265 / 314
本編 浮島編
やっぱりこうなる
しおりを挟むハクとロウは広場の踊り場で、楽しそうにいつものダンスを陽気に踊っている。
そして不思議な足の動きで歩き、俺の前にやってきた。
『スバルが言ってたジャイ、花火が上がってるって!』
『そうコブ! スバルが見た島には、キラキラと何かが打ち上がっていたって言ってたコブ』
『そうジャイ! 我らはそれを聞いてピーンっときたジャイ。祭りジャイ』
ジャイジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪
再び陽気に踊りだすハクとロウ。
はぁ。誤情報はスバルか……どうせややこしい言い方をして、誤解を招いたんだろう。
それに打ち上がってたって? 何がだ? もしかしてそれって大砲とかじゃないのか? なら急いで向かわないと。鳥人たちの事が心配だ。
取り敢えずハクとロウの誤解を解かないと。
「ハク! ロウ? あのな? お祭りじゃないんだよ」
『ええ! そうジャイ? なら主様は今から何をするジャイ?』
『そうコブよ?』
「今からな? 戦ってる鳥人達を助けに行くんだよ」
『『助けに?』』
「そうなんだ。二百からなる魔導兵器が、この浮島を乗っとるために攻めこんで来ていて、もう既に五つの内一つが奪われている」
俺が説明すると、ハクとロウはニヤリと笑い。
『ほう……二百ジャイ? なら我らの出番ジャイね?』
『くくくっジャイコブ部隊の出番コブ』
『主様! 我らに任せるジャイ』
ジャイジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪
『さぁ! みんなを呼んで来るジャイ』
ハクとロウは破竹の勢いで船に戻って行った。
「おい……」
「くくっまぁ良いではないか。ジャイコブ達に頑張って貰おうじゃないか」
パールはジャイコブ達を見てニヤリと笑う。その顔は何か企んでる顔だよな?
「さぁ! ワシらも船に戻って直ぐに出発じゃ」
「出発って? まさか船で飛んで行くのかよ?」
「もちろんじゃ! さぁ行くぞ」
★★★
敵side
奪われた浮島
それは浮島にある唯一の水の島。
生きる要の島が、魔導兵器をつれた人族に奪われてしまった。
この二百からなる魔導兵器軍を率いてやってきたのは、【魔導国家レミアール】の騎士団長ドノーキンだ。
浮島フロッティを偶然発見し、略奪しに来た。この島を国王に献上し功績を上げるために。
「ドノーキン団長! 魔導兵士が二百五十集まりました」
「そうか思っていたよりも早く集まったな……」
「この浮島を取り戻そうと、再び攻めてきていた鳥人達も全て制圧しました」
「殺してないだろうな?」
「もちろんです!生け捕りにしております」
くくっ……めったにお目見え出来ない鳥人族だからな。きっと高く売れるだろうな。まさか本当に実在するとは思っていなかったが、くくっ良い儲けになりそうだぜ。
馬鹿な貴族達が挙って欲しがるだろうな。なんせ鳥人族はみな見目麗しい。一番美しい奴は俺の側に置いてやっても良いかもな。くくっ。
騎士団長ドノーキンは厭らしく舌舐りをし笑った。
「部隊も揃った事だし! 王城がある島に向かうか! 鷹の王さえ捕らえることが出来れば、この戦いも終わりだ! 皆最後まで気を抜かずに戦うんだぞ!」
ドノーキンは皆を鼓舞するように声を荒らげる。
そんな時だった……空に不気味な船が現れたのは。
「ドノーキン団長! 空に船が現れました!」
「はぁ? 船が空を飛ぶ訳がないだろう?」
「でっですが! 実際上空に!」
「はぁ?」
余りにも部下が執拗に言うので、そんな訳ないだろうと思いながらも、ドノーキンは空を見上げた。
「はっはぁぁぁぁぁ!? 本当に船が空を飛んでいる!」
うそだろ?
あんなにも大きな船を浮かせる事が出来るのか? 我が国最高峰の魔導技術を使っても、精々二人が乗れる乗り物を、作れるのが精一杯だと言うのに……あのデカさは……船に乗っているのは何者なんだ?
「「「「「「「ぎゃあああああああああ」」」」」」」」
部下達が突然叫びだした。なんだ?
ふと上を見上げると、大量のジャイコブウルフ達が船から飛び降りて来ている。
「はぁぁぁぁぁ!?」
ちょっちょっと待ってくれ! 俺は今白昼夢を見てるんだろうか? なら頼むから覚めてくれ! 有り得ないだろう。あの魔獣はSやAランクなんだぞ! それがあんな……えっ? ずっと降ってきてるんだが?
「ちょっと待ってくれ! 一体何匹あの船に乗ってんだよ!」
250
あなたにおすすめの小説
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。