291 / 314
本編 浮島編
謎の魔導具
しおりを挟む「これは……思ってたより多いな」
「小さな国じゃのに意外とおるのう」
屋上庭園には、ジャイコブウルフ達が連れて来たレミアール王国の人達で埋め尽くされ、人で犇めきあっていた。
こんなにも人がいるにもかかわらず、誰一人として騒ぐ者はいなかった。
なぜなら統率されたジャイコブウルフ達が、魔道兵士に乗り宙に浮き周りを囲っている。そんなジャイコブウルフ達に見張られ怯えきっているんだ。
「まずは一番多い兵士たちをどうにかするかのう」
「でもさパール、兵士たちにも戦いたく無かった人もいただろうし。そんな人たちまで罰を与えるのはおかしいだろ? これをさぁ、どう分ける?」
「確かに……人質をとられ従わされていた者もいたと、さっきの研究者たちの話で分かったしのう……ふむ」
パールは長く伸びた顎髭をゆっくりと触り、何やら難しい顔をして考えている。こんな時のパールは突拍子もない事を言い出す事が多いんだが……今回はどうなんだろう?
「……あれをこうして……ふむ。それであーしてじゃ……おおっ!」
パールがどうやら何かを閃いたようだ。
「良い案が思いついたのか?」
「ふふふ……ワシを誰じゃと思うておる!」
「偉大なる大賢者様、カスパール様ですよ」
「こりゃ茶化すでない、これなら完璧じゃ! ちょっと待っておれ! テンサを連れて来る」
「えっ!? ちょっ!? パール!?」
パールが突然消えた、もしかすると研究室にいるテンサの所に行ったのか!?
数分もすると、テンサを連れたパールが戻って来た。
「ちょっとパール説明してくれよ! なんでテンサをまた連れて来たんだ?」
「むう? 一緒に作って貰う魔導具があるからじゃ! ティーゴはオーちゃんを呼んで来てくれっ」
「ええ!? オーちゃん? なんで急に?」
「つべこべ言う間があったらさっさと行けい!」
「分かったよ! オーちゃん呼んできたら良いんだな?」
そう言ったがパールからの返事はなく。
パールはテンサと何かを夢中で紙に書いている。
……とりあえず俺は、オーちゃんを連れて来たら良いんだな。
俺は船に出しっぱなしにしていた異空間の扉まで走り、オーちゃんを呼びに行った。
「パール! オーちゃんを連れて来たぞ!」
「おおっ! オーちゃん待っておった。はよう手伝ってくれ」
「はいっ! 分かりました」
パールはオーちゃんを見るや手伝えと急かす、もう既に短時間で何だか分からない物体が出来上がっている。おいおいパールこれは一体何を作ろうとしてるんだ?
「よっし完成じゃ!」
オーちゃんも一緒に混ざり何やら得体の知れない物が完成した。
「パールこれは一体……なんだ?」
「ふふふ良くぞ聞いてくれた。これはのう。この門を通れば悪いヤツか良いヤツかわかる! その名も【善悪分かる門】じゃ」
パールがふんぞり返って教えてくれるけれど、なんだその変な名前は……!
どうじゃ? ワシのネーミングセンス最高じゃろう? って目でさっきから俺を見てくるけどな?
俺は笑いを堪えるのに必死だぞ?
「くっくくっ」
とりあえずこの大きな門は悪人と善人が判断出来るって事だよな。
どーやったらそんな物が作れるんだろう。ホント凄いしかない。
この後、レミアール王国の住民たちは全員この善悪分かる門を通る事になるのだった。
220
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。
和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。
「次期当主はエリザベスにしようと思う」
父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。
リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。
「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」
破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?
婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。