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本編 浮島編
到着
しおりを挟む「パール? どんな感じだ」
後どれほどで魔導国家レミアールに着くのか? 順調に向かってるのかな? と操縦室に様子を伺いに来た。
「わっ!?」
操縦室の扉を開け目に入って来たのは、ドノーキンが逆立ちしながら腕立てをしている姿。
「くうっ……百っ」
「後百回じゃ!」
「そっそんなっ……」
「パール? 何してるんだよ?」
「……んん? ティーゴか。いやのう、コヤツが足を滑らせての? 操縦室の壁に傷を付けたんでお仕置をしとるんじゃ!」
パールが傷だと言っているが、尻尾で指すその場所を見ると、凄く小さく良く見ないと全く分からないような小傷が入っていた。
これ……完全に暇つぶしだろう? 遊んでるなパールの奴。
「まぁ丁度良かった。前を見てみい。海上に浮かぶ人工的な島が見えるじゃろ」
「えっ!? もう着いたのか? まだ三十分も経ってないぞ?」
そんなにも早く着くなんて……! だが眼下には島と言っていいのか分からないが、不気味で禍々しい何かが浮かんでいる。
まるで島全体が魔導具のよう。全てが人工的に作られているのが分かる。こんな国があったなんて、ヴァンシュタイン王国のみんなは知らないんじゃないか?
「パール? どうやってレミアールに行くつもりだ?」
「んん? もちろん強行突破じゃよ。結界を張っておるがあんなもんチョチョイのチョイじゃ」
んん? ええと、パールさん? なんて言ったんだ? 俺には強行突破って聞こえたんだが? まさかいきなり王城に乗り込む気か!?
「パールお前っもしかして王城に乗り込む気じゃ」
「そうじゃ? 親玉に悪させんように注意するのが早いじゃろう?」
「……そりゃそうだけど」
お前本当に注意だけか? なんだろうこの胸がザワザワするのは。
「さぁ! 結界を解くのじゃティーゴよ」
「へっ? おっ俺!?」
「そうじゃ他に誰がおると言うんじゃ?」
「そうだけど……俺にあんな大きな島全体を包んでいる結界を解く事が出来るのか?」
「ワシの見立てじゃと簡単じゃ。ティーゴよ? 結界が見えるじゃろう?」
「ああ」
「それに触れ結界よ消えろとお主が思えば消えると思うんじゃよなぁ」
じゃよなぁって事は想像でもの言ってないか? あくまで仮定だよな? それって……
「まぁモノは試しじゃよ? スバルかキラの背中に乗せて貰って解いて来てくれんか?」
それって俺で色々と試してみたいのが分かったぞ。どうせ断った所で無理なのは分かってるからな。
「……はぁ分かったよ。やります、やりゃいいんだろ」
「楽しみにしとるからの?」
操縦室を出て、甲板に行くと丁度キラが出て来ていて、外の景色を楽しそうに見ていた。
「キラ! 丁度良かった」
『あ゛ティーゴ! オデ…景色みてた…海…綺麗』
キラの所に走って行くと、ニコニコと嬉しそう笑う。ジュエルドラゴンという皆が恐れるドラゴンの最強種なのに、何故かホッコリして癒される。
「キラに頼みがあるんだけど良いか?」
『ん? なんでも…言って? オデ…ティーゴ大好き…頼み…ききたい』
「そうか、ありがとうな。キラ」
余りにも嬉しい事を言ってくれるので思わずキラに抱きついてしまう。思いの外、冷たくてすべすべで気持ちがいいな。
なんだか直ぐに離れ難くなり、キラをそのまま抱きしめながら、パールに言われた事を説明した。
『分かった…あそこに…飛んだら…いい…任せて』
「頼んだぞキラ」
キラの背中に乗り、結果が張ってある場所まで飛んで来たんだが、本当に俺が触れて願うだけで、結界を解く事が出来るのか?
でもパールは出来るって言っていたしな。
ええい、ものは試しだ。
「よしっ!」
ええと結界に触れて、ん? 少しだけピリッとするか? まぁ問題ないな。あとは強く願うんだよな。結界よ全て無くなれ消えろ!
キィィィィィィンッ!
バリバリバリバリバリバリ!
耳を劈く轟音がしたと思ったら……すぐさま結界は消え去り、その装置まで爆破してしまった。
至る所で煙が上がっている。
「あっあれ?」
これってやり過ぎってやつじゃ。
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