ小さな子供ですがリルって名前で可愛いんですよ」

そうか、ソフィアはテイマーなのか。しかもフェンリルをテイムしていたのか! だから銀太が怖くないんだな。

「そうなんだ! ソフィアもテイマーなんだな! 初めて出会ったよ。同じフェンリルをテイムしてる人」
「テイマー? 何ですかそれは? 私はリルと契約してるんです」

んんん? えっ? 契約? 分からない……貴族の間ではテイムの事を契約というのか?
もしかしたら貴族の間では、テイマーなんて言い方しないのかもな。

「じゃあソフィアのジョブはなんて言うんだ?」

「ジョブ……? とは?」

ソフィアは頬に人差し指をあてて首をかしげる。

「ええっ?」

ジョブから呼び方が違うの? じゃあ何て聞いたらいいのか分からないよ。

などと考えてたら、パール達がいる広場まで戻って来たらしく、スバルが俺を見つけて慌てて飛んできた。

『ティーゴの旦那! 大丈夫なのか?』

 スバルが少し動揺している。何も言わずに場所を離れたから、心配かけたのかな。

「大丈夫だよ! 急に居なくなって心配かけてゴメンな?」

『なっ? 違うよ! 俺が聞いてるのはその横にいる女の事だよ』

「えっ? なんで?」

『そいつ化け物並みの魔力持ちだぜ? ティーゴの旦那より上かもな』

 ええ? 魔力が俺よりも? 俺はこの魔力のせいで人じゃなくなったんだぞ? 
 
 それより上って……ゴクッ!

 思わず銀太を撫でているソフィアを見る。

『スバル、心配せずとも大丈夫じゃ此奴は良い奴なのだ。よしよしも気持ち良いのだ』

 銀太がしっぽをぷりぷりと揺らしソフィアの手に顔を擦り寄せる。

『そっそうなのか? まぁ? 銀太がそう言うなら……大丈夫か?』

 そう言うとスバルは銀太の背中まで飛んで行き、ソフィアに頭を撫でて貰っている。

 いやいやスバル! もういいの?
 俺はお前の発言のせいで、急に不安になって来たんだけど?

「ティーゴよ! どこに行っておったんじゃ?」

 パールがスバルに続いて歩いて来た。
 その後からはカリンとグリモワールがついてきている。

「いや……色々あってな?」

「色々とは?……何…ん?」

 パールはソフィアに気付いたらしく、じっと見つめる。

「なんと……アレは渡り人わたりびとか!」

 パールがソフィアを見て渡り人﹅﹅﹅と言った。なんだ? 渡り人って?


★   ★  ★


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