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本編 浮島編
ここでも祭り
しおりを挟むジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪キュッキュー
浮島フロッティにある外の広場にて、みんなが酒を酌み交わし肉を食べ、そこらじゅうで好きなように飲めや歌えやと楽しんでいる。
呼んでもいないのに、どこからか祭り情報を聞き付けたハクとロウを筆頭に、ジャイコブウルフたちが中央で祭りダンスを披露し、それに鳥人たちまで混ざり一緒に踊りを楽しんでいる。
今回はキューとキュウタたちもジャイコブたちと踊っている。
「なんだかみんな幸せそうだな……」
『肉祭りは楽しいな』
『そうなのだ! 我はステーキ丼オカワリ』
『おおっ? 俺もオカワリだっ』
レミアール王国でもしこたま食っていた銀太とスバル。
浮島フロッティでの肉祭りも美味そうに食べている。お前たちの胃袋はどうなってるんだ、異空間と繋がってるんじゃないか?
今回は米の上に色々な肉をのせ丼として食べるのにハマっているようだ。
『今度はさっきと違う味のタレをかけて欲しいのだ』
『俺はさっきのと同じだ』
「はいはい。分かりましたよ」
持参のどんぶりの上に肉をのせ好みタレをたっぷりとかけてやる。これでティーゴ特製どんぶりの完成だ。
銀太たちの相手をしていると、鷹の王が前にやってきた。
「神の御使い大賢者様、このような素敵な祭りをして頂き、本当にありがとうございます。久しぶりに仲間たちの楽しそうな姿を見ることができました」
鷹の王は深々と頭を下げる。
神の御使い大賢者様ってなんだ? ツッコミ所が多すぎるだろ。俺はどっちでもないかな?
否定した所で無理なのは分かってるから今さら何も言わないけどさ、言われるたびに恥ずかしい。
「それは大賢者カスパール様が戻って来たら言ってくれ、俺は大賢者様に言われて準備しただけだから」
「いいえ! 大賢者ティーゴ様のおかげでもあります」
「そっそうか、まぁ鳥人たちみんなが楽しそうなのは見ていて嬉しいよ」
「はい……」
鷹の王と俺は広間を見回す。
「鷹の王は食べたのか? まだまだいっぱいあるからな? 食べてくれよ?」
「えっ……私は胸がいっぱいでして……十分です」
そんな鷹の王の姿を見ていたスバルが『まぁこのスペシャル丼を食ってみろよ? 蕩けちまうぜ?』そう言って米と肉を口に押し込む。
「こっこれは……!?」
『なぁ? 美味いだろう? これが肉と米のハーモニーってやつよ』
「はいっはいっ!」
鷹の王は頭を縦にふりながら、スバルの言葉に共感している。それに気を良くしたスバル
『ティーゴの旦那? こいつにも同じの作ってやってくれ。味付けは俺のお気に入りタレだぞ』
ふんぞり返りながら作れと言う。
「あははっ! 了解だ」
★★★
祭りが少し落ちついてくると、ロックとパールそれに鳥人族の男性二人が俺の所に歩いて来た。
「結界の修復はこれで完了したのじゃ。やはり何百年も魔力を送らずに放置した事が原因じゃった」
「そうなのです。私たちはそんな大事な事を忘れ放置してしまい……情けない」
ロックが悔しそうに自分たちを責めているが、パールを見ると明らかに自分が伝え忘れた責任だと分かっているんだろう。気まずそうに目を逸らす。
ロックよ、横にいる大賢者様の責任だからそんな気にする必要はないよ。と教えてあげたい。
「これからは、彼らのような魔力が高い鳥人にこまめに魔力を送って貰おうと思います」
なるほどな、後ろに立っている二人の鳥人にやり方を教えるために、一緒に連れて行ってたんだな。
「さぁ! ワシのすることは終わったし、食うのじゃ! むっ? 鷹の王よ? 美味そうなのを食っておるのう。ティーゴよ? ワシにも同じのを寄越すのじゃ」
パールよ……お前もか? レミアール王国でも食ってたじゃないか。すごい食いっぷりだな。
あまりにもみんなが丼を美味そうに食べているので、ロックも食べたくなったのか、口からヨダレを垂れ流している。
「では、私も大賢者カスパール様と同じものを頂いても宜しいでしょうか?」
ロックがヨダレをたらしながら、カッコつけて言う姿が余りにも面白くて
「はははっいくらでも食べてくれっ」
俺は笑いながら料理を作るのだった。
この後……ロックがポツリと言った言葉に答えるパールの返事に、俺は驚愕する事なるんだが。
「はぁ……なんだかこの場所が、大賢者様にご招待頂いた楽園のようですね。私たちも楽園に住みたいです」
「むう? 楽園とは異空間の事か? 住みたいなら住めばいいじゃろう。場所は沢山余っておるんじゃし。のうティーゴ」
「えっ?」
別にそれは構わないけど……ええ!?
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